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【ライターコラムfrom千葉】船山貴之、クールな男の熱いプレー…逆襲の銀狼が牙をむく

2018.04.19

町田戦でスーパーゴールを決めた [写真]=J.LEAGUE

『成田の男 オー船山 さあ魅せてくれ オー貴之』と、サポーターは割れんばかりの大きな声でチャントを送る。

 それを受ける背番号11はドリブルを加速させ敵陣を切り裂いて行く。サポーターの熱い応援とFW船山貴之のプレーが共鳴し合いスタジアムの盛り上がりは最高潮に達するのだ。シャイでクールな一面を持つが、ピッチに立てば熱い情熱をほとばしらせるからこそ、サポーターの期待値はとても高い。


 ここまで明治安田生命J2リーグで6試合に出場し、4度目の先発に名を連ねた第9節・FC町田ゼルビア戦では船山の右足がチームに勝利を呼び込み連敗を止めると、今季負けなしの町田に土をつけた。

 2トップの一角でスタートすると13分にはラリベイの落としを狙って行くが、僅かにゴールを捉えきれない。そして前半途中からシステムを変更し3トップの左ウイングに位置すると背番号11は要所でギアを上げ積極性を示す。

 65分には町田也真人の得点につながるスルーパスを前線に送ると、彼の真骨頂はここからだった。1点リードして迎えた80分にはショートカウンターを発動。船山が右足を鋭く振り抜くとボールは大きく変化しながらゴールネット右隅に突き刺さった。ワールドクラスの一撃は、チームに勝利を手繰り寄せる3点目となり前節に次ぐ2試合連続弾となった。

「(右足を)振り抜いただけ。本当に入って良かった。その前に1対1を外しているので取り返せたことが良かった」と振り返ると「自分のゴールというよりもチームを勝たせたい思いでプレーしている。その中で自分がゴールを決められれば一番いい」と素直な気持ちを口にした。

 もともと船山は責任感の強い選手で、チームを勝たせたい気持ちは相当強い。ある時は中盤まで下りてボランチの助け役になるだけでなく、ファーストディフェンダーとしてプレスをかけ続ける献身的な姿は注目すべきもの。

「あれだけ行ってくれるのは相当ありがたい」(熊谷アンドリュー)と言うと「アイツがボール奪取を出来るから行こうと思える」と船山は返す。

 運動量も攻守両面での負担も増えているが、黙々と自分に与えられた仕事をこなし“チームが勝つためならば”と全く意に介さないばかりか、むしろ得意気だ。

 菅原大介コーチは「彼のいいところはサッカーを理解していること。どこに動いていいか。そして監督に言われたことをしっかりとやれる。監督の求めることを理解できている」と船山を評する。

船山貴之

無敗と好調の町田を撃破した [写真]=J.LEAGUE

 ただ、チームはシーズン前の期待とは裏腹にスタートダッシュに躓き16位と低迷。3勝1分け5敗と出遅れている。この状況を打破し巻き返すには、目の前の試合を確実に勝利し勝ち点3を着実に拾って行くしかない。

 船山は言う。「連勝をしないと上にいけない。その中で(サポーターが)応援してくれるのは僕らの力になる」

 ここから一つの山場となるアウェイでのアビスパ福岡、ヴァンフォーレ甲府との2連戦が待ち受けるが、船山は「アウェイは難しい試合になるが今日(町田戦)のように勝ち切りたい」と必勝を誓った。

 前半戦の正念場に成田の男は魅せてくれるだろう。チームを勝利に導く覚悟という縦糸に、ハードワーク、そしてゴールへの姿勢という横糸をより合わせ、チームをJ1昇格へと導くために。

文=石田達也

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