7月に横浜FMから期限付き移籍で福岡に加入した仲川は第29節の名古屋戦以降7試合連続で先発出場を果たしている [写真]=J.LEAGUE
次節のJ2リーグ第36節・横浜FC戦で、“キャラ”との対戦を楽しみにしている選手がいる。アビスパ福岡のFW仲川輝人だ。“キャラ(CALLA)”とは、横浜FCのDFカルフィン・ヨン・ア・ピンの愛称。仲川が昨季途中に横浜F・マリノスから移籍したFC町田ゼルビアで、ともに戦った。
「(ヨン・ア・ピンは)足元やフィジカルが強い選手だけど、自分は小柄さを生かして、懐に入るようなプレーとかイメージしています。久しぶりのキャラとの対戦が楽しみですし、(自分自身の)得点の匂いもしていますよ」
今季7月に加入した仲川は、8月20日のJ2リーグ第29節・名古屋グランパス戦で初先発し、以降7試合に先発出場中だ。しかしチームはその間、6試合未勝利の真っ只中。先発するも、仲川自身がシュートを1本も打てない試合もあった。
一時はJ1自動昇格圏外の3位に落とした福岡だったが、直近のFC岐阜、レノファ山口FCと連勝し、現在は2位に再浮上。連勝した2試合でチームが挙げた計4得点のうち、2得点は仲川が決定機を作ったものだった。とりわけ前節の山口戦は、先制点となるPKを獲得しただけでなく、キレのあるドリブル突破で多くの見せ場を作り、自身のシュートでゴールにも迫った。「得点の匂いがする」という言葉も納得できる好調ぶりだ。
対戦する横浜FCの本拠地、ニッパツ三ツ沢球技場にも「やりやすさ、いいイメージがある」という。「芝もいいですし、スタンドが近くて声援が後押しになるので」と仲川。直近ゴールも、移籍前の横浜FMで5月31日、JリーグYBCルヴァンカップGS第7戦が行われたニッパツで挙げたものだ。
他方、チーム関係者にも仲川のゴールを心待ちにしている人がいる。鈴木健仁強化部長だ。仲川が専修大学からJリーグ入りを決めたとき、アルビレックス新潟でスカウト担当だった鈴木強化部長は「(仲川は)いわゆるドラフト1位の選手だった。プロに入ってからはケガもあって、思うように活躍できていないと思うが、あの頃の輝きをもう一度取り戻してほしいという気持ちで(福岡で獲得に)動いた」と話している。
不思議なもので、選手が感じる“匂い”というのは、“予知”に近い場合も少なくない。土曜日のニッパツで、仲川のアビスパ初ゴールも…。
文=新甫條利子
By 新甫條利子