2017.08.04

【ライターコラムfrom山形】“将棋駒のまち”ならでは! 大盛況に終わったモンテディオ山形✕将棋コラボイベント

地元の奨励会員・渡邉東英さんが船江六段に挑戦。横の大盤ではプロ棋士が解説。渡邉さんの兄弟子でもある遠山五段曰く「渡邉君は居飛車党で、正統派の将棋。しっかり組み立てていく、サッカーでいえば自陣からパスをつないでいくような将棋です」[写真]=頼野亜唯子
広告代理店等勤務を経てコピーライターとして独立。2006年からサッカー取材を始め、モンテディオ山形を中心にライティングを行っている。仙台市在住。将棋×サッカーコラボに傾倒する“観る将棋ファン”。

 今年もスタジアムにプロ棋士がやって来た。2013年から毎年、モンテディオ山形のホームゲームで行われている将棋✕サッカーコラボイベント。将棋駒のまち・天童市に本拠地を置くモンテディオならではのコラボレーションだ。今季の第1回目は7月22日、明治安田生命J2リーグ第24節湘南ベルマーレ戦で開催された。これまで、サッカー好きの棋士や将棋好きのサッカー関係者(元日本代表の波戸康広氏、小村徳男氏など)をゲストに迎えて行われてきたこの企画。今回は野月浩貴八段、船江恒平六段、遠山雄亮五段、黒沢怜生五段と、将棋ファンには名高い人気棋士4名が顔をそろえた。

 さて、棋士がスタジアムにやって来て何をするのか。モンテサポーターにとっては選手との対局や対談が最も分かりやすいのかもしれないが、試合日のイベントではなかなか難しい。そもそも、たとえハンディをつけたとしてもプロと対局して公開するだけの棋力のある選手がモンテディオにいるかどうかも怪しい。それとなく探ってみた感触では、木山隆之監督とDF石川竜也がそこそこ指せそうなのだが、二人とも(監督は当然だが)この日はベンチ入りしていた。

NDスタ初登場の船江恒平六段。モンテディオのユニフォームは野月浩貴八段からのプレゼントだ [写真]=頼野亜唯子

 そんなわけで、イベントメニューは「指導対局」「公開対局」「トークショー」という将棋イベントの定番コンテンツで構成された。将棋と接点を持ったことのないサッカーファンは、将棋イベントなるものにここで初めて出会うことになる。

 キックオフ3時間前から開始された指導対局は、4人の棋士がそれぞれ5人ずつ、計20人を相手に対局してくれる。4枚落ち、6枚落ちなど自己申告のハンディをつけて真剣に対局し、アドバイスを受ける。事前に先着順で申込みを受け付けているが、コラボイベント5年目となった今では認知度も上がり、締め切り前に20人の枠が埋まった。今回は20人のうちの大半が山形県外からの来場者だったというから、指導対局を目当てに、棋士の好きなサッカーも見ようという将棋ファンが訪れてくれたのかもしれない。

来場者が自由に将棋を指せる「自由対局コーナー」では、サポーター同士の将棋交流も [写真]=頼野亜唯子

 キックオフ2時間前からは特別公開対局が行われた。船江恒平六段と盤を挟んだのは、天童市の隣町に住む渡邉東英(はるひで)さん。天童市少年少女将棋教室に通う中学2年生で、昨年の8月、プロを目指して奨励会(日本将棋連盟のプロ棋士養成機関)に入会した。月に2回、新幹線に乗って東京・千駄ヶ谷の将棋会館に通う。

 プロとアマとの対戦とあって、船江六段が香車を一つ落として戦う「香落ち」で対局が始まった。ちなみに香落ちのハンディについて「サイドバックが一人いないというほどの差はない」と野月八段。サイドバックの一人がユースかジュニアユースの選手と入れ替わったくらいの差だろうか。この差をプロがいかに詰めて逆転するか、あるいは渡邉さんがいかにこの微差を保って逃げ切るかが見どころだったが、堅実な手を重ねる渡邉さんが徐々にリードを広げたようだ。73手目が指された時の解説はこうだ。

野月「かなり下手(渡邉さん)がリードしていると思います。サッカーに例えると、後半10分ぐらいでしょうか。何対何くらい?」
黒沢「そうですね……。3-0ぐらいになっていますか。」
野月「今日のモンテディオもそれぐらいになればいいですけど。」

 そして渡邉奨励会5級がそのままリードを保ち、102手をもって船江六段が投了。敗れた船江六段は、J2の首位を走る湘南と4連敗でこの日を迎えた山形を、自分と渡邉さんになぞらえて「完敗です。渡邉君と私ではどう考えても私の方が強いはずだと思うのですが、完封シャットアウトで負けました。モンテディオにも今日の渡邉君のように3-0くらいで勝って欲しいですね」と悔しさを隠しつつ語った。

 この後に4棋士によるトークショーが行われ、湘南とのゲームが始まったわけだが、なんと棋士の予言(?)が見事に現実のものとなったのである。自分を駒に例えると「香車」と言うDF加賀健一が、文字通り槍のようなミドルシュートを決めて先制。「器用じゃないけどパワーで勝負する自分は飛車」と称するFW阪野豊史がスーパーオーバーヘッドゴールを含む2点を追加し、3-0で山形が首位湘南を下した。

トークショーでは話題の藤井聡太四段フィーバーについてや、対局前のコンディショニング、将棋めし(対局時の食事)についてトーク。客席からの笑いが絶えなかった。(左から船江六段、野月八段、遠山五段、黒沢五段)[写真]=頼野亜唯子

 4年前は「なぜ将棋とサッカー?」と訝しがられる中で始まった将棋✕サッカーコラボイベントだが、両方に触れてみればその親和性に共感する人は多い。デビューから29連勝の中学生棋士・藤井聡太四段の話題が沸騰し将棋ファンが急増する中、「将棋駒のまち」にあるサッカークラブであることをいかにアドバンテージにしていくか。クラブにとっては“僥倖”と言えるチャンスではないだろうか。

 次回の将棋✕サッカーコラボイベントは11月。J2最終節のFC岐阜戦が予定されている。正式には日本将棋連盟、天童市、モンテディオ山形から発表されるので、ぜひ各オフィシャルサイト等をチェックしていただきたい。

文=頼野亜唯子

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