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【スカサカ!ライブ】賛成? 反対? Jリーグの外国人枠撤廃について識者が激論

2018.08.14

 Jリーグは現在、外国人枠の撤廃について議論しており、早ければ2019シーズンから外国人枠が撤廃される可能性が出ている。

 現状ではチームに登録できる外国人選手は5人までで、試合にエントリーできるのは3人プラスAFC加盟選手の1人。Jリーグ提携国(タイ、ベトナム、ミャンマー、カンボジア、シンガポール、インドネシア、マレーシア、カタール)の選手は外国籍から除外されるというルールになっているが、撤廃されればチーム全員が外国人選手という状況も理論上は可能になる。

 この外国人枠撤廃の是非について、番組MCを務める岩政大樹(東京ユナイテッドFC)と、スタジオゲストの下村東美氏、河治良幸氏が議論した。

 外国人枠撤廃に対し、反対の意見を唱えたのは下村氏だった。

「選手をやっていた身からすると、Jリーグは日本人選手を育てるためのリーグという前提があると思っているので、撤廃してしまうと極端な話、日本人選手が1シーズン全くプレーできないチームも出てくると思う。そうなると、果たしてそれがJリーグ、日本人のためになるのかというリスクは間違いなくあるのかなと思っています」

 その上で、下村氏はこのような提案をした。

「提携国枠がありますけど、アジア全体で貿易の自由化というか、移籍の自由化に踏み切って、各国いろいろなリーグが他の国の選手を受け入れる状態がそろえば、それはまた面白いと思います。そうなるとアジア全体でのレベルアップが可能じゃないですか。それは一つアリかなと思います」

 これには岩政も「確かにJリーグ、日本代表の強化を考えると、アジアの強化が大事。アジア全体のリーグを強化していくのは面白い試みかもしれないですね」と賛成意見を唱えた。

 一方、河治氏は外国人枠撤廃に賛成の立場を取り、その理由をこう語った。

「僕は賛成なんですけど、理由としては、W杯の時の主力が海外組中心で、国内組のレギュラーが昌子(源/鹿島アントラーズ)1人だけだった。その理由は、(選手の)レベルじゃないんです。耐性というか、外国人に対する慣れがものすごく大きくて。もちろん海外に行ってそこの環境に揉まれるという、オフ・ザ・ピッチも含めたところも大事なんですけど、一方で外国人の選手たち、特徴の違う選手たちを受け入れた中で勝負をしていって、その中で経験を積むのはすごくメリットが大きいと思うので」

 河治氏は、外国人枠撤廃と同時に議論されているホームグロウン制度についても言及した。

「EUのような共同体がない中で急に完全撤廃してしまうのも問題ですし、実際にヨーロッパで撤廃しているところでも、何人まで自国の選手を入れなければならないとか、アカデミーやユースを含め、ホームタウンで育った選手を何人以上入れなさいとか、そういうホームグロウン制度を条件つきでやっているので、どのようにバランスを取っていくかが大事になってくると思います」

 河治氏は海外での興味深い実例として、オーストリアリーグを取り上げた。

「オーストリアが非常に面白くて、基本的に外国人枠がないんですけど、自国の選手を一定時間以上出すと、放映権料が入ってくるんですね。22歳以下の選手だと、出場時間が2倍に換算されてその分入ってくるとか。だから自国の選手を出せば出すほど得することになるんですが、勝たなきゃいけないので、そこのバランスを考えながらやっている感じです」

 3人は外国人枠撤廃が導入された場合、どのような事象が発生しうるかについても語り合った。

「日本人の若い選手たちが、(外国人選手とのプレーに)慣れるためにどんどんヨーロッパに行くというのが多いんですが、そこでなかなか出場機会が得られず、あまり意味のないものになって帰ってくることもある。それを防ぐ一つの手になるかもしれないですね。『日本でも(外国人選手とプレー)できるじゃないか』と」(岩政)

「高卒で入った選手になかなかチャンスが与えられなくなると、大学に行ってプレーし、卒業してからプロ入りする選手が増える可能性もあります。僕は、大学は日本サッカーの良さの一つだと思っているんですけど、各チームが選手を抱える上で、年齢のバランスもありますし、そのあたりのクラブマネジメントもすごく求められるようになりますね」(下村氏)

「(世界中のクラブと交渉することになるので)選手との複数年契約などがしっかり締結されて、それがある程度公表されるようなことも起こってくると思います。移籍市場での交渉も合わせて成長させていかないと、難しくなりますよね」(河治氏)

 議論を進めていく中で、外国人枠撤廃に反対派だった下村氏の意見が少しずつ変化していった。

「世界が先に進んでいるかもしれないですけど、そこに追いつき、追い越すためには、刺激も間違いなく必要。ただ、日本にも日本の良さがあって、例えば規律の部分は実際にピッチでも表れています。でもヨーロッパを見ると、多少規律が整っていなくても、一発で試合を決めちゃう選手がいる。そういう選手たちと触れる機会が自国のリーグであるのはメリットですね」

「(現役時代は)身体つきが違ったり一瞬のスピードが違ったりというのをピッチ内で感じました。90分間のサッカーで考えると、そういう何か一発やってくれる選手がいるかどうかでかなり違います。極端な話、7人で守って3人で何とかしてくれるチームも面白いと思うし、3人がスーパーだったら相手は手に負えない。そのあたりも含めて、監督がどんな選手をチョイスするか、独自のカラーがそれぞれあってもいいと思います」

 激論を交わしているうちに、外国人枠撤廃に多くのメリットがあることをした下村氏。最後にはこのように語って翻意していた。

「日本は海に囲まれた国ですが、(外国人枠撤廃)は社会全体的に見ても、何かを取り入れるチャンスかなと思いました。反対派だったんですけど、なんかちょっと肯定派になってきつつあります。グローバル化する、ということで考えると、社会全体にとっても悪くない話ですね」

 毎週金曜日21時から放送されている『スカサカ!ライブ』。次回は8月17日(金)21時からの放送で、アジア大会U-21日本代表の戦いについての激論などをお届けする予定。「今まさに聞く」は浦和レッズ「橋岡大樹篇」の後編が放送される予定となっている。

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