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【インタビュー】心の余裕が生まれた関根貴大、“うまい選手”から“怖い選手”へ

2017.04.22

 今、浦和レッズで最も勢いに乗っているのはMF関根貴大かもしれない。今季のリーグ戦ですでに4アシストを記録。AFCチャンピオンズリーグでも1ゴール1アシストと絶好調だ。

 プレーだけではない。インタビューでの受け応えや表情にもどことなく余裕を感じる。いたずらっぽくニヤリと笑いながら「緊迫した試合で決められる選手になりたい」と、さらりと言ってのけるところが頼もしい。


 関根貴大は今、“うまい選手”から“怖い選手”へと進化を遂げようとしている。

関根貴大

インタビュー・文=高尾太恵子
取材協力・写真=ナイキジャパン

■意識しているのは「仕掛けずに上げるクロス」

――今季はゴール前でのプレーに余裕があるように感じます。
確かに昨年まではゴール前の落ち着きがなかったですね。パス1本にしても、「速く出さないといけない!」と焦っていました。逆にうまくいったシーンでは、ひとつ間を置いたり、意外と考える時間があったり、というのを実感していたので、失敗したシーンを映像で見返してみたら「割と余裕あったんだな」という場面がすごく多かった。だからそこを変えていけば、よりゴールにつながるプレーが増えるんじゃないかと。今年は一つひとつのシーンで落ち着きのあるプレーができていると思うし、心の余裕も生まれたと感じています。

――その変化が序盤から結果に表れていますね。
そうですね。余裕ができたことで周りが見えるようになり、プレーの判断も良くなったと思います。クロスの精度はもっと高めていきたいけど、去年よりもいいフィーリングでボールは蹴れている。このチームはきちんとしたボールを上げればしっかり結果につなげてくれるので、今はその辺がうまく噛み合っているんだと思います。

――昨年以上に「うまいな」と思わせる場面が増え、クロスの質も高まった印象を受けます。
最近は、「仕掛けずに上げるクロス」を意識しています。相手が距離を取ってきて、仕掛けるのが難しそうだったらそのままクロスを上げる。そうすることで相手が「もっとプレッシャーをかけないとクロスを上げられてしまう」と思って間合いを詰めてくれば、仕掛ける隙が生まれますから。そこのバランスをすごく意識しています。

――確かに、昨季はドリブルで仕掛けてからクロスを上げる場面が目立ちましたが、今季は裏に抜けてボールを受けると同時にクロスを上げる場面が増えました。
もっとドリブルで仕掛けたいんですけどね。ただ、仕掛けなくても結果につながるプレーができれば、ゴール前での選択肢は増えますから。

――相手からすると、どちらで来るのか分からない。
きっと今は縦だけ切っておけばいいと思われている。だから「ここからでもアシストできるんだぞ」というところを見せていきたいんです。もちろんシュートも狙っているし、横浜F・マリノスとの開幕戦で一対一を外した時は本当に悔しかった。あんなシーンはシーズンを通してそうないと思うので、なおさら悔しかったですね。

――つまり、勝負どころで決められる選手になりたい?
そのとおりです。その1点が勝敗を左右するような本当に緊迫した試合で決められる選手になりたいですね。FCソウル戦(2月28日、5-2で浦和が勝利)のような試合で点を取ることも大事だけど、それよりも接戦で勝利を決定づける1点を取る。そういう結果を残していきたいです。

――浦和は3年連続でACLに出場しています。毎年アジアの舞台を経験できるは大きいのではないでしょうか。
上海上港のオスカルやフッキと戦いたかったですね。マッチアップした選手が「重さが全然違う」と話していました。実際に対峙しないと肌で感じられないことは山ほどある。おそらく、いつもと同じ間合いでも、威圧感で飛び込めなかったりすると思うんですよ。そういう経験をできるのが、ACLの面白いところですよね。

――今季は決勝トーナメントに進みたいですね。
それぞれの国を代表しているチームですし、自分たちのサッカーを貫き通してくる。力と力の勝負は面白いですね。決勝まで進むことができれば、西アジア地区のチームとも戦える。また違ったサッカーをしてくると思うので、ぜひ経験したいです。

関根貴大

■10アシストは簡単に達成できるはず

――今年の具体的な目標を教えてください。
シーズンを通して、10ゴール10アシスト。ゴールのほうは厳しいかもしれないけど、アシストは最低限の目標です。

――浦和レッズには点を取ってくれる選手がいますからね。
だからこそ、いいボールを供給し続けられるシーズンにしたい。1試合に1回は必ずチャンスを作らないといけないと思っています。そうすれば、10アシストは簡単に達成できるはずなんですけどね(笑)。

――10ゴールもいろいろなバリエーションで決めたいのでは?
そうですね。左足、右足、エリア内外から決められればベストです。左足を磨くために、シュート練習は欠かさずにやっています。ミドルシュートが入れば気持ちいいんだろうけどなあ。

――あるFWの選手は、ミドルシュートが決まる瞬間、時間が止まると言っていました。ボールの軌道がスローモーションのように見えて、周囲が静まり返ってから歓声が聞こえると。
それは味わったことない(笑)。ミドルシュートの距離だったら、時間も止まりそうですよね。気持ち良いだろうなあ。エリア外から決めたいですね。

――ドリブルでの仕掛けとシュート、両方のバリエーションが増えれば、これまで以上に相手に脅威を与える選手になれるのではないでしょうか。
そうですね。エリア付近では何でもできる選手になりたい。周りを使いつつ、自分でも仕掛ける。そしていろいろなバリエーションのシュートが打てれば……最強なんですけどね。イメージは完璧なんですけど、なかなか現実がついてこない(笑)。

――なるほど(笑)。では、最後に新デザインの『マーキュリアル』の印象を聞かせてください。
ピンクって……かわいいですよね(笑)。スパイクは選手のイメージを作る一つの要素だと思うんです。僕がクリスティアーノ・ロナウドを見て『マーキュリアル』を選んだように。子供たちは「あの選手が履いているから、あのスパイクを履きたい!」と憧れるものですから。僕もそう思ってもらえるような選手になりたい。このスパイクを履いていると足が速く見えますしね(笑)。『マーキュリアル』が持つイメージと、僕の走ったり、ドリブルしたりするイメージは一致しているし、なおかつ足にフィットしている。イメージと機能性を兼ね備えたスパイクだから気に入っています。

関根貴大

By 高尾太恵子

サッカーキング編集部

元サッカーキング編集部。FIFAワールドカップロシア2018を現地取材。九州出身。

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