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【ライターコラムfrom湘南】端戸仁が手にした“幅”…今季得点ゼロも高い献身性が湘南の武器に

2017.09.08

今季21試合に出場している端戸

 試合終了間際に追いつかれ、2-2のドローで決着した第31節の横浜FC戦、「全員が責任を感じているのは顔を見れば分かる」とゲームキャプテンを務める秋元陽太が語ったように、それぞれが自身の胸に手を当てた。ただ、最良の結果は得られなかったものの、コンパクトなハイライン然り、チャンスの創出然り、彼らのパフォーマンスと試合内容は否定されるものではない。

「僕らが勝ち点3を取らなければいけないゲームだったと思っている」。端戸仁がそう振り返るのも、戦いの感触ゆえに違いない。


「チームとして地力が付いてきたというか、前半戦に比べ、ゲーム全体を通して決定機が増えてきたと思うし、ボールに触ったりゴールに向かったりしていくことに関しても、以前より確実に良くなっていると思う。自分を含めて1点モノのチャンスもあった。その意味ではすごく責任を感じています」

終盤に追いつかれ勝ち点1にとどまった [写真]=Getty Images

 自ら引用した決定機をはじめ、端戸はスペースを見出しては数多くボールに係わり、相手のプレッシャーにも失うことなく収めて攻撃のリズムを喚起した。思えば、昨季8月に右半膜様筋腱剥離で戦列を離れて以降、ピッチに戻っても当初は感覚やゲーム体力の回復に苦労したが、「自分の感覚を取り戻したいと思って試行錯誤しながらずっと練習してきた」と語るとおり、日々真摯に取り組み、現在はコンスタントに先発出場を重ねている。

 ゴールはまだない。「これだけ試合に出ていて取れなかったことは今までないので、さすがに気になります」胸中は複雑だ。だが、たとえば第26節松本山雅FC戦、前から2度追いしてボールを奪い得点を呼び込んだように、あるいは翌節のV・ファーレン長崎戦で、試合中にプレーを修正し自ら立て直したように、若き日にはなかった幅を豊かに膨らませ、チームに還元している。

 端戸は言う。

「自分がゴールを取れたらうれしいですけど、チームが勝つことが最優先事項。まずはチームのやるべきことをしっかりやり続け、そのなかでゴール前の仕事をもっともっと増やし、前節のような決定機が来たときに決められるよう準備したい」

 FWが守備を牽引し、DFが攻撃を喚起する、湘南というチームの作りを改めて思う。数字だけでは計れないそれぞれの貢献を、今節も余さず見つめたい。

文=隈元大吾

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