2017.06.16

【ライターコラムfrom川崎】“同級生から刺激受けてきた” 新井章太とUAE電撃移籍・塩谷司の巡り合わせ

川崎・新井章太とアル・アインへ移籍した塩谷司 ©J.LEAGUE PHOTOS
川崎フロンターレの取材を中心に活動。将棋界にも精通。著書に「将棋でサッカーが面白くなる本」(朝日新聞出版)。「川崎フロンターレあるある1&2」、「将棋ファンあるある」(TOブックス)。「サッカー脳を育む」(中村憲剛/ぴあ)では企画&構成も担当。将棋はアマ三段(日本将棋連盟三段免状所有)。

 6月17日、川崎フロンターレはサンフレッチェ広島戦を迎える。対戦相手の広島といえば、塩谷司がアラブ首長国連邦の強豪・アル・アインに移籍することを発表したばかりである。

「連絡はたまに取っていましたよ。試合で対戦がある時とかですけど。今日(6月15日)も朝に連絡しました。噂があった時も、広島の状況もあるし、行かないんだろうなとは思っていたんですよ。でもうれしいですね」

 今回の海外移籍について、そう祝福していたのは川崎のGK新井章太である。

 実は新井と塩谷は国士舘大学サッカー部の同級生という間柄だ。当時から仲は良く、下級生のときには、練習で使ったビブスの洗濯当番を二人で担当。塩谷が洗濯を担当し、新井はそのビブスを丁寧に畳む係だったそうで、「18、19歳のときだから、ちょうど10年前ですね」と新井は笑う。

 大学3年まではボランチだった塩谷は、4年からセンターバックに転向。当時からシュート威力が抜群で、FWに当てる縦パスの技術も兼ね備えているなど、現在のプレースタイルの片鱗があったという。大学卒業後、塩谷は2011年にJ2の水戸ホーリーホック入りし、その1年半後の12年8月には、J1の広島へ移籍している。

 一方の新井は、2012年までJ2の東京ヴェルディに所属。GKというポジション柄、出場の機会が巡ってこない日々だったが、「同級生がどんどんステップアップするから、(塩谷に)刺激を受けていたところもあった」と、ステージを上げていく塩谷の存在が新井自身にとっても励みになっていたと話す。

 その翌年の2013年、新井はトライアウトを経て、J1の川崎に加入。だが川崎でも2年間出場はなし。しかし3年目となる2015年5月6日、1stステージ第10節で、新井章太はプロ5年目として待望のJリーグデビューを飾っている。

 奇しくも、その相手は広島。プロデビュー戦のピッチでは塩谷とも対峙し、試合後にはお互いにユニフォームを交換している。

新井章太

2015年5月の広島戦での新井 ©J.LEAGUE PHOTOS

 その後、新井は少しずつ出場機会を掴み、2015年シーズンはレギュラーとして定着。塩谷は日本代表としてもプレーし、リオデジャネイロ・オリンピックではオーバーエージ枠で出場するなどした。再び対峙した昨年の等々力でのリーグ戦では、塩谷の直接フリーキックが新井の手をかすめてゴールネットを揺らすも、無情にもオフサイドで取り消されるという一幕もあった。

 ここ2年、等々力での広島戦は新井と塩谷にとって特別なゲームになっていたのだが、今年は等々力での広島戦を迎える3日前に、塩谷がまさかの電撃移籍を発表。このタイミングには、新井も思わず「これも巡り合わせですね」とつぶやいていた。

 UAE移籍を決断した塩谷に対して、「英語が話せないですからね…国士舘なので(笑)。だから、コミュニケーションが心配かな」と、新井は冗談ともにつかないエールを飛ばしていた。

 アル・アインは、川崎同様にAFCチャンピオンズリーグで8強に残っている。つまり、両クラブが決勝まで勝ち残れば、新井章太と塩谷司の両者がACL決勝という舞台のピッチで対峙する可能性もあるということだ。

 そんな巡り合わせが実現する日を、楽しみにしたい。

文=いしかわごう

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