鳥栖の主将を務める吉田豊 [写真]=J.LEAGUE
サガン鳥栖は第6節のセレッソ大阪戦からクラブワースト記録の7連敗。場合によっては最下位転落の可能性もあった今節、ホームで清水エスパルスを3-1で下し、長い長いトンネルを抜け出した。
マッシモ・フィッカデンティ監督をはじめ、原川力や吉田豊らは口をそろえて、前節の北海道コンサドーレ札幌戦で連敗脱出の「兆し」は見えていたという。その札幌戦は安庸佑のJ初ゴールで先制したものの、79分、83分と立て続けに失点し逆転負け。しかしながら、内容には確かな手応えを感じていた。
「隙を見せず、前節のような試合運び(吉田)」をテーマに掲げ、連敗ストップへ迎えた清水戦。開始11分に原川が先制のPKを決めると、一時はOGで同点となったが、26分に小野裕二が勝ち越し点を奪う。さらに後半立ち上がりの51分には安庸佑の2試合連続ゴールが決まり、これで勝負あり。第5節の名古屋グランパス戦以来、約1ヵ月ぶりに勝ち点3を挙げた。
主将を務める吉田は「勝つということがどれだけ大変で嬉しいことなのか初めて分かった」と安堵の表情。続けて、今回の連敗をこう振り返った。
「これだけ連敗が続いた期間はキャリアで初めてでした。清水に所属していた時、降格しそうになったことはありましたけど、その時とはまた違いましたね。だけど、下を向かずに継続してやるということだけを考えていました。この経験をプラスにしていかないといけないと思います」
試合終了後、スタジアムを一周する際に「サポーター一人ひとりの顔を見ていた」という吉田。「笑顔の方や中には泣いてらっしゃる方もいて心を打たれました。次の試合もサポーターが笑顔で帰っていただけるよう、一生懸命頑張りたい」と巻き返しへ意気込んだ。
フィッカデンティ監督が言うように、「この一勝で全てが解決したわけではない」。依然として順位は降格圏の17位と気が抜けない状況は続くが、鳥栖にとって“きっかけの一勝”になったことは間違いないだろう。
By 三島大輔
サッカーキング編集部