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決勝点演出も光ったのは「得意じゃない」守備…山中亮輔が手にした“横浜らしさ”

2017.08.14

左サイドで攻守に貢献した山中亮輔 [写真]=JL/Getty Images for DAZN

 歓喜の輪に少しだけ遅れて参加した。開始9分、横浜F・マリノス山中亮輔が齋藤学との自陣でのワンツーから抜け出し、左サイドを駆け上がる。後ろから齋藤が追走してきたが、自らシュートを選択。左足を振り抜くと、「ファーに打てば何かあるだろうなと思った」という山中の思惑どおり、相手GKが弾いたところを、ウーゴ・ヴィエイラが右足で押し込んだ。

「学くんが呼んでいたし、後ろから付いてきたのも分かっていたけど、それで相手のセンターバックがちょっと動いて、シュートコースが空いたので、あとは振り抜くだけだった」


 6月18日の第15節FC東京戦でリーグ戦初先発を飾ってから、8戦連続で先発出場中。前に齋藤がいる時、マルティノスがいる時でプレースタイルを変えるなど、素早くチームにフィットし、いまや横浜FMの左サイドに欠かせない存在になった。それでも、「(試合に)出たら何かしないとすぐに代えられてしまう」と危機感を口にする。「そういう危機感を常に持ってやっていることが、いい方向に向いている。気を抜かずにやれている要因かな」。

 山中と言えば、高い攻撃力に目がいきがちだ。本人も「攻撃は自信があるところ」と誇る。しかし、この日の山中は守備でも光った。32分にセットプレーからのカウンターをシュートブロックで防ぐと、74分には右サイドから入ったクロスに対し、一度はニアに詰めたが、ビクトル・イバルボにボールが渡ると全身でシュートをブロックした。

 さらに可変システムを採用するサガン鳥栖は、スタート時には3トップの真ん中に位置したイバルボが、2トップを経由して終盤には3トップの右に移動した。疲れが出始めた終盤に、188センチの巨体とがっつり対峙することになり、「あれだけサイズがあるとボールが見えないし、やりづらかった」と吐露。それでも、「アジリティーの部分では自分が勝てると思っていたし、半歩前に出られればと思った」と必死に対応した。

 結果、2度のピンチに体を投げ出し、チームを救った。「ボールが入っても無理に飛び込まず、最後の最後にやらせないとか基本的なことはできていたかなと思う。粘り強くできているし、(中澤)佑二さんに声を掛けてもらいながら、日々成長できている。F・マリノスらしさは身に付いてきているかなと思う」。そんな山中に、指揮官も「まず守備が素晴らしい」と称えた。

 持ち味であるオーバーラップからのクロスに、横浜FM伝統の強固な守備力を身に付けつつある山中。「必死にやっていることが、まずは第一。得意なことじゃないので、チームの足を引っ張らないように、少しずつ進歩しているんじゃないかな」と謙虚に胸を張った。


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