2018.03.29

【ライターコラムfrom松本】“死のロード”は6戦未勝利に…ゲームキャプテン橋内優也の苦悩とは

橋内優也
今季から主将を務める橋内優也 [写真]=J.LEAGUE
1978年生まれ、東京都出身。長野県内の新聞社で15年まで勤務し、現在はフリーライターとして松本山雅FCを中心に信州スポーツを幅広く取材。クラブ公式有料サイト「松本山雅FCプレミアム」編集長も務める。

 “死のロード”の最後は、目を覆いたくなるような幕切れだった。3月25日、レノファ山口FC戦。2-0とリードし、後半アディショナルタイムに突入。誰もが松本山雅FCの今季初勝利を確信していた矢先、瞬く間に2ゴールを許してドローとなった。



 これでJ2リーグ唯一の未勝利となる0勝4分け2敗で20位。6戦勝ちなしは、J1時代の2015年を除けばクラブワースト記録だ。今季の松本は本拠地・アルウィンが芝生全面張り替えのため4月1日まで使用できず、これまで6試合ともアウェイと県外開催のホーム。その不利を差し引いても、J1昇格に向けて積極補強を敢行して期待値が膨らんだ分だけ落胆は隠せない。

 失意の山口戦後、ゴール裏へ挨拶に行ったDF橋内優也。引き揚げようとしたとき「橋内、頑張れよ!」というサポーターの声が耳に入った。敗戦後に励まされる経験は過去にもあったが、このときは心底染みたのだろう。1人だけ立ち止まり、もう一度深々と頭を下げた。

「特に申し訳ないと思ったので自然とそういう行動になった。遠くまで時間を削ってお金を使って応援してもらっているのに、僕たちはその結果1勝もできていないので……」

橋内優也

山口戦はあと一歩のところで勝ち点3を逃した [写真]=J.LEAGUE

 加入2年目の今季は、反町康治監督の信を得てゲームキャプテンを任される。そうでなくても責任感が強い橋内にとって、この状況は非常にシビアだ。実際、失意は2日後まで引きずったという。思えば松本は昨季の第39節FC岐阜戦以来、9試合白星がない。勝利の美酒は果たしてどのような味だったか、どうすれば思い出せるのか。まさに五里霧中だ。

 それでも容赦なく試合は来る。勝たなければいけない。オフ明けの28日、練習終了後に呼び止めると「アウェイで(勝ち点を)1を取ってホームで3を取れば、その相手には1勝1分けで自分たちが上に立てる。そう考えて気持ちを繋いで、顔を上げて練習に来た」と明かし、「内容自体は悪くないけど、勝てていないのは何かしら自分たちに原因がある。スタッツに出ない走るところとか球際に寄せるところとかかもしれないが、そういう細かい部分を突き詰めたい」と気丈に話してくれた。

「若手もサブもベンチに入れない選手も全員が戦力で、一丸となって戦っていくもの。まだまだコミュニケーションが少ないし、誰かがやらないといけない」という思いから、今季はキャンプから偏りなくさまざまな選手と会話を交わしてきた。この日も実戦形式のラスト2本目を免除されたため本来なら一足早く引き揚げてもいいはずだったが、そうはしなかった。まず反町監督に自ら声をかけて話し込み、次に故障離脱中の當間建文と会話。最後はまだ出場機会に恵まれていない中美慶哉とやり取りしてから報道陣の前に姿を現した。

 次節はようやくアルウィンでの開幕戦となる。J1昇格候補の格上・大宮アルディージャとの初顔合わせになるが、「相手どうこうよりも、アルウィンで自分たちが勝つことが弾みになる。1つ勝てば波に乗れる……とたらればの話をしていても、実際に勝たなければ話にならない。目の前のゲームを最後まで全力で戦って勝ち点3を取らないと」と橋内。松本に春をもたらすため、全身全霊を懸けて次節に臨む。

文=大枝令

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