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【ライターコラムfrom金沢】鹿島から完全移籍で金沢へ…20歳のMF大橋尚志が選んだ道

2017.06.07

鹿島ユースから2015年にトップ昇格した大橋は今季完全移籍で金沢に加入した [写真]=Getty Images

 早くも第17節までを消化したJ2リーグ。ツエーゲン金沢で全試合先発フル出場を続けるのはGK白井裕人、MF大橋尚志、DF石田崚真の3人のみ。本稿では、今季鹿島から完全移籍加入した大橋に焦点を当てたい。

「鹿島でちゃんとした試合はナビスコしか出ていなかった。自分としては試合に出て経験を積みたいということがすごく大きかった。鹿島で試合に出ることが一番の目標だったが、いまの自分の立場、現実的なことを考えて違うチームに行ってそこで活躍するということが移籍した一番大きな理由」


 鹿島アントラーズつくばジュニアユース、鹿島ユースを経てトップへ昇格するも選手層は厚く、20歳の若武者は覚悟を持って金沢の地へやってきた。今季は開幕戦からボランチとして先発を続け、実戦経験を積んでいる。プロA契約変更に必要な規定出場時間も満たし、ひとつ階段を昇った。

「金沢に来て、週に1回試合に出続けるという意味では、サッカーの面でも私生活の準備の面でも今まで見えてこなかった部分がいろいろ見えてきている」。充実感、そしてピッチに立つ喜びを噛み締める。当然、試合に出ることでしか試合勘は身に付かない。ただ、試合に出るだけではなく、そこでのパフォーマンスが問われるのがプロの世界。場数を踏むごとに確かな手応えを感じる一方で、課題とも向き合う。ある日の全体練習後に、ジャンピングヘッドに取り組む姿が見られた。

「シンプルに課題の部分。ボランチの位置で跳ね返したり、センターバックが競らなくても良いくらいまでになれば、チームとしてもラクになる」。中盤の攻防で優位に立つため、落下点を予測する判断力、弾き返す強さを追求する。

新天地では公式戦17試合に出場。ボランチの一角として攻守に存在感を示している [写真]=Getty Images

 柳下正明監督の話を踏まえると、運動量、跳ね返し、マーキング、ボール奪取など、金沢のボランチに求められる要素はいくつかある。ゲームコントロールの優先順位は高くないものの、そこは試合で選手たちが必要性を感じてプラスアルファしていく部分になる。金沢はマイボールの時間が短く、ビルドアップを苦手としており、ここはやはりボランチが存在感を示したいところだ。

「みんなが同じ意識を持って距離間を近くできれば、つなげるし運べる。人と人の連携はもっと良くなっていく。練習から続けてやっていきたい」と大橋は前向きで、「自分でタメを作れるタイミングがあったら、もっとゲームをラクに運べる」とも話す。その中で「アピールポイント」のサイドチェンジがより活きてくるだろう。

「自分のところでボールを奪って、そこから攻撃することをもっと増やしていきたい」。守備から攻撃への転換点を目指す大橋。「とにかく気持ちで負けないように」、強気の姿勢を貫く。

文=野中拓也

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