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【土屋雅史氏のJ2展望】松本はホームの後押しで山形を下すと予想…『東四国クラシコ』はドロー決着が濃厚

2018.04.20

J2第10節では、12位の松本と11位の山形が対戦する

■愛媛で激動のシーズンを過ごした選手たちがピッチ上で再会か

 リーグ戦ここ4試合無敗でようやく12位まで浮上してきた松本と、こちらも今季初の連勝を手にした11位の山形。復調傾向にある両者がアルウィンで激突するこの一戦からは、愛媛でクラブ史上初めてとなる昇格プレーオフを経験した、元チームメイトをご紹介します。


 愛媛のクラブに激震が走ったのは2015年初頭。過去2年間の不正経理が発覚し、厳しい処分が予想されるなかで、けん責と300万円の制裁金が課されることに。クラブ消滅という最悪の事態は免れましたが、シーズン前のキャンプも実施されず、難しい状況で新任の木山隆之監督体制はスタートしました。

 ところが、蓋を開けてみれば愛媛にとっては飛躍のシーズンに。序盤戦こそ大きな連勝や大きな連敗を繰り返し、なかなか結果が安定しなかったものの、第27節からの4連勝で昇格プレーオフ圏内に入ると、最終的には5位でフィニッシュ。昇格プレーオフ準決勝ではC大阪に0-0で引き分け、レギュレーションで敗退を喫しましたが、J1をはっきりと視界に捉える1年を過ごしました。開幕節と昇格プレーオフ準決勝の双方にスタメン出場を果たした選手は5人。1人は現在でも愛媛でプレーするFW河原和寿で、あとの4人がGK児玉剛とFW瀬沼優司の“山形組”に、DF浦田延尚とMF藤田息吹の“松本組”。つまり今節で対戦する選手たちだったのです。

 木山監督の就任に伴い、2017年シーズンに児玉と瀬沼は山形へ移籍すると、浦田と藤田も今季から揃って松本へ。昨年からレギュラーとして活躍していた“山形組”は、新シーズンも主力としてチームを牽引。“松本組”の2018年シーズンも浦田は全試合でスタメン出場を続けており、藤田も第6節以降はスタメンに定着。彼ら4人が同時に今節のピッチに立つ可能性も小さくなさそうな気がします。

“山形組”の児玉と瀬沼、“松本組”の浦田と藤田は、今節ピッチ上で火花を散らすかもしれない [写真]=J.LEAGUE

 前節は、松本がMFセルジーニョの1点を守りきる格好で今季初の完封勝利を手にすれば、山形は後半アディショナルタイムに、FW中山仁斗の劇的な決勝ゴールが生まれて京都を下しており、そのバイオリズムを考えてもお互いに負けたくない所。ある意味で愛媛サポーターも注目のゲームは、過去12回のリーグ戦における対戦も松本から見て3勝5分4敗。アルウィンでは2勝2分2敗と全くのイーブン。大きな予想の根拠にはなりません(笑)。とはいえ、ようやくホームスタジアムでゲームを見られるようになった松本サポーターの意欲と熱気は抜群。そんなスタンドにも後押しされて、浦田と藤田の“松本組”の勝利を予想。「1」にマークしたいと思います。

■複数ポジションを高次元でこなす、徳島のミッドフィルダー

 現在は4試合未勝利で14位の徳島と、3戦連続ドロー中で最下位と苦境が続く讃岐が対峙する『東四国クラシコ』。このゲームでは徳島のマルチロールとして、主要なキャストを担っているMF島屋八徳にスポットを当てたいと考えています。

 福岡の折尾愛真高校、宮崎産業経営大学を経て、2012年にJFL所属のHOYO AC ELAN大分(現・ヴェルスパ大分)に加入すると、のちに山口でもチームメイトとなるMF福満隆貴や、名古屋や徳島でのプレー経験を持つFW杉本恵太など、元Jリーガーも複数擁するチームのなかで、加入早々に定位置を確保。2年目のシーズンではリーグ戦で13得点を叩き出し、得点ランキング4位に食い込むなどブレイクを果たすと、2015年にはその活躍に目を付けたJFL時代の山口に引き抜かれ、チームとともに1年で駆け上がったJ3のステージでもきっちり16得点を記録。“2年連続”昇格に大きく貢献します。

 そして、J2初挑戦となった2016年シーズンもDF小池龍太とともにリーグ戦全42試合に出場し、2017年に徳島へ完全移籍。「戦術に関しては本場のスペインで学んでこられた方で、本当に最先端だなと思いますし、それをピッチレベルで選手がしっかり表現できれば、勝てる確率も高くなってくると思います」と語るリカルド・ロドリゲス監督の下、チームの重要なピースとして躍動を続けています。

島屋いわく、「ロドリゲス監督は、戦術に関しては本当に最先端。あとは選手がそれをしっかり表現できれば」 [写真]=J.LEAGUE

 自身の特徴を問われ、「正直このレベルまで来ると、メチャメチャ上手い選手もいっぱいいるし、外国籍選手なんて身体的にもズバ抜けているので、やっぱり頭を使って、相手の嫌がることや監督の求めることをやらないと生き残っていけないので、そこは考えながらやっていますね」と答えた島屋。今季だけでも右ウイングバック、1トップ、2トップの一角、シャドーと複数ポジションを高次元でこなすなど、サッカーIQも抜群。「自分は『監督がどういうサッカーをしたくて、どういうことを求めているか』というのを一番に考えてプレーしているので、どこのポジションでも、スペシャルな感じではないんですけど、平均くらいはこなせるかなと。その時々のシステムに合わせて、与えられた所で一生懸命やっていますし、メンバーを替えることなくシステムが変えられるというのは、徳島としても強みになっていると思います」と言い切るあたりにプロの矜持が滲みます。

 2トップの一角として出場した前節の岐阜戦では、島屋も再三のチャンスを得ながらゴールを奪うことはできず、チームはスコアレスドロー。特に前半と後半に1度ずつあった決定機は、結果を考えても決めておきたかった所でしょう。とはいえ、「J2も3年目になるので、今は凄く楽しくやれていますし、『もっともっとレベルアップできるな』って実感もあるので、チームとともに個人もしっかりレベルアップして、J1でやれるように頑張ります」という意欲に迷いなし。今後もきっとさらなるステップを遂げていくはずです。

 前述したように、ここ最近はどちらのチームも勝利から見放されており、『東四国クラシコ』を浮上のきっかけにしたい所。ただ、過去のリーグ戦における対戦を見てみると、徳島から見て2勝4分と無敗ながら、徳島ホームでは3戦3分とすべてドローというデータも。そこを考慮すると、讃岐の現状も相まってドローが濃厚ではないかと予想。「0」にマークしてみます。

文=土屋雅史

予想難易度が高いとされるJ2は、toto当せんのカギを握る重要な要素の一つ。国内サッカー事情に精通した土屋雅史氏がJ2を徹底解剖する! 『今週のJ2(http://www.totoone.jp/j2/)』はサッカーくじtoto予想サイト『totoONE(http://www.totoone.jp/)』にて好評連載中。
※本文中の「1」はホームチーム勝利、「0」は引き分け、「2」はアウェイチーム勝利。

■明治安田生命J2リーグ第10節
2018年4月22日(日)14時キックオフ
松本山雅FCvsモンテディオ山形(松本平広域公園総合球技場)

■明治安田生命J2リーグ第10節
2018年4月22日(日)14時キックオフ
徳島ヴォルティスvsカマタマーレ讃岐(鳴門・大塚スポーツパーク ポカリスエットスタジアム)

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