長谷川のクロスを頭で合わせて決勝点
2015年10月以来の連敗を喫した前年度王者・川崎フロンターレ。「ここから巻き返そう(鬼木達監督)」。そう指揮官に送り出された一戦で勝負を決めたのは、J1初出場の“伏兵”鈴木雄斗だった。
試合終盤の86分、エウシーニョに代わって本職ではない右サイドバックのポジションで出場。「やれることは全部やろう」。そう意気込んでピッチに立った。
「アキさん(家長昭博)が『(前に)いけ、いけ』と声を掛けてくれた」と、すぐさまドリブル突破からクロスを上げ積極的な姿勢を見せる。1-1での状況で迎えた後半アディショナルタイム、同じく途中出場の長谷川竜也が左サイドから対角線のクロスを上げると、そこに飛び込んだのは鈴木だった。「とにかく入れ」。そう願いを込めて放ったヘディングシュートはゴールネットに吸い込まれ、この試合の決勝点となった。
実はこの得点シーン、アシストを記録した長谷川との裏話が。同い年でプライベートでも仲がいいという2人は、試合前から話し合っていたという。「俺がクロス上げる時は『竜也を狙うからな』と言っていたんですが、まさかの逆パターンでした(笑)」と鈴木。「竜也がいいボールをくれました」と同級生への感謝も忘れなかった。
試合終了後のフラッシュインタビューを終えて、川崎サポーターが陣取るスタンドに向かうと、そこには仲間たちの花道が。そしてアウェイの地に集まった大勢の川崎サポーターからは、武岡優斗との“ユウト被り問題”から生まれた鈴木のニックネーム“ラルフ”コールが送られた。
DAZNのヒーローインタビューを終えて、サポーターの方へ走っていくラルフを、選手みんなで花道を作ってお出迎え。
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— 川崎フロンターレ (@frontale_staff) 2018年5月12日
今季モンテディオ山形から加わり、これが待望のJ1初出場。アディショナルタイムを含めた8分間で大仕事をやってのけた。ただ、「ここからが大事」であることは鈴木自身しっかりと自覚している。
「またこの思いをしたいですし、チームとして勝ちたいし得点も取りたい。もっと頑張ろうという気持ちになりました。この世界は一回得点を取っても、すぐに次は来ますし、次が悪かったら評価なんてすぐ変わりますから」。J1初ゴールを決めた公式球を大切そうに両手で持ちながら、早くも次戦を見据えていた。