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【ライターコラムfrom山形】“愛媛コンビ”阪野豊史と瀬沼優司の幸せなライバル関係

2017.05.25

今季、愛媛から加入した阪野豊史(左)と瀬沼優司(右)は新天地でもライバルとして切磋琢磨している [写真]=J.LEAGUE PHOTOS

 点の取り合いになったゲームを3−2で制したJ2リーグ第15節レノファ山口FC戦。ヒーローインタビューのマイクを向けられたのは、93分に劇的な勝ち越しゴールを決めた瀬沼優司と、途中出場で2点目をあげた永藤歩だった。しかし、前半にコーナーキックから先制点を取ってチームに勇気を与えた阪野豊史のことも忘れてはいけない。前節の松本山雅FC戦では右からのクロスを強さと技術で収めて前を向き、チームに勝利をもたらすゴールを決めた。第7節大分トリニータ戦の決勝点を最後にゴールから遠ざかっていた阪野だが、ここへ来ての2試合連続ゴールで、チームの連勝に貢献している。

 山口戦後、阪野は「守備の負荷をちょっと落としてから、攻撃にだいぶ力を使えるようになった」という言葉で自分の“変化”を説明した。開幕からずっと先発出場を続けてきていたにも関わらず、連戦の疲労も考慮されたのか、第12節名古屋グランパス戦、第13節ツエーゲン金沢戦はベンチスタート。しかし先発から外れたその2試合で、このチームにおける自分の仕事を客観的に見ることができた。


「自分が出ていない時、そんなに追わなくても守備がうまくいっていたし、自分のやりかたと比べて、そういう判断もありかなということもあった。(守備で)頑張りすぎて疲れて攻撃できないよりは、効率良く守った方がいいかなと思って、そうやってからはけっこう攻撃に力を出せている」

 全員で守り、全員で攻めるモンテディオ山形のサッカーを体現するように、最前線の阪野もまた守備に奔走する。「高い位置でボールを失ったら徹底して潰しに行く」など、木山隆之監督がこのチームのスタイルのベースにしようとしている約束事を外すことは決して許されない。それはわかった上で、いかにうまく、賢く守備をして、いざという時に攻撃のパワーを最大で出力するか。その微調整の仕方を会得しつつある。そういうことなのだろう。

山形では、瀬沼(中)と阪野(右)はともにチームトップの4ゴールを記録 [写真]=J.LEAGUE PHOTOS

 これで今季4点目。昨季愛媛FCであげた12ゴールのペースに近づいてきた。そしてチーム得点王の座には一緒に愛媛から移籍してきた瀬沼優司が並ぶ。

「そうなんですよねえ。去年から、やっと俺の方がリードしたと思うとセヌ(瀬沼)も取る。でも、セヌが点を取ると心から嬉しいと思うので、こういう風に競って行けたらいいと思います」

 今季の山形の目標はJ2優勝である。実現のためには、成長するエースがチーム内のライバルとデッドヒートしつつ、ゴールを量産してくれることが絶対に必要だ。

文=頼野亜唯子

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