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【ライターコラムfromG大阪】16歳GK谷晃生が初のトップチーム公式戦帯同へ「全ての経験を自分の力に」

2017.08.30

ルヴァン杯神戸戦に帯同する谷晃生 [写真]=J.LEAGUE

 8月17日~28日に行われたチェコ遠征において、『第24回バツラフ・イェジェク国際ユーストーナメント』に出場したU-17日本代表は、初戦のU-17ロシア代表戦を皮切りに3連勝で決勝に進出。26日の決勝戦ではU-17チェコ代表と対戦し、2点のビハインドを覆す逆転勝利で同大会初優勝を決めた。

 そのU-17日本代表が戦った4試合のうち、2試合に先発出場したのが、GK谷晃生だ。U-17ロシア代表戦と3戦目のU-17アメリカ代表戦に守護神としてピッチに立った谷はチームの『完封』勝利に貢献。4連勝で締めくくった同遠征に充実の表情を見せた。


「今回のチェコ遠征では、大会を通していいコンディションでプレーできました。普段からガンバで高いレベルでのトレーニングを積み上げてこれていたので、いい意味での余裕を持ってできた部分も多かったように思います。具体的な変化を言葉にするのは難しいけど、森山(佳郎)監督にはリーダーシップがついて来たな、と言ってもらいました。見ている人にそういう風に映ったのなら良かったなと思っています。あとは試合中に、もっと自分発信でチームを動かしていけるようになっていきたいです(谷)」

今季はJ3の舞台を経験した [写真]=J.LEAGUE

 187センチ、78キロと恵まれた体格を武器に、今年は高校2年生ながらシーズンのスタートからガンバ大阪U-23でプレー。しかも明治安田生命J3リーグ歴代2位となる16歳3カ月18日でガイナーレ鳥取戦での開幕戦デビューを飾り、同試合を含む4戦連続でJ3のピッチに立った。その中では持ち前の体格を生かしたダイナミックなプレーのみならず、定評のある足元の上手さを武器に、DFラインに加わってビルドアップする姿も。そのプレーぶりに、アカデミー時代から彼の指導にあたってきた松代直樹GKコーチも「まだまだ伸びしろはある」とした上で太鼓判を押していたものだ。

「J3リーグの開幕戦は、相手の威圧感を受けてしまっていたというか。彼も『ユースとは全然違う対戦相手の威圧感を受けてしまい、自分の得意とするプレーができなかった』と言っていましたが、それを1つ経験したことで以降の試合はすごく落ち着いていたし、本来の持ち味である足元やフィードの正確性、視野の広さも今後、より高いレベルで経験を積み上げていけば、より磨かれていくと思います。また、今はまだいいポジショニングは取れているのに、J3のプレースピードについていけずに対応が遅れてしまったり、体はある程度できあがっているとはいえ、筋力面での物足りなさを感じるところもありますが、それはここから先、十分トレーニングの中で培っていけるはず。あとは、ポジションが空くのを待っているのではなく、自分から奪いに行くくらいのメンタル的な強さがついていけば、更にグっと成長するんじゃないかと思います(松代コーチ)」

 そうしてプレーに磨きをかける中で、6月の上旬にはGK田尻健のツエーゲン金沢への期限付き移籍に伴い、トップチームに昇格。今は毎日を、トップレベルの中で過ごしている。残念ながら、公式戦への出場機会には恵まれていないが、日頃から日本代表GK東口順昭をはじめとするレベルの高いGK陣の中で揉まれているからだろう。彼の言葉にあった『余裕を持ったプレー』もそうした環境で育まれたものだ。

 しかも8月29日、ヴィッセル神戸とのJリーグYBCルヴァンカップ準々決勝第1戦に向け、遠征に出発する選手の中には、彼の姿が。現時点で出場の可否は定かでないものの、トップチームでは初の公式戦帯同で、大きな一歩を踏み出したことに違いはない。

「外で見ているのと、実際に移動やアップなど、公式戦の雰囲気を味わえる中で感じることは、全然違うはず。全ての経験を自分の力にしていきたい」

 言葉に力を込めて、遠征バスに乗り込んだ。

文=高村美砂

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