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【土屋雅史氏のJ3展望】開幕から無敗を維持する秋田の勝利を予期…鹿児島vs福島は敵地勝率が高い福島を信頼

2017.06.09

苦労人と称されるキャリアを辿ってきた、秋田のDF有薗真吾。 [写真]=J.LEAGUE PHOTOS

■“苦労人” 有薗真吾が、好調秋田の守備を支える

 今シーズンから指揮を執っている杉山弘一監督の下、ここまで8勝2分と開幕から無敗をキープし、首位を快走している秋田。今節は6勝3分2敗で2位に付けている富山との上位対決に臨みますが、その秋田の堅守を支えているのがセンターバックとしてスタメンフル出場を続けている有薗真吾です。


 福岡経済大学を卒業後、ザスパ草津チャレンジャーズの前身に当たるザスパ草津U-23に加入した有薗は、クラブの創設時と同様に草津町で働きながら、プロ契約を目指して練習に励む日々を重ねていきますが、1年目のシーズン終了と共にいったんはチーム退団を決意。地元の鹿児島に戻ったものの、Jリーグの舞台に立つ夢を諦め切れずに再びU-23へ復帰。草津町で2年目のシーズンへトライする選択を下します。

 そして、加入から1年半が経った2009年9月27日。有薗が迎えたJリーグデビューの一戦は水戸との北関東ダービー。ホームの正田醤油スタジアム群馬で見事に完封勝利へ貢献すると、以降はしっかりスタメンに定着。シーズン最終節のこちらも北関東ダービーとなった栃木戦では初ゴールも記録し、トップチームの一員として晴れてプロ契約を締結。紆余曲折の日々を経て、念願のJリーガーという肩書を手に入れることとなりました。

 そこからの7シーズンで97試合のリーグ戦出場を重ねた有薗は、2015年のシーズン終了後に群馬との契約が満了。2016年に加入した町田は1シーズンでの退団となりましたが、今シーズンから完全移籍を果たした秋田では副キャプテンに任命されるなど、クラブからも期待を寄せられていた中で、前述したようにここまでのリーグ戦では10試合すべてでスタメンフル出場。現在は3バックの中央で5試合連続完封を記録しているディフェンス陣を統率しつつ、既に3ゴールをマーク。攻守両面でチームの好調を牽引していると言っても過言ではありません。

 いわゆる苦労人と称されるキャリアを辿ってきた有薗だからこそ、おそらくは首位という現状にも満足することなく、その先を見据えて草津町での日々と同様にトレーニングと向き合っているであろうことは想像に難くないでしょう。今節最大の注目カードと言っていい1位2位対決は、その有薗を含めた秋田のディフェンス陣が真価を発揮し、開幕からの無敗を勝利で継続する「1」で勝負したいと思います。

■新たなポジションで輝く、福島のセンターバック茂木弘人

 開幕当初は5戦無敗で上位をキープしていたものの、ここ最近は少し負けが込んできた7位の福島が、勝ち点1差で8位に付ける鹿児島のホームに乗り込む一戦。このゲームでは地元の福島で新境地を開拓しつつあるベテランセンターバックに注目してみました。

 福島の聖光学院高校時代にはストライカーとして鳴らし、成岡翔や矢野貴章(ともに新潟)、藤本淳吾(G大阪)らと出場したFIFA U-17W杯でも全3試合でスタメン起用されていた茂木弘人は、高校卒業と同時に広島へ加入すると、ルーキーイヤーから出場機会を獲得し、早くもJ1のリーグ戦で2ゴールをマーク。2003年にU-20日本代表の一員として臨んだワールドユースでも全5試合に出場するなど、世代屈指のフォワードとしてその名を知られるようになります。

 ただ、広島ではなかなか定位置を掴むまでには至らず、2006年に神戸へと完全移籍を果たした茂木は、自ら志願して2007年シーズンにサイドバックへ転向。以降はフォワードとサイドバックを並行してこなしつつ、2009年にはキャリアハイの8ゴールを記録しますが、徐々に出場機会は減少。2015年に地元へ戻る格好で、J3に所属している福島への加入を決断しました。

 基本的には左サイドバックとしてプレーしていた彼にさらなる転機が訪れたのは、田坂和昭監督が就任した今シーズン。新指揮官は何と茂木をセンターバックに指名します。それでも開幕戦のY.S.C.C.横浜戦でいきなり完封勝利に貢献するパフォーマンスを披露すると、以降は3バック時でも4バック時でも起用されるポジションはセンターバック。サイズは174センチとそこまで大きくはない中で、鋭い読みを生かしたインターセプトと、持ち前のサッカーセンスならではのラインコントロールを駆使して、新しいポジションにも早々にアジャスト。その中でも第10節の鳥取戦では、ストライカー時代を彷彿とさせるミドルシュートで決勝ゴールのきっかけを作っており、ある意味で新たなセンターバック像を福島の地で築き上げていると言えるかもしれません。

 ホームで戦った前節の藤枝戦では、相手のシュートが自らに当たって入るアンラッキーな失点に関与する格好で、チームも1-2で敗戦。今節で対戦する鹿児島には昨シーズンのJ3得点王であり、今シーズンもここまでリーグトップの7ゴールを挙げている藤本憲明が前線に位置するだけに、最近はキャプテンマークを巻いている茂木にとっても、センターバックとしてきっちり藤本を抑え切り、8試合ぶりのクリーンシートと勝利を掴み取りたい一戦です。今回はそんな茂木と藤本のマッチアップにも注目しつつ、実は今シーズンのここまでを見るとホームよりアウェイの方が勝率が良いという福島のデータも考慮して、「2」という予想で勝負します。

文=土屋雅史

J3は当せんの行方を左右する重要な要素。国内サッカー事情に精通した土屋雅史氏がJ3攻略のカギを語る! サッカーくじtoto予想サイト『totoONE(http://www.totoone.jp/top/)』にて、『今週のJ3(http://www.totoone.jp/j3/)』が好評連載中。
※本文中の「1」はホームチーム勝利、「0」は引き分け、「2」はアウェーチーム勝利。

■明治安田生命J3リーグ第12節
2017年6月11日(日)15時キックオフ
ブラウブリッツ秋田vsカターレ富山(あきぎんスタジアム)

■明治安田生命J3リーグ第12節
2017年6月10日(土)18時キックオフ
鹿児島ユナイテッドFCvs福島ユナイテッドFC(鹿児島県立鴨池陸上競技場)

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