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[社長が語るベルマーレの現在と未来] 総合型地域スポーツクラブの夢『SPRINT for 2025』とは?②

2017.05.19

総合型地域スポーツクラブの湘南ベルマーレは、世代と地域をつなぎながらチャレンジする人を支え、夢と感動を提供することをミッションとする。そのための意欲的な中長期計画として、クラブが打ち出した『SPRINT for 2025』。ベルマーレの社長、水谷尚人氏が見据える湘南の未来とは?

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新しいスタジアムならもっとすごい非日常空間になる

様々な充実を図るための原資については?

これまでは基本的に、売り上げはトップチームの現場へ注入していました。それを少しずつ、アカデミーへ動かしていく。寄宿舎は企業が使っていない社宅を、安価で貸していただくことなどを想定しています。

劇場空間創造には期待が集まりますね。

湘南スタジアム研究会というものが設置され、これから検討されていくわけですが、大切なのは「湘南スタイル」の進化、深化です。Shonan BMW スタジアム平塚で非日常空間をつくり出せていれば、新しいスタジアムならもっとすごい非日常空間になる。今より大きな器に耐え得るサッカーができているか、という視点は見逃せません。

詳細についてはこれからで?

収容人数などを含めて、これから話し合っていくことになります。ACL出場を目指す時に、現状ではスタジアムが開催条件を満たしていません。ホームタウンの子どもたちに、「いつかここでやりたい」と思わせるハードは欲しいですね。それがスカウトの充実やスクールの拡充にも、つながっていきますので。

[写真]=Getty Images

ACL出場と劇場空間はサッカークラブとしての目標だと思いますが、ヒューマンレガシーは総合型スポーツクラブの視野に立ったものです。

我々にはハードを残す資産はないけれど、アスリートをとおして地域にレガシーを残すことはできます。軸になるのはクラブの所属選手ですが、この地域からオリンピックを目指す人たちでグループをつくり、2020年東京五輪という舞台をともに夢見ていく。企業のバックアップも得ながら地域の皆さんとチャレンジを共有し、東京五輪に出場した選手、残念ながら出場できなかった選手と語り合えたら、スポーツをとおして社会が元気になると思うのです。サッカーでもビーチバレーでも、この地域から五輪に出た選手と話をしたら、子どもたちが夢を膨らませる機会になるでしょう。

2020年まで、実は時間はありません。

限られていますね。競技種目によっては、19年に出場選手や団体が決まりますので。ベルマーレから20名のアスリートを東京五輪に輩出するのが目標で、昨年のリオデジャネイロ五輪には、移籍はしましたが男子サッカーの遠藤航が選ばれ、ビーチバレーとトライアスロンにはコーチを送り出しました。東京五輪の男子サッカーには、3人選ばれることを目指します。3月のU-20日本代表候補の合宿には、昨年のAFC U-19選手権に出場した神谷優太に加えて、J2リーグ開幕戦でのプレーが評価されて杉岡大暉が選ばれています。

「SPRINT for 2025」の先に見据えるものは?

日本サッカー協会は「2005年宣言」で、50年にワールドカップを日本で開催し、優勝するとしています。我々が今回発表した三つを達成できれば、日本サッカー界に貢献できると確信しています。そのためにも、高いレベルを目指してやり続けていく姿勢を失ってはいけない。トップチームの選手たちだけでなく、このクラブで働いている社員も、ボランティアの皆さんも、「湘南スタイル」を貫いていってほしいのです。そして、サッカー関係者だけでなく7市3町のホームタウンの皆さんが「湘南スタイル」と聞いたら何かを想像できるようになったらうれしいですね。月曜日の朝のゴミ捨て場で、お母さんたちが「週末のベルマーレの試合、面白かったわね」と話すような社会をつくっていきたいと思っています。

■水谷尚人(みずたに・なおひと)
1966年12月22日生まれ、東京都出身。早稲田大学教育学部を卒業後、株式会社リクルート、日本サッカー協会などを経て2002年に株式会社SEAを設立。10年に株式会社湘南ベルマーレの取締役に就任し、15年12月27日付けで代表取締役社長に就任した。

目指すスタイルを変えることなく進化、深化させていく

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