2017.10.24

【コラム】土居聖真は猛獣になったのか。洗練された理想と覚悟

土居聖真
横浜FM戦でペドロに代わって途中出場した土居聖真 [写真]=JL/Getty Images for DAZN
朝日新聞。2010、14年W杯、07、15年アジア杯などを現地で取材。ゆるくつぶやいています(ツイッターアカウント:@nakagawafumi)。

 ずっと気になっていた。彼は猛獣になったのだろうか。

 鹿島アントラーズ、土居聖真のことだ。

「もう、猛獣使いになるのはやめた。俺が猛獣になるよ」

 そんな覚悟を聞いたのは、夏の中断期間が明ける前だった。我を貫くのか、組織を回す潤滑油に徹するのか。このさじ加減、FWにとって古今東西に共通のジレンマでもある。万能型の25歳なら、なお悩みは深い。あの時、出番に恵まれずにいた土居は、優しいパスを配る「猛獣使い」から、強引にでも自ら突き進む「猛獣」への変身こそが必要だと感じていた。

 先発の座を奪い返し、秋は深まりつつある。迎えた21日の明治安田生命J1リーグ、横浜F・マリノス戦。ペドロ・ジュニオールの負傷が癒え、金崎夢生の出場停止が解けた。土居は8試合ぶりにベンチでキックオフの笛の音を聞いた。

 立場は盤石ではなかったということか。1-2と劣勢の56分、途中出場の機会が巡ってきた。

 アディショナルタイムを含めて40分間ほどのプレーは「運がなかったかな」。果敢に仕掛け、実を結びかけた局面は確かにあった。瞬時に加速し、ペナルティーエリア内で背後から倒されたかに思えたドリブルはPKならず。左を抜け出してスルーパスを導き、ゴールネットを揺らしたシュートはオフサイドと判定された。

 ただ全体を見渡せば、比重は猛獣使いに傾いていた印象だった。無理もない。猛獣タイプのペドロと金崎が2トップに並ぶと、攻め手は単発で単調に陥る嫌いがある。途中出場の土居が果たすべきは、組み立てとリズムに変化をもたらす動きだった。1タッチパスで展開に抑揚をつける、外に開いて起点になる。つなぎ役を渋くこなし、厚みのある攻撃をお膳立てした。

 つまり、機能してはいた。けれど、夏の覚悟から考えると察してしまう。もっと自分で勝負したかったのではないか。やっぱり、どこかジレンマを抱えたままピッチに立っていたのではないか。試合後、率直に疑問を投げかけた。土居はさばさばと答えた。

「求められている役割は多い。そういうことなんだと思う」

 もちろん、ゴールは取りたい。でも、決して逃げのプレーは選択していない自負がある。「ああいう流れで試合に入れば、ああいう仕事をしなきゃいけない。どうすれば点が入るのか。具体的に考え、頭を使い、周りを見て、相手の逆を突く。絶対、その方が可能性は広がるはず」。苦笑しながらつけ加えた。「時には強引さも必要だけど」

 猛獣か、猛獣使いか。二者択一ではなく、両方とも担えるように。期待値が高いからこそ、そびえる壁。突き抜けてこそ、FWとして次の高みにたどり着ける。

 試合に敗れ、2位の川崎フロンターレが勝ち点2差と迫る。「他のチームの結果に委ねることはしちゃいけない。勝ち続けなければ連覇できないって、最初からわかっているから。個人的にも危機感を持って、やり続けるだけだから」

 シーズン最終盤の冬は間近。理想は研ぎ澄まされていた。あらゆる意味で、土居は腹をくくっている。

文=中川文如

この試合の他の記事

欧州リーグ順位表

マンチェスター・C
46pt
マンチェスター・U
35pt
チェルシー
32pt
欧州順位をもっと見る
バイエルン
35pt
ライプツィヒ
27pt
シャルケ
26pt
欧州順位をもっと見る
バルセロナ
39pt
バレンシア
34pt
アトレティコ・マドリード
33pt
欧州順位をもっと見る
インテル
40pt
ナポリ
39pt
ユヴェントス
38pt
欧州順位をもっと見る

Jリーグ順位表

川崎F
72pt
鹿島アントラーズ
72pt
C大阪
63pt
Jリーグ順位をもっと見る
湘南
83pt
長崎
80pt
名古屋
75pt
Jリーグ順位をもっと見る
秋田
61pt
栃木
60pt
沼津
59pt
Jリーグ順位をもっと見る