2017.05.24

【ライターコラムfrom松本】躍動感あふれる21歳DFジエゴ…苦境が続くチームの「特効薬」となるか?

今季加入した21歳のジエゴはパワフルなプレーを特長とする左ウイングバック [写真]=J.LEAGUE PHOTOS
1978年生まれ、東京都出身。長野県内の新聞社で15年まで勤務し、現在はフリーライターとして松本山雅FCを中心に信州スポーツを幅広く取材。クラブ公式有料サイト「松本山雅FCプレミアム」編集長も務める。

 閉塞感を振り払うために、向こう見ずながむしゃらさが必要な時期なのかもしれない。松本山雅FCは第10節カマタマーレ讃岐戦を境に5試合勝ちなし。3連戦の直近2試合はともに黒星で、J2では2014年第6節以来の連敗となった。アウェイのモンテディオ山形戦は先発4人を入れ替えて若手を積極起用する「荒療治」に踏み切ったもののあえなく0-1で敗れ、再び戻したホームの湘南ベルマーレ戦も1-2で14位に後退。袋小路に追い込まれている。

 こうした苦境で、ジエゴの存在は「特効薬」になり得る。ブラジルから来日して1年目の21歳。適応に時間がかかると目されていたが、ここに来て途中出場ながら3試合計75分間ピッチに立った。そこで見せたパフォーマンスは「途中出場なら絶対に流れを良い方に変えなければいけない」と力を込める通り、粗削りながらもエネルギッシュそのもの。飛距離約25メートルのロングスローにどうしても注目が集まりがちだが、183センチの身長とバネを生かした打点の高いヘディングなども大きな武器だ。

 主なポジションは左ウイングバック。「頭で戦術を理解していても体が自然に動かなかった」という時期を乗り越え、徐々にチームにフィットし始めてきた。確かにまだディフェンス面ではポジショニングに甘さを残すことがあり、直近の練習試合でも最終ラインの當間建文から「esquerda!(左!)」などとしきりに修正の声を飛ばされていた。精悍なフォルムとは裏腹にシャイな側面もあり、そもそも言語の異なるチームメイトとのコミュニケーションが完璧だとも言い切れない。

 だがそうした要素を差し引いても、荒々しいまでのパワフルさはこの上ない魅力。守備戦術のタスク遂行を重んじる反町康治監督も「(今の松本は)積極性を大事にしないといけないが、ジエゴは何においてもその点は持っている。ヘディングだって怖がらないしね」と認める。実際にこれまでの試合でも、クロスの落下点へ強引に割って入って垂直ジャンプで競り勝つなど身体能力の高さと躍動感を存分に披露。「(左サイドバックだった)ブラジルだと最終ラインに張り付いているようなプレースタイルだったが、今は前線でも自由にやらせてもらっている。チャンスがあったらゴールも決めたい」と貪欲そのものだ。

低迷打破へジエゴは「チャンスがあったらゴールも決めたい」と意欲を示す [写真]=J.LEAGUE PHOTOS

 そして松本のサポーターにとっては、かつての岩上祐三(現大宮)を思い起こさせるロングスローも大きな魅力。14歳まではフットサルのGKを務めていたため、当時から自身の腕力に手応えを持っていたという。ただ飛距離は十分だが鋭い弾道ではなく、ヘディングで直接ゴールを狙っても強烈なシュートにはなりにくい。そのため、競って落として地上戦で勝負するのが現実的な使い道。当の本人も「喜んでもらえるのはうれしいが、サッカーは足でやるものだから」と話す。

 リーグ3分の1を終えた段階で、すでに黒星の数は昨季トータル(J1昇格プレーオフは除く)と同じ6。J1昇格を目標に掲げている以上、さらなる足踏みはもはや許されない状況だ。「期待されているのは伝わっているし、それが自分のモチベーションにもなる。自分のためにもチームのためにもソリさん(反町監督)のためにも頑張ろうという気持ちになっている」とジエゴ。苦境から脱出するため、ポテンシャルを開花させるときは今だ。

文=大枝令

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