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【ライターコラムfrom千葉】「求められているのは得点」…指宿洋史、ラリベイとの“ツインタワー”で二桁へ加速

2018.06.23

千葉の前線をけん引する指宿洋史 [写真]=J.LEAGUE

 Jリーグでも屈指と言える身長195センチの指宿洋史と186センチのライベイの“ツインタワー”が、現在ジェフユナイテッド千葉の攻撃をけん引している。明治安田生命J2リーグ第15節・横浜FC戦では2トップの一角を務めると、直近の5試合では5得点4アシストと連係面でも機能し好調をキープする。

 ギジェルモヘッドコーチは「2トップとして力強く、空中戦にも力を発揮してくれる。身長が高いのでゴール前でしっかりと競争してくれる。相手がリスペクトしてくれることも強み。何よりも練習からハードワークを欠かしていないことが、今日につながっている」と絶大な信頼を寄せる。その中、指宿はここまで14試合に出場し3得点4アシストをマーク。日本人離れした長身と体の強さに加え、足元の技術も長けており攻撃にアクセントを加えている。


「オフの期間からしっかりとトレーニングをしてきましたし、試合に絡めていることでコンディションが整えやすくなっています」と好調の理由を語る。第17節のレノファ山口FC戦では16分、左サイドからのクロスを頭で合わせると、38分にも左からのクロスボールに対してヘディングシュートを狙い、相手GKが弾いたところを右足で押し込み、自身初となるリーグ戦での1試合2得点を決めた。「今日は勝ちにつなげたかった。僕が2点を取らなくても、他の選手が取って勝てればいい」とフォア・ザ・チームを口にした。ジャンプ力だけではない。ボールの軌道を読んで正しいタイミングで飛んでいるからこそ、力強いヘディングシュートが打てるのだ。

 また、千葉の武器であるサイド攻撃は、指宿とラリベイのどちらかが必ずニアに入り、もう1人は自由に動きゴールを狙う。周りの選手も2トップの関係性とストロングポイントを生かして攻撃を展開して行く。指宿はラリベイとの連係面に対し、こう答えた。

「監督にも言われていますが、2人の距離感と連動して動くことを意識しています。お互いを意識し合い、尊重し合えているのでやりやすさを感じています」

 そして、指宿は得点に絡めていることについて「自分が勝負すべきところはゴール前であって、そこに勢いを持って入れたらゴールを取れます。求められているのは得点ですし、ゴール前で勝たなければ上位に行けません。誰が得点を取るかと言ったら、僕かホアキンが一番近いので、どちらかが点を取って必ず勝たなければいけません」と力を込めた。

指宿洋史

好連携を見せる指宿とラリベイ [写真]=J.LEAGUE

 第19節の愛媛FC戦でも、60分にペナルティエリア付近でDF陣を引き付けると、「パーフェクトなパスがきた」(ラリベイ)と決勝点をアシスト。リーチが長いことでコースを作って自らシュートを打つことも出来る。相手を引き付けてスペースを作ることも出来るのだ。「今までやっていることをやり続けて、僕らが出来るだけ点を取ることが大事になります」

 ここまでの活躍は申し分ない。ただ一方で、前線からボールを奪いに行くスイッチ役も求められている。その部分では機動力のある選手に比べると、正直見劣りする部分もあるがハードワークをし、さらにアグレッシブなプレーをするだけだ。指宿には確固たる信念がある。それが結果を出すために準備をする強さだ。近道が苦手な男は「僕の中の評価、チームの評価もまだまだ。皆さんが想像していたパフォーマンスはもっと高いもので、チームにはそれに応えられる力があります。結果を出せる力とメンバーも揃っています」と気合を滲ませた。

 ただ、チームに劇的なケミストリーとディメンションをもたらしているのは指宿でもある。ギジェルモヘッドコーチは大きな期待を込めて、こう口にした。

「指宿には、このままハードワークを続けて自分のシーズンになるように頑張って欲しい。自分で勝ち取ったのでチーム内競争を闘い続けることも重要となる。(二桁得点も)出場を続ければ、どんどん自信が付いてくる。必ず結果もついてくる」

 フアン・エスナイデル監督によって、厳しくハードなトレーニング、そしてプロアスリートとしての生活面、ハイプレス&ハイラインの戦術をベースにサッカーのスタイルも一新され、長年染み込んだ「甘え」が、ようやく払拭されてきた。現在13位の千葉にとって、J1昇格プレーオフ圏内までの勝点差は「5」。手強いライバルチームも足踏み状態が続き、J1昇格への戦いは今季も終盤戦までもつれそうな気配でもある。

 千葉は前半戦終了までアウェイ2試合を残すが、苦手とする敵地で勝ち点3を奪う試合運びをするためにも、ここまで鍛え上げられてきたハングリー精神や泥臭さが必要になる。「みんなが思う前半戦ではなかった」と前置きすると「今までは内容も伴っていない試合が多かったが、最近の試合は内容も出てきている」と続けた。指宿は、試合開始のホイッスルが鳴った瞬間から、ブレない芯の強さと自分を信じ抜く強さをエネルギーに変えフルパワーで勝利を目指す。

文=石田達也

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