2017.08.15

“幸せ”溢れた引退試合…永井秀樹の次なる目標は「ヴェルディを黄金時代以上に」

永井
引退試合を楽しんだ永井の目はすでに次の目標へ [写真]=兼子愼一郎
サッカー総合情報サイト

 涙は見せなかった。ピッチ上では常に笑顔が弾け、楽しそうにサッカーに興じる姿があった。「これほどのメンバーが集まってくれたことだけでも幸せ。この思い入れのある(味の素フィールド)西が丘でやれたことも、改めて幸せだなと思いました」。

 昨年末、現役生活に別れを告げた永井秀樹(現東京ヴェルディユース監督兼GM補佐)の引退試合が14日に行われた。最後の試合を終えた永井が、何度も口にした「幸せ」という言葉。1992年のヴェルディ川崎でスタートした24年間の現役生活では、2年連続の年間王者に輝いた1993年、94年のV川崎黄金期から1998年の横浜フリューゲルスでの天皇杯優勝、そして翌年に移籍した横浜F・マリノスでの1stステージ制覇など、多くの喜びに溢れていた。

 しかし、永井が一番うれしかった出来事に挙げたのは、“今日”だった。「とても一つは選べないですけど」と前置きした上で、「一番うれしかったことは今日かもしれません、実は。現役時代はうれしさよりも、常に挑戦の日々だったような気がするので。そういう意味では、今日は純粋にうれしかったですし、幸せに感じました」。

 共演者もまた、永井の“幸せ”を後押しした。永井秀樹引退試合premium dream last match『OBRIGADO NAGAI』の前座試合となった国見高校OBと帝京高校OBの試合では、国見OBの一員として当時ライバルだった帝京OBと対戦。「小嶺先生と最後に一緒にやれたこともすごく幸せでした」と高校時代の恩師、小嶺忠敏氏が監督として参戦した。

永井

国見高校OBとして恩師と再会 [写真]= 兼子愼一郎

「小嶺先生がロッカールームに入ってこられて。普段はやんちゃな大久保嘉人でさえ直立不動で(笑)。我々も当然、直立不動で話を聞くというのは、Jリーグではなかなかない景色なので、小嶺先生の偉大さを改めて感じました。久々に直立不動で話を聞くという、最後に非常にいい経験をさせてもらいました。嘉人と笑っていたんですけどね(笑)」

永井、大久保

先生の前では大久保も直立不動 [写真]= 兼子愼一郎

 年代は違えど、同じ環境で過ごした者だけが分かり合える、他愛ない出来事に口元が緩んだ。それは、黄金時代を過ごしたヴェルディでも同じだった。

「(引退試合の)前半が終わってVERDY LEGENDのロッカールームに入ったら、ラモス(瑠偉)さんが本気で怒っていて。『何を考えているんだ? お前』って。最初は冗談かなと思ったら、本気で怒っていたんです。それで逃げたんです(笑)。でも、松木(安太郎/VERDY LEGEND監督)さんがフォーメーションとかを書いていても、当然ラモスさんは意見するし、カズ(三浦知良)さんも意見する。(その状況が)当時と全く同じで、すごく懐かしかったです」

 ヴェルディらしさは、ピッチ上でも存分に発揮された。「まさに、ですよね」と挙げたのは、阿吽の呼吸からポンポンポンとつながるパスのリズム。「(それが)勝手にできちゃうのが、やっぱりヴェルディは素晴らしいなって思いましたね」。自身がVERDY LEGENDの一員として出場した46分と58分のシーンも、まさにそんなヴェルディらしさから生まれたゴールだった。

永井

VERDY LEGENDSは軽やかにパスをつないだ [写真]= 兼子愼一郎

 現役を退いて約9カ月。現在は、東京VのGM補佐を務める傍ら、ユース監督として次世代の東京Vを担う若者の指導にあたっている。ケガのため引退試合には出場できなかったが、「何かを感じ取ってもらえたら」とユース出身で、現役時代に行っていた永井塾の塾生でもある澤井直人と井上潮音がVERDY LEGENDの一員としてベンチに入った。

「なぜ、あの時代のヴェルディが最強だったか。あの二人は感じ取ったと思います。普段はバカ話をしていても、試合に入るにつれて緊張感も高まっていく。これだからヴェルディは強かったんだなと」。

ヴェルディ

ヴェルディでは黄金時代を築いた [写真]= 兼子愼一郎

 後輩への思いもしっかりと託した今、次なる目標を「ヴェルディというチームの再建」と見据える。「J2にいるべきチームじゃないと思うので、黄金時代以上に、もう一回、日本サッカーを引っ張るチャンピオンチームにしたい、というのが、今の一番近い目標ですね」。

 これで、プロサッカー選手・永井秀樹としての役目を終えた。「今晩ぐらいから、本当に引退したんだなって、少なからず感じるんじゃないかな」。選手として最後の取材対応を終えると、報道陣が帰ったあとも、永井が出てくるのを待っていたサポーター・ファン一人ひとりと最後までふれあっていた。

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