ついにJリーグをポケットに入れて持ち歩ける時代がやって来た [写真]=Getty Images
「もうすぐサッカーはネット配信で観る時代になるかもね」
10年ほど前、サッカーDVDジャケットのデザイナーをしている頃、隣の席の同僚はそう言った。要は「自分たちが今しているサッカーDVDの仕事は激減する」というわけだ。
何を言っているんだろう? 毎日深夜まで残業して月に10数本のサッカーDVDを制作している。Jリーグシーズン総括、海外サッカーベストゴール集、選手個人モノまでネタは尽きない。1枚5000円前後のソフトがそれなりに売れている現実。景気もいい。ボーナスは増えたし、今年の社員旅行は熱海じゃなくて夢の島パラオだぞ。訳の分からないこと言ってないで、早く目の前の仕事を片付けよう。
…ゴメン、サッカーバブルに浮かれていたあの頃の俺は間違っていたようだ。2017年、スマホやタブレットで『DAZN』を観ながら、そう思う。
DAZN(ダ・ゾーン)とは、イギリスのパフォーム・グループという企業が運営するスポーツ専用の動画配信サービス。手の中の画面ではレアル・マドリードのが優勝を決めたリーガの最終戦はもちろん、本田圭佑のFKゴールシーンから、久保裕也が活躍するベルギーリーグのハイライトまでなんでも観れる。
これだけ楽しめて月額1750円(税込1890円)。ついでにMLBやNBAも見放題。ってマジかよ? マジだよ、ダゾーンだぞーん。ちなみに正直に書くと、デザインを担当したリーガ・エスパニョーラのシーズンダイジェストDVDの2枚組BOXセットは1万円近くした記憶がある。

個人的には真夜中に風呂に浸かりながら「リーガ・ハイライト」や「ラ・リーガ・ファイル」を眺める時間が至福の時だ
◆近づいた世界と変わる生活
スポーツファンにはやさしい世の中になったものだ。サッカーがより日常生活と身近になった。例えば2000年代中盤あたりまで、海外サッカーをフル視聴するのはかなりハードルが高かった。
自らベランダにアンテナを設置して、複数の放送局に月5000円前後の視聴料を払い、真夜中というか明け方に眠い目をこすりながらテレビの前に座る。どうしてもリアルタイムで観れない時はビデオタイマー録画。で、あのサッカーを録画しまくったVHSテープの山が部屋でけっこう場所を取るんだこれが……。
それがDAZNなら「見逃し配信」で自分の生活サイクルに合った好きな時間に観れる。朝の通学や通勤電車の中で前半だけ観て、夜の帰りの電車内で後半を楽しむなんて観戦方法も可能。個人的には、真夜中に風呂に浸かりながら防水ケースに入れたiPhoneで「リーガ・ハイライト」や「ラ・リーガ・ファイル」(過去の名選手を取り上げたドキュメンタリー)を眺める時間が至福の時だ。
そして、気が付けばDAZNに加入してからJリーグを観る機会が増えている。さすが「10年間で2,100億円」の大型放映権契約はガチである。J1やJ2の公式戦はもちろん、J3のガイナーレ鳥取vsセレッソ大阪U-23なんてマニアックな試合もチェックできる。
先日は打ち合せ帰りの電車内で大宮アルディージャの試合を観ていたら、無性に生観戦したくなり、そのままコンビニでチケットを買い、休日にルヴァンカップが開催されたNACK5スタジアム大宮まで行って来た。
いわゆるひとつのDAZN効果である。アプリ感覚でスマホで手軽にJリーグを観れるようになってから、自分の中でJリーグとの距離がぐっと縮まった気がする。メールでは疎遠だった昔の友人と、LINEのおかげで気軽に連絡を取れるようになったあの感じ。

これまでなかなか目にすることがなかったJ3リーグの試合もライブ観戦できる [写真]=Getty Images
◆消える境界線、訪れる転換期
これはもちろんJリーグにとって大きなチャンスであり、同時に転換期だと思う。なぜなら、DAZNのサイト内ではJリーグがリーガやリーグ・アンと並列に並んでいるわけだから。要は、今後は視聴者に「あらゆる国のサッカーが同じステージで比較される」ということだ。
J1を楽しんでから、ブンデスリーガやセリエAもチェック。客は自分が面白いと思うものを選んで観る。もう海外リーグも別世界の特別な出来事じゃない。憧れの舞台じゃなく、ある意味ライバル。少なくとも2017年、俺らの視聴環境という面ではJリーグは欧州サッカーと同じ土俵に上がったのだ。
ユーザーがどの試合を選ぶかは自由、どの時間に観るかも自由。楽しみ方も選択肢も無数にある。
DAZNでいつでもどこでもサッカー。ついにJリーグをポケットに入れて持ち歩ける時代がやって来たのである。
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