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【ライターコラムfromC大阪】好調C大阪U-23、要因は“適応”…「質を高めて」トップチームへ

2018.06.02

J3で3位の好位置につけるC大阪U-23 ©J.LEAGUE

 J3参入3年目の今季。セレッソ大阪U-23が好調だ。ここまで10試合を終えて、5勝4分1敗。勝点19を積み上げ、堂々、3位に位置している。

 結果が出ている要因としては、J3への慣れ、戦術的な進歩、選手個々の成長。この3点を挙げることができる。まず大きいのは、大熊裕司監督、選手たちも口を揃えて話すように、J3のスピードやフィジカルを肌で感じたことで、選手それぞれがJ3の舞台に対応できるようになったこと。加えて、各チームの特長、やり方を試合で対戦する度に理解できるようになってきたことも大きい。


 戦術面では、過去2季(特に昨季の中断前まで)は、チームのスタイルでもある“プレス”に特化するあまり、“勢い任せにボールを奪いに行き、はがされて裏を突かれて大量失点”というケースも珍しくなかったが、現在は、もちろん“プレスからのショートカウンター”という最大の武器は備えつつも、状況に応じて全体が帰陣し、[4-4]のラインを整えて守る、トップチームのやり方を表現する時間帯もある。意図的にトップチームのやり方も落とし込んでいる大熊裕司監督の下、しっかりと体を寄せる“プレッシング”に加えて、“ブロックを作ってのゾーンディフェンス”も習得しつつあることで、大崩れする試合が減り、一定の守備の堅さを保つことができるようになった。

 チーム戦術だけではなく、グループ戦術でも進歩は見られる。前節のY.S.C.C.横浜戦で澤上竜二が決めた先制点の場面では、右サイドハーフの斧澤隼輝と右サイドバックの沖野将基が鮮やかなコンビネーションでサイドを破ったが、今季はそういった場面も数多く見られる。

 戦術を支える個の成長や、競争意識の高さも見逃せない。昨季、トップチームで試合に出ることで飛躍的に経験値を高めた西本雅崇を筆頭に、選手個々が確かな成長を遂げている。FW陣の競争も激しい。第4節・SC相模原戦で山田寛人が豪快なドリブルシュートを決めれば、第9節・ガイナーレ鳥取戦では、安藤瑞季と山根永遠にゴラッソが飛び出した。日々の練習から、同世代の彼らが競うようにシュート練習に励む様子も見られる。

 と、ここまで褒め称えてきたが、「ここから継続して高い順位を維持することは、今まで以上に求められるレベルは高くなる。集中力を切らさないメンタルもそうだし、プレーの質ももっと上げないといけない」と大熊裕司監督も話すように、チームはまだまだ進化の途上にある。また、U-23としての最大の目的は、トップチームで活躍する選手を一人でも多く送り込むこと。言わば、真に越えるべき壁は、J3の相手ではなく、山口蛍や杉本健勇、清武弘嗣に柿谷曜一朗たちとも言える。それだけに、結果や内容に関わらず、大熊裕司監督は「質を高めること」を選手たちに繰り返し、訴え続けている。

 今週末に控えるJ3第12節は、“大阪ダービー”だ。今季はG大阪U-23も白星を重ねて上位に付けており、得点数はリーグ最多の21。攻撃の連係や迫力は目を見張るモノがある。それだけに、C大阪U-23としては、しっかりとした守備と、精度の高い速攻。ここまで培ってきた力が試される一戦となる。勝てば首位浮上の可能性もある大一番だが、目先のことだけではなく、年間を通して成長を遂げるために、監督、コーチ、選手たちは日々の練習に励んでいる。J1が中断期間中の現在も、J2とJ3は毎週末、各地で行われている。スタジアムに足を運べば、きっと、そこには新たな発見があるだろう。

文=小田尚史

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