2017.07.17

【ライターコラムfrom金沢】好調の背景にある白井裕人の存在…“声”がチームに変化をもたらす

好調・金沢を最後尾から支える [写真]=J.LEAGUE PHOTOS
フリーライター。J2昇格初年度の2015年から、ツエーゲン金沢の番記者として取材活動を開始。J2一年目の快進撃、二年目の残留争いを肌で感じ、監督が替わった三年目は新たなチーム作りを見届ける。

 長いシーズンも半分の折り返し地点を通過した明治安田生命J2リーグ。ツエーゲン金沢のGK白井裕人は、ここまで天皇杯2試合を含む全ての試合でゴールを守る。今季、松本山雅FCから完全移籍した白井。特筆すべきはセービングだろう。いわゆる“ファインセーブ”を連発し、チームに訪れるピンチを救う。毎週発表される『DAZNベストセーブランキング』の常連といっても差し支えない。

 相当な数の被決定機を防いできた白井だが、チームは第7節ファジアーノ岡山戦以降、無失点試合を記録できず、失点する試合が続いた。「もちろん毎試合無失点を目指してやっているので、それができていないのはすごく不甲斐ないけど、みんなで頑張ってやった結果なのでしっかり切り替えるようにしている」

 第22節アビスパ福岡戦、金沢は2-0の勝利を収める。これがリーグ戦久々の無失点試合だった。「もちろん素直にうれしいし、もっと増やさないといけない」。ただ、ウェリントンを起点に攻めてくる福岡に多くのチャンスを作られ、20本ものシュートを浴びた。「(ウェリントンは)規格外の選手。行っても取れない部分は取れないので、割り切ってやれた部分は良かった。単純に相手がシュートを外してくれたのもある。そういう運も味方に付けられた」と試合を振り返った白井。75分にはウェリントンのヘディングシュートに対して、「体が自然と動いていた」ビックセーブを披露した。そして、金沢はリーグ戦4連勝を達成。「点を取れるようになったので、後ろがしっかり守れば前が点を取ってくれるという信頼感が出てきたと思う」。攻守が噛み合い、守備陣の奮闘が報われるようになった。

上位の福岡を相手に敵地で勝利した [写真]=J.LEAGUE PHOTOS

 また、1失点後にバランスを崩さなくなった背景には白井の存在がある。第15節の福岡戦は0-5、第16節の松本戦は0-4と大敗するなど、複数失点を喫する現状にまずさを感じていた。「要求としては、試合中に全員がもっと声を出してほしい。自分、自分になっている選手がたくさんいるので、そうじゃなくてもっと周りを見て声を出して。別にその声が間違っていても良い。もっとコミュニケーションを(ピッチの)中で取るべきだと思う。失点してからでは遅いので、その前から準備するべき」

 白井は不安定なチームの波を改善するための声かけを率先して行い、実際にその成果が表れた。日々の取材の中で簡単に崩れなくなった要因をたずねると、選手たちは異口同音にコミュニケーションを挙げた。「90分通して戦える集団にならないといけない」という白井は、チームの変化に「もっと(声を)出してほしいけど、徐々に改善されている」と話す。しかし、「満足したら終わり。それができるようになったら、次はまた課題をどんどん増やしていくべき」と先を見据えた。

好セーブ連発で早くも欠かせない存在に [写真]=J.LEAGUE PHOTOS

 チームが夏場の戦いに身を投じる中、守護神は頼もしい言葉を口にする。「暑いので声を出さないと集中が切れてしまう。そこは無理にでも、声を出してやらせます」。最後尾でゴールを守り、味方を奮い立たせる。

文=野中拓也

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