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【ライターコラムfrom岡山】J2通算100試合出場のパク・ヒョンジン…好機を生み出す正確無比な左足は一見の価値あり

2017.08.14

パク・ヒョンジンは第27節の岐阜戦J2通算100試合出場を達成した [写真]=©Jリーグ

 J2リーグ通算100試合出場を達成した第27節のFC岐阜戦。パク・ヒョンジンは自身のメモリアルゲームにゴールを決めて花を添えたが、試合後には少しだけ笑顔を浮かべただけだった。

「100試合のゲームでゴールできてうれしいけど、チームが勝てないとうれしくない」。84分に同点ゴールを許してしまったことがとにかく悔しそうだった。同じセリフは一週間にも聞かれている。直接FKを叩き込んで先制点を奪取した第26節の京都サンガF.C.戦も、試合終了間際に追い付かれた。「アウェイで勝点1は悪くない。でも勝たないと」。パク・ヒョンジンは表情を引き締めて長良川を後にした。


 高麗大学校を卒業して2013年にサンフレッチェ広島へ加入して2シーズンを過ごしたパク・ヒョンジンは、2015年から活躍の舞台をJ2に移して3チームを渡り歩き、ファジアーノ岡山でJ2通算100試合に辿り着いた。左サイドプレーヤーとしてJ2で確固とした地位を築いてきたパク・ヒョンジンの武器は、正確無比な精度を誇る左足のキックだ。

 第23節のツエーゲン金沢戦は狙いましてCKから直接ゴールネットを揺らす美技を見せ、すでに3得点6アシストを記録。長澤徹監督がシーズン前に「ヒョンジンはエクストラキッカー。少なくないゴールを生み出してくれると思う」と期待を寄せていたとおりの活躍を見せている。

守備には課題があるものの、正確無比な精度を誇る左足は岡山にとって欠かせない武器 [写真]=©Jリーグ

 ただ一方で、守備には難がある。「アイツのところから何回やられているか」と長澤監督も思わずこぼしたことがあるが、集中力が途切れてルーズなポジショニングを取ってしまう悪癖がなかなか治らない。パク・ヒョンジンの起用はリスクもはらんでいるが、長澤監督はここまで全27試合でパク・ヒョンジンを先発からピッチに送り出してきた。肉を切らせて骨を断とうとしているが、今のところ功罪はイーブンと言ったところだろうか。

 歓喜をもたらす左足を持つと同時に危うさも潜めているパク・ヒョンジンというプレーヤーに対しては、見る人がそれぞれの評価を下すだろう。リスクを嫌う人もいるだろうが、パク・ヒョンジンの左足を鞘におさめて試合に挑むのはもったいない。試合後に突っ伏すまで走り切れるメンタリティも持ち合わせるパク・ヒョンジンには思い切って左足を振り抜き続けてもらい、リスクはチームとしてカバーすることを考える方が勝利に近づけるはずだ。

 これから岡山がどんなバランスを見出していくか注目していきたいが、常に左サイドを試合のホットスポットにする背番号17を追い続けていれば、岡山の試合はかなり楽しめる。短気な方にはおススメできない観戦方法だが、岡山の試合を見るときはパク・ヒョンジンを常に視界に入れておいてもらいたい。

文=寺田弘幸

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