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【ライターコラムfrom水戸】目覚ましい勢いで進化するスピードスター「前田大然」に注目!

2017.05.25

19歳の前田は今季、松本から出場機会を求めて期限付き移籍で加入した [写真]=J.LEAGUE PHOTOS

「塩谷司以来の衝撃」

 DAZN(ダ・ゾーン)で解説する元日本代表FW鈴木隆行氏にそう言わせるほどのインパクトを残しているのが前田大然だ。爆発的なスピードを生かして、守備では相手DFだけでなくGKにまでプレッシャーをかけ、攻撃ではDF裏のスペースを突いて果敢にゴールに襲い掛かる。存在自体が相手の脅威となっており、もはや水戸ホーリーホックに必要不可欠な存在となっている。


 まだプロ2年目の19歳だけに伸びしろも十分。実際、開幕から3カ月の間に驚異的な成長を見せている。もちろん、スピードが最大の武器ではあるが、速いだけじゃないのが前田の魅力だ。自慢の足腰の強さはスピードだけではなく、ジャンプにも十分生かされている。それが証明されたのが、第10節FC町田ゼルビア戦だ。72分に橋本晃司の蹴った右CKをマーカーより高くジャンプし、頭で合わせてゴールに流し込んだのだ。「セットプレーを頭で合わせて決めるのははじめて」と自らの新たな可能性に対し、目を輝かせながら口にした。

前田は今季公式戦12試合に出場して5ゴールと一気に頭角を現した [写真]=J.LEAGUE PHOTOS

 さらに、第14節京都サンガF.C.戦でも新たなゴールパターンを披露した。17分に右サイドでボールを受けた前田はそのままペナルティエリア内に侵入。対応してきた相手DFを抜く前に右足を振り抜き、鋭い弾道でゴール左隅に突き刺しだのだ。相手DFは前田のスピードを生かした突破を警戒していただけにシュートへの対応が甘かった。その隙を突いて放ったシュートでゴールを奪って見せたのだった。

「いつも練習している形なので、入ってよかったです」。前田はしてやったりの表情を見せた。「相手は突破されるのを嫌うので、その分、間合いができてシュートを打ちやすくなる。逆に相手がシュートに対してケアしてきたら、突破を狙う。このシュートを覚えたことでプレーの幅が広がったという実感があります」と手ごたえを口にした。

 驚くべきはその吸収力だ。練習したからといって、すぐに結果につなげられるわけではない。しかし、前田は短期間で「自分のもの」にしてしまったのだ。その進化ぶりについて西ヶ谷隆之監督も「粗削りだけど、日々いろんなことを吸収しながら成長している」と驚きを隠せない様子だった。また、前田の急成長について「出場機会を求めて水戸に来ている意味が分かっているから」だと説く。「ここで結果を出して、飛躍しようという意欲が強い。だから、日々貪欲に練習に励んでいる。その成果が結果に表れているんだと思う」。

 これだけ強烈なインパクトのある活躍を見せているからこそ、今後どのチームも「前田対策」を強化してくることが予想される。今まで以上に思うようにプレーできない場面が増えるはずだ。しかし、それも承知の上。どんな壁が現れようと、乗り越える覚悟が前田にはある。まだまだ発展途上。さらなる進化を続け、無限の可能性への道を切り開いていく。

文=佐藤拓也

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