2018.05.26

【ライターコラムfrom横浜FM】目先の結果よりもスタイルの確立を…ポステコグルー監督のブレない信念

横浜FMに新たなスタイルを持ち込んだポステコグルー監督 [写真]=J.LEAGUE
横浜F・マリノスを徹底分析するWEBマガジン『ザ・ヨコハマ・エクスプレス』主筆

 第15節を終えて4勝5分け6敗の13位。中断期間前の成績としては満足に程遠い。6位タイのヴィッセル神戸やベガルタ仙台とは勝ち点5差だが、首位のサンフレッチェ広島とは20ポイントも離れている。「優勝を目指す」(古川宏一郎社長)という目標に照らし合わせて考えると、及第点どころではなく落第点になってしまう。

 とはいえ、今季からチームを率いるアンジェ・ポステコグルー監督は、開幕から幾度となく「今は結果よりもチームとしてのパフォーマンスと内容を見ている」と発言してきた。昨季からチームスタイルを大幅に変える過程で、産みの苦しみを伴うことは覚悟の上だったのだろう。そして15試合を戦い終えて「後期に向けて基盤はできたと思う」とあくまで前向きに語っている。

 スタイルチェンジの一つの指針として23得点・24失点という数字を挙げないわけにはいかない。23得点は神戸と並んでリーグトップ、24失点はワースト3位という両極端な数字となった。

『アタッキングフットボール』を指標に掲げるのならば、それ相応の得点数は必要で、その点でリーグトップタイの得点数というのは評価できる。ポゼッションからの崩し、ショートカウンター、ミドルシュート、直接FKやCKなどのセットプレーと得点パターンは多彩。ウーゴ・ヴィエイラが7得点を挙げているが、特定のゴールゲッターに依存していない。得点源は必要でも、誰か一人に依存度を高めるのはリスクが生じる。現時点で得点者が分散しているのはポジティブなことだろう。

総得点はリーグトップタイの23得点。ウーゴ ヴィエイラはチームトップの7得点を挙げている [写真]=J.LEAGUE

 だが、指揮官は「数字は悪くない」とした上で「決定的な場面を外す率もリーグでトップクラスだったと思う」と厳しい言葉を付け加えた。決定機を決められず勝ち切れなかった試合は多い。ゴール前の精度やリアリティは個に頼る部分が大きいとはいえ、さらなる向上が見込める分野と言える。

 問題は失点の多さだ。これは昨季から最も変化した部分だが、ディフェンスリーダーの中澤佑二は「昨年までの自分たちのストロングポイントとは違う部分で勝負するということに、シーズン序盤は戸惑いがあった」と吐露している。ハイプレスと連動してハイラインを保つことで最終ラインとGKの間を突かれる失点が増えた。GK飯倉大樹が高い位置を取ることで無人のゴールに手痛い一発を見舞われた失点も複数回ある。

 第13節の名古屋グランパス戦からは飯倉のポジションを状況によって下がり目に修正、ディフェンスラインの設定位置も柔軟になってきた。それらの事象についてポステコグルー監督は「スタイルは変わらない。ただ、自分たちのやりたいサッカーの修正や微修正はあった」と明かす。あくまで状況にアジャストしたに過ぎず、根本的な方向性は変わらない。

 目先の結果にこだわることなく信念を貫く。開幕直後に与えた驚きは徐々に薄れつつあるが、一方で勝つための方策が練られているのも事実だ。「たまたまはない。しっかりデザインされたサッカーをやる」とポステコグルー監督。約2カ月の中断期間を経て、トリコロールはさらに変化していくだろう。

 これからも一筋縄ではいかない。間違いなくアップダウンの激しいシーズンになるだろう。だから今年の横浜F・マリノスはおもしろい。

文=藤井雅彦

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