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【Jリーグと私】田中真琴(モデル/女優)~私がジュビロ磐田を愛する理由~

2017.06.16

[写真]=野口岳彦

 25年目のシーズンを迎えたJリーグ。今季はスカパー!を中心としたテレビ視聴からDAZN(ダ・ゾーン)が展開するネット配信視聴へと移行し、リーグ戦も1シーズン制が復活するなど、大きな変化があるワールドカップ前年のシーズンを戦っている。

『サッカーキング』ではJリーグ、各クラブを愛すると公言する人たちに、その魅力や観戦術などを聞く不定期連載をスタート。改めてJリーグの魅力について聞いていく。


 第1回はミス佛教大学グランプリ獲得や感覚ピエロ、BiSH、entといったアーティストのMVに出演したことで注目を集め、現在は舞台や映像作品に出演して演技の世界へと活躍の場を広げるモデル・女優の田中真琴さんに、1人でもスタジアムへ行くというほど熱くサポートするジュビロ磐田の魅力について聞いた。

インタビュー=小松春生
写真=野口岳彦

スパイクとボールが当たった時の音を聞くとテンションが上がる

田中真琴

[写真]=野口岳彦

―――SNSでジュビロ磐田の試合を頻繁に観戦しに行かれている模様を拝見したので、今回インタビューをオファーさせていただきました。まず気になったことが、プロフィールには京都出身とあり、大学も京都の大学に通われている中、なぜ静岡のジュビロ磐田を好きになったのでしょうか?

田中真琴(以下、田中) お母さんが磐田の出身なんです。京都で暮らすようになってからも頻繁に帰省して、帰るたびにスタジアムへ行っていたようです。私は95年生まれなんですけど、その時はすでにお母さんはジュビロのサポーターだったので、お腹の中にいた時から見に行っていたかもしれません。気づけばジュビロサポーターになっていたので、完全にお母さんの影響です。

 本当に熱狂的で、家もフラッグを飾ったり、玄関マットもロゴが入っているものですし、車にもシールが貼ってあって。京都ナンバーの車なのに、ジュビロのシールが貼ってあるんです(笑)。私もそうですが、ジュビロの試合に行くとなったらすごい気合いを入れて行きますね。行かなきゃ!みたいな(笑)。今来ているユニフォームも2002年のもので背番号7なんですけど、お母さんが選手時代から名波浩監督の大ファンで、雨の中でも待って、サインをしてもらったりしていたんです。

―――熱いお母さんなんですね! 田中さんは関西圏にお住まいでしたけど、見に行く試合はジュビロが多かったんですか?

田中 そうですね。ホームゲームは頻繁に行っていましたし、関西圏でのアウェイ戦は全部見に行っていました。あとはカマタマーレ讃岐と対戦した時は香川まで行って、うどんをもらいました(笑)。本当にジュビロしか見ていないくらいなので、有名な選手はわかりますけど、例えば海外サッカーとかは全然わからないんです。

―――学生時代にスポーツをされたりは?

田中 新体操とバトミントンを8年間ほどやっていましたけど、球技が苦手で(笑)。授業でサッカーをやる時も、他の子よりはルールや戦略的なことはわかるので、パスをどこに出すといいのか、頭ではわかるんですけど、足元がおぼつかない(笑)。だからサッカーを自分でしようとは思わなかったですね。

田中真琴

[写真]=野口岳彦

―――サッカー部のマネージャーになるという選択肢もあったと思います。

田中 他の人がスポーツをしているところを見ると自分でやりたくなってしまうので、マネージャーはまず向いていないですね。スポーツをしたくて、陸上部に入っていたこともありました。

―――自分でやったり、肌で感じることがお好きなんですね。

田中 サッカーの場合も、実際に聞くボールを蹴る音が好きなんです。西京極スタジアムでビールの売り子のアルバイトをしたこともあります。スパイクとボールが当たった時の「キュル」っていう音を聞くと「あんな音がするんだ」ってお姉ちゃんといつも、テンションが上がっていました。テレビで見るのとは違って、音を聞くとスカッとします。自分では絶対に出せない音、他では絶対に聞けないような音がして、気持ちいいですよね。

スタジアムに行くことの魅力が伝わってほしい

田中真琴

[写真]=野口岳彦

―――なぜジュビロ磐田にこれほどハマったのでしょうか?

田中 物心ついた時には応援に行き、当たり前にあるチームで、当たり前に応援していました。だから、気づいたらサポーターになっていて、きっかけはないんです。今、私が見ていた黄金時代のレジェンドたちがコーチや監督として戻ってきてくれるチームはそんなにないと思うので、そういう部分はジュビロの魅力ですね。あとは、ジュビロのサポーターの方たちは優しい雰囲気、柔らかい雰囲気がある感じがして、チーム全体にもそういったイメージを持っているので、そういうところがいいなって。

―――サポーターのお話が出ましたが、普段観戦している時はどのあたりでご覧になっていますか?

田中 家族で行く時はゴール裏で声を出しています。コールをしている人たちのすこし外れくらいですね。1人で観に行く時はメインスタンドだったりするんですけど、楽しさと「試合を観た」という感覚が違いますね。サポーターが一丸となって声を出すことは他では代え難い感覚になることが多いです。例えば、私は京都出身なので関西弁が出てしまうんですが、それに気づいた周りの人は「遠いところから来てくれて」と、まったく面識のない方が優しく話しかけてくれたりして、いいチームのサポーターだなって思います。遠方から来ていると知ったサポーターの方が旗を「よかったら使ってください」と貸してくれて、それを振って楽しんだりしています。メインスタンドでは味わえない経験ですね。

―――サポーター界隈でも名の知れた存在になったのでは?

田中 ツイッターでスタジアムにいる様子を発信していることを見ていただいた方が多くて、スタジアムで声をかけてくださる方もいます。でも、不思議な感じですね。自分が小さい時から見ていたこの空間で自分が気づかれるということが不思議で。

田中真琴

[写真]=野口岳彦

―――ジュビロ以外の試合観戦はされますか?

田中 京都で友達とサンガの試合を何回か観に行きました。なんでみんな観戦に行かないんだろう?って思うんです。映画より少し高いくらいの値段で、サポーターがたくさんいる席で見られますし、行けばわかる面白さがあるのになって。あと最近はスタジアムグルメとかも充実していますよね。お祭り感覚で回れば絶対楽しいですよ。

 特に女の子はサッカーについて「怖そう」とか「サッカーを知らないとダメ」みたいなイメージを持っているんじゃないかなと思います。でも、私は全然サッカーに詳しくないし(笑)。面白い、楽しいって一番感じるのは、対戦している2チームのどちらか片方を応援している時だなって思っています。両チームとも知らない、思い入れが少なくてもどちらかを応援するだけで熱が入って面白くなります。応援する時は大きい声を出すことにストレス発散になったり、そこで新しい仲間や友達ができたりして、プラスしかないって個人的には思います。

 あとはスタジアムに行くことの魅力が伝わってほしいです。私はサッカー選手を撮るためだけに4年前くらいにカメラを買ったんです。旅行がてら、家族で鹿児島で行われたジュビロのキャンプを見に行ったんです。その時に練習場で初めて撮ったんですけど、これがすごく楽しくて。ボールを蹴るタイミングに合わせたり、「もうちょっとシャッタースピード速かったらブレへんかったのにな」とか反省することもすごく楽しいし。“カメラ女子”も増えましたし、サッカー選手を撮りにきてほしいですね。ちなみにヤマハスタジアムは撮りやすいです(笑)。応援しない方でも、そういう楽しみ方もありますね。

 撮影する場所も考えていて、アップをしている選手や控え選手をうまく撮れる位置を探したり。たくさん撮った写真はSNSにアップするのではなく、家に帰って眺めたりしています。自分で「この写真うまいな」みたいな(笑)。そうすると今度は、いい望遠レンズが欲しくなるんです(笑)。でも、そういう切り口からでもサッカーを見に来る人は増えるんじゃないのかなと感じますね。インスタとかにも生かせるでしょうし。『J撮り』というハッシュタグは私もつけて、たまに投稿しています。Jリーグの公式インスタも面白いですよね。背番号の数字に記録とか情報を掛け合わせて投稿していたりして、面白い取り組みだと思っています。

好きな選手は藤田俊哉さん。ペロッて舌を出して走る姿を見て、小学生ながらも「かわいい!」って(笑)

田中真琴

[写真]=野口岳彦

―――お母さまは名波さんが好きとのことでしたが、田中さんが好きなジュビロの選手は誰でしょうか?

田中 もちろん、ジュビロに在籍した選手は全員好きですが、「絶対にこの人!」という選手は1人だけで、藤田俊哉さん(現VVVフェンロコーチ)です。ただ、はっきりとした理由はわからなくて(笑)。でも、1つだけ覚えていることがあって、ヤマハスタジアムで観戦した時に藤田さんがゴールを決めたあとに、ペロッて舌を出して走っていく姿を見て、小学生ながらも「かわいい!」って思ったことがあって(笑)。たぶんそれからですね。今もツイッターをフォローしたり、VVVフェンロでコーチされている姿を見たり。

 私の中では名波監督や中山雅史さんはすごく明るい人のイメージがあるんですが、藤田さんは内向的なイメージが強いです。私も結構内向的なので、似ているなって勝手に思っています(笑)。あとは、サッカー選手なのに内向的な人もいるんだなって感じて、そういうところもいいなって。

 今の選手であれば、川辺駿選手は笑顔が素敵ですし、若いのに堂々としていますし、プレーを見ていても、私のような初心者でも「あそこに出せばいいのにな」と思った時に、そこへパスを出してくれる、見やすい選手だと思います。サンフレッチェ広島からの期限付き移籍ですけど、ジュビロの選手、ジュビロが育てたというイメージが強いですね。移籍当初は試合に出ていませんでしたけど、起用されるとすごく空気を変える選手だなって。お母さんと「毎試合使えばいいやん!」みたいな話をするくらい衝撃的なスタートを切った選手でしたね。

 あとは上田康太選手や大井健太郎選手といった、一度ジュビロから離れた選手が戻ってきて、すごく頼れる存在ですし、いいなって思います。あと、私はドリブルが好きで、どんどん抜いていく選手が気になりますね。松浦拓弥選手や荒木大吾選手も見ていてすごく面白いです。攻撃につながりそうな選手は、サッカーのことがあまりわからなくても見ていて楽しいです。会場もその選手がボールを持つだけ湧きますし。

田中真琴

[写真]=野口岳彦

―――今季からは中村俊輔選手もチームに加わりました。

田中 オーラがすごいですし、試合を見に行ってもサポーターはみんな10番のユニフォームを着ていて。いろいろな場面に顔を出して、すごく走るし、とりあえず超うまい(笑)。ベテラン選手ですが、今もサッカーをしている姿が本当に楽しそうですよね。生まれ変わってサッカーをやるのであれば、こういう選手になりたいって思いました。できないことがたくさんあるかもしれないですけど、できることもいっぱいあって。そういうのを見つけるのがうまいんだろうなって。私も生まれ変わったらジュビロで10番を背負いたいなって、中村選手を試合中に見て思いました。

―――さて「田中真琴さん」…、「タナカマコトさん」…ということで、ジュビロの名選手に同姓同名の田中誠さん(現、磐田コーチ)がいらっしゃいます。よく、そのことについて聞かれると思います。

田中 ややこしいって言われますね(笑)。私をスタジアムで見かけたことのあるサポーターの方が「タナカマコト」がいたよって話していたら、それを横で聞いていた方が、「え、あの田中誠がいるの?」みたいになったりしているみたいで(笑)。小学校5年生くらいのときにファンサービスで田中誠さんに直接「同じ名前なんです」って言ったことがあるんですけど、多分覚えてないかな。でも、またお会いしたいですね。同姓同名の方は人生で1人だけしか出会ったことがないんですけど、その方がジュビロの名選手なんて、すごい運命を感じます。

舞台と試合は似ている

田中真琴

[写真]=野口岳彦

―――今後についてですが、サッカーの仕事をしたいといった思いはありますか?

田中 ジュビロだけを推すことが無理になるのは嫌なので、難しいですね(笑)。でも、サッカーはもちろん好きなので、今回のようにサッカーのことを話せる機会はすごく嬉しいですし、サッカーを携われる仕事はしたいです。もちろんジュビロに携わるお仕事をしてみたいですね。

―――今後の活動について、夢や目標、やってみたいことはありますか?

田中 事務所に入ってから1年数カ月が経ちましたが、あっという間でした。私はもともと、モデルや女優になりたかったわけではなく、たまたまミュージックビデオに出たことから、いろいろな声をかけていただくようになったんです。そこから今の事務所に入ることになりました。大学生だったので、就職活動をするかどうかで悩んだりもしていました。ここまでは未来のことを考える時間があまりなかったんです。でも、最近はゆっくりと考えることができるようになって、お芝居をやっていきたいと思うようになりました。舞台で主演をさせていただいた時に、お客さんから良かったと言っていただいたり、多くの反響をいただきました。私の演技でも涙を流していただけて。そういう経験をもっとしたいと思いましたし、演じることが楽しいと思ったので、これからもっと力を入れていこうと思っています。

―――田中さんがこれまでサッカーで感じられた“ライブ感”に近いものがあるかもしれませんね。

田中 そうですね。舞台と試合は似ている気がします。積み重ねてきたもの、その時に感じているものを発表する場、みたいな。私がきっかけでサッカーを好きになってくれる方、私がジュビロ磐田を応援していたから、ジュビロから私のことを知ってくれて、舞台に足を運んでくださった方もいて。どこで何がつながるかわからないことを経験してきて、今はいろいろな人脈を大事にして、先に進んでいこうと思います。

田中真琴 (たなか・まこと)/1995年生まれ、京都府出身。2016年より本格的にモデルとしてキャリアをスタート。ミス佛教大学(京都)2014のグランプリに選ばれたことを皮切りに、ロックバンド・感覚ピエロ『拝啓、いつかの君へ』や、BiSH『プロミスザスター』などの話題のMVに立て続けに出演し邦ロック界において欠かせない存在に。レスリーキー監督作品「Life is…」や主演舞台「この時が終わる前に」など、演技にも活躍の場を広げ、7月からは舞台『グランギニョル』に出演する。

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