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【インタビュー】大きな挫折を経験したFW岩崎悠人…乗り越えたきっかけは“ある人物”との出会い

2017.10.19

 京都橘高校で“高校ナンバーワンFW”と称され、今季より京都サンガF.C.でプレーする岩崎悠人。J2リーグ開幕戦で早速プロデビューを果たすと、第10節には初ゴールを記録し、着実に存在感を高めていた。

 しかし、大きな挫折を経験する。今年5月に韓国で行われたFIFA U-20ワールドカップに日本代表の中心選手として臨んだが、無得点のままベスト16で大会を去ることになったのだ。


「終わった時は、だいぶ落ち込みました」という岩崎は、そこからどのようにして這い上がったのか――。きっかけは8月に京都のホペイロに就任した松浦紀典氏との出会いだった。

インタビュー・文=本間慎吾
写真=兼子愼一郎
取材協力=アディダス

■今は自分の意見も言える

――今季はJリーガーとしてプロデビューを果たしました。思い描いていたイメージとのギャップはありましたか?
高校の時は、プロになっても自分の特長を出して、どんどん活躍していけると思っていたんです。でも実際は、チームの決まり事や周りとの関係もあり、自分の特長を出したいけど、チームの中でやるべきことをやらなきゃいけないっていうのはすごくあります。あと、レベルも違いますしね。

――チームの決まり事は厳しいですか?
2トップがツインタワーなので、サイドを持ち上がってクロスを上げるというのが僕の仕事になります。なかなか(中央に)切り込んでシュートを打ったりというプレーは少なくなりましたね。

――上下関係は?
最初はけっこう怖かったですけど、最近はもう、めっちゃ優しいです(笑)。トゥーさん(田中マルクス闘莉王)なんかには、すごく怒られたりもしました。同じミスをした時には「もっと考えろ」と言われましたし。でも、今は自分の意見も言いながら、話し合いができるようになりました。

――プレーを認められたからこそですね。
それもあると思います。

――京都で主戦場とするサイドでは、最前列の選手とは違った「走り」が必要になります。走り方のバリエーションを増やすために取り組んだことや工夫したことはありますか?
工夫というよりは、意識を変えました。ちょうど、ホペイロの松浦さんが来た時期なんですけど、チームの状況もあって、つまらなそうにサッカーをしていたというか、決まり事だけをやっていた感じがあったんです。そんな時に松浦さんから「もっとサッカーを楽しめ」と言われて。それで高校の頃を思い出して、自分の特長を出していこうと。ツインタワーにボールが集まるので、そのこぼれ球を拾って、自分で行こうというふうに思いました。

■松浦さんと出会って変わった

――U-20W杯で世界に挑みましたが、チームとしても個人としても非常に悔しい思いをしましたね。そこからどのようにして這い上がってきたのでしょうか?
もう、終わった時はだいぶ落ち込みました。メンタル的になかなかコントロールが難しく、コンディションも全然上がらなかったんです。(立ち直ったのは)本当に最近ですかね。松浦さんと出会って変わった感じがあります。「自分が楽しまないと見ている人も楽しめない」ということを教えてもらったので。松浦さんの言葉はすごく大きかったです。

――気持ちが変わることでプレーも変わりますよね。
だいぶ変わりましたね。最近は練習中もすごくゴールの意識が高まりましたし、自分が楽しむためのプレーをしなければいけないので。

――今は楽しくプレーできている?
めっちゃ楽しいですね。

――U-20W杯を経験した今、岩崎選手が考える「世界で通用するストライカー」とはどんな選手ですか?
やっぱり、点を決める選手じゃないですかね。どんなプレーをしても、最終的にゴールを決めればヒーロー扱いされる。結果を残せば評価されると思います。

――そうなるための個人的な課題は?
ゴール前の落ち着きだとか、シュートの技術だとか、まだまだ課題は多いですけど、今取り組んでいることが少しずつ成果として出ています。まだ練習だけで、それを試合に生かすところまではいっていないけど、もう少し自分の中で突き詰めてやっていけば、何か変わるかなとは思います。

――目標としている選手はいますか?
あまりいないです。でも海外サッカーを見ていると、やっぱりスピード感が違うので、今の環境に慣れちゃダメだなとは常に思いながらプレーしています。

■焦りはない。自分のペースでやっていく

――世界の舞台で言えば、2020年には東京オリンピックがあります。3年後、どんな選手になっていたいですか?
やっぱり五輪世代の中心選手でいたいですし、東京五輪には出たいですけど、その上にはA代表もあります。結果さえ残せば呼ばれる可能性があるので、東京五輪を目指すのではなく、その上を目指してやっていきたいです。

――あくまでも目標は五輪の先ということですね。とはいえ、自国開催で、しかも年齢制限がある大会で自分に出場のチャンスがあるというのは、すごく大きいことではないでしょうか。
そこは、運命ですよね。いろいろな人が見に来ると思いますし、ファンを増やすことも大事だと思うんですよ。そこで自分らしさを出して、応援してもらうことでまた頑張れる。だから東京五輪に出るということは、自分の中ですごく大事ですね。

――五輪世代では堂安律選手や坂井大将選手が海外へ渡りました。
行っちゃいましたね。まあ意識はしますけど、全然焦りとかはなくて、自分のペースでやっていこうと、いつも思っていますけど。

――海外挑戦は?
行きたいですよ、やっぱり。でも、まだ日本で結果を残していないので、段階を踏んで行きたいと思います。

■ボールタッチの感覚は求めたい

――結果と言えば、やはりゴールです。岩崎選手が点を取り続けるためにスパイクに求めていることを教えてください。
軽さとフィット感だけですね。あまり余計なものはいらないです。裸足に近い感覚でやりたいので、軽くて、革が薄ければいいですね。

――それほどこだわりが強いほうではない?
そうですね。

――現在着用されているACE(エース)のお気に入りのポイントはありますか?
履いた時に、「あ、いいな」と思いました。フィットするし、軽さもいい。運動量が多い自分のスタイルに合うかなと思いました。

――キャッチフレーズが「瞬時のボールコントロール」というエースは、足元の技術で勝負するタイプの選手が好んで履いていますよね。
僕は(タイプが)逆ですけどね(笑)。でもドリブルはするので、ボールタッチの感覚は求めたいです。

――エースを履いてこれまでプレーした試合で印象に残っている試合はありますか?
エースが今のシリーズになったのが、(2016年度の)高校選手権の時期だったんですよ。市船(市立船橋)とやって負けた試合が印象に残っていますね。高校サッカーなのに1万6000人くらい入って、あのフクアリ(フクダ電子アリーナ)の雰囲気はすごく興奮しました。

――新作は鮮やかなカラーです。
そうですね。目立つと思うので(笑)、これを履いて頑張ります。

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