2017.11.21

【ライターコラムfrom金沢】ツエーゲンとともに歩んだ大槻優平…現役ラストマッチに花を添えるゴール

大槻優平(左)は最終節の水戸戦で現役ラストマッチに花を添える決勝ゴールを決めた [写真]=J.LEAGUE
フリーライター。J2昇格初年度の2015年から、ツエーゲン金沢の番記者として取材活動を開始。J2一年目の快進撃、二年目の残留争いを肌で感じ、監督が替わった三年目は新たなチーム作りを見届ける。

 ツエーゲン金沢のMF大槻優平が、第42節・水戸ホーリーホック戦の直前に今季限りでの現役引退を発表した。水戸戦に先発した大槻は、60分にこぼれ球を押し込んで今季初ゴールを挙げた。得点直後には、控え選手やスタッフも含めた歓喜の輪ができた。「みんなも引退すると分かっていたので、あとはみんなのところに駆け寄ろうと思っていた。喜び合えて良かった」。

 在籍6年目を迎えるチーム最古参は、試合後の引退セレモニーで開口一番「もっと早く点を取りたかったです! すみません」と切り出したのち、6年間の感謝を述べた。そして、試合後のミックスゾーンで引退の理由を明かした。「今年結果を出せなかったらやめようと思っていた。その中で前半戦にチャンスをもらいながら結果を出せなかった。徐々に『もうやめようかな』と思っていた。やっぱり自分の思っているプレーと実際にやれるプレーに差が出てきたので、もう良いかなと」。

 ここ数年は台頭する新戦力との競争にさらされ、今季もシーズン半ば以降は出場機会を減らしており、ゴールが遠かった。しかし、惜しみないハードワークでチームに貢献し、トレーニングでは誰よりも声を出して周囲を鼓舞。残留争いの渦中、勝ちなしが続いた時期には「ホンマに練習中からヌルい。監督が言うのではなくて、自分たちでやっていかないといけない。フィールドの中に入ったら、やるのは自分たち。全部指示を待ってからやっているようでは何もできない。自分たちで鼓舞したり、(味方が)やるべきことをやっていなかったら言わないと何も変わらない」と、主体的に取り組むことの重要性を訴えた。

 大槻は昨季から“引退”の二文字と向き合っていた。「去年も最後は試合に出られたけど、終盤あたりは全然出ていなかった。常に結果が求められるところで、結果を出せていない自分を分析して、客観的に見て分かっていた。そういう世界で生きていくには厳しいと考えていた」。もしも昨季限りでスパイクを脱いでいたら、水戸戦の感動的なゴールはなかっただろう。

 チームメイトのFW山﨑雅人に引き止められ、昨季の大槻は思いとどまった。「『もう一年やってから考えても遅くないんじゃない?』みたいな感じで、何回もずっと止めてもらった。(今季まで)やって良かったと思うので、ザキさん(山﨑)には本当に感謝している。いつもよく話しかけてくれる良い先輩です」

 その山﨑は言う。「(大槻は)トレーニングから常に100%でやるし、球際もガチガチくる。そういう部分で優平を見て『自分もやらないと』と思うこともあった。常に明るく、チームのためにやれる選手なので素晴らしいと思う。優平が(得点を)決めたときのみんなの喜び方が優平の人柄。あれが今までこのチームで戦ってきたすべてだと思う。良い形で送り出せた」

ツエーゲンとともに歩んだ6年間。チームメートにもサポーターからも愛された背番号24は「出し切れた」と語った [写真]=J.LEAGUE

 今季開幕直後、大槻が「本当に結果がほしい」と話していたことが今になって思い出されるが、「前(FW)で使ってもらっていたのに、点を取れなかったのは自分の実力不足。そこで結果を出せなかったことで、こういう結果(引退)になった。そこは自分で受け入れている」という。

「去年は残留争いでチームを(J2に)残すことができた。今年もチームが残留した。自分自身も練習から力を抜くことなく全力でやれた。出し切れた」。

 自らの現役引退に花を添えるゴールが水戸戦の決勝点。背番号24、大槻優平。実に美しく、ドラマチックな最後だった。金沢の歴史に、新たな1ページが刻まれた。

文=野中拓也

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