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【ライターコラムfrom千葉】内容と結果を求める背番号1、逆境をプラスに変えて行く

2018.05.25

千葉のゴールを守るロドリゲス [写真]=J.LEAGUE

 明治安田生命J2リーグ第15節終了時点で18位に沈んでいるジェフユナイテッド千葉。その原因として挙げられるのがスタートダッシュに躓いたこと、アウェイでの勝点を積み上げられないこと、そしてリーグ最多失点が上位進出への足かせとなっている。

 ただ、少しずつではあるが復調の気配を見せていることも事実だ。


 昨季の基本スタイルであるハイライン&ハイプレスを継続し、4-3-3の布陣をベースに攻撃的なサッカーを展開するが、対戦相手の千葉対策や不運な失点も重なり思うように勝点が積み上げられずにいると、第11節ヴァンフォーレ甲府戦から3バックを敷き守備時にリトリートをする“アウェイ仕様”の戦い方を採用した。また、変わったのは布陣だけでなくGKも同様だった。戦術的な狙いもあって、ホームでは佐藤優也がピッチに立ち、アウェイではロドリゲスがゴールを守った。この起用法に対し、ロドリゲスは「強いメンタリティを持って挑むこと。そして練習でも常にベストを尽くすことが大事です。問題はありません」と明言する。

 アウェイでは1ポイントさえも獲得できずにいたが、甲府戦で千葉が意地を見せる。先制され相手の勢いに押される中、40分にロドリゲスが一対一を止めると、終了間際に近藤直也のゴールで追い付きアウェイでの連敗をストップさせた。そして、何よりもロドリゲスのGKとしての能力の高さを感じさせたのがアウェイでの第13節大宮アルディージャ戦だった。小島秀仁が60分に先制点を押し込むと、相手の反撃を受けながらもロドリゲスは獅子奮迅の活躍をした。85分には絶対絶命とも言えるピンチをビッグセーブで凌ぐ。終わってみれば矢のような20本ものシュートを浴びながら無失点勝利を達成。苦手としていた敵地で勝どきを上げたのだ。

 また、4バックで挑んだ第15節の横浜FC戦では3-3のドローに終わるが、55分、68分とロドリゲスのセーブがなければこれだけでは済んでいなかったことも事実。直近のアウェイ3試合で勝ち点5を拾えたことは、中盤戦の逆襲に向けて小さくない意味を持つはずだ。ロドリゲスは言う。

「自分のプレーが勝利につながることがうれしいですし、出番が来たらベストを尽くすだけ。例え出番が来なかったとしても準備だけは怠りません」

 試合に出ようが出まいが、やることは変わらない。いつでもチームを支え“最後の砦としてゴールを守る”だけ。そこはブレない。

 エミリオGKコーチは「彼は経験をもったGK。足元も上手い、ハイボールも上手く処理できる。一対一の状況に追い込まれた時も対応が上手い」と技術の高さを口にする。

 そして、もう一つ注目すべきは攻撃の起点になるプレーだ。彼の左足から放たれる正確なロングフィードは糸を引くような弾道を描き、前線の選手の足下にピタリと合い好機を演出する。指揮官がGKにも攻撃に関わることを求めているからこそ、「GKは守備で重要な責任を持っているポジション。監督の求める戦い方は(GKが)ボールを持った時に攻撃の第1人者になる役割がある」とエミリオGKコーチは言う。

ロドリゲス

佐藤とは互いを高め合う存在 [写真]=J.LEAGUE

 GKは奥の深いポジションだ。「このボジションに必要なのは毎日成長をすることです」と習熟を念頭に置きつつ挑戦を忘れない。ロドリゲスは技術を磨き、日々ハードワークを行う中で、佐藤と切磋琢磨しながらレベルを高め合っている。もっともGKのポジションは一つしかない。ロドリゲスがピッチに立つということは、佐藤がベンチを温めることを意味する。「(佐藤とは)ライバルではなく、仲間。どちらに出番が来ても、出ていない方が出ている方をサポート出来ています」とお互いの信頼関係を明かす。だからこそ、佐藤も自分の出番がない時でも、勝利の瞬間には真っ先にチームメイトに駆け寄り共に喜び労う姿がある。

 ただ、サッカーはミスのスポーツでもある。必ずしも全てが上手く行くとは限らず、GKのミスが失点に直結してしまうことも事実だ。たしかにロドリゲスのミスがなかったとは言わない。チームの失点シーンを振り返ってみれば、相手がフリーの状態でシュートを打つ場面もある。あと一歩の寄せ、体を張ること、諦めない気持ちの大きさで防げる失点もあるが、ロドリゲスはGKの本質を極めることが失点減につながる道だと信じて突き進む。「激しい戦いをして結果を求めたい。前節、勝てなかったが(次に勝つことで)自信を取り戻す良い機会になる。勝ち点3をもぎ取りたい」と言うと「GKとして成長を求めて行きたい」と続けた。逆境をプラスに変え、ここから這い上がって行く。ロドリゲスは戦いへの準備を整えながら内容と結果を求めピッチに立ち続ける。

文=石田達也

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