2017.04.21

【ライターコラムfrom福岡】武者修行を経て復帰したFW石津大介の“賢さ”とは

今季、神戸から福岡に復帰した石津はJ2全試合に先発出場している [写真]=J.LEAGUE PHOTOS
大学卒業後、雑誌編集者を経て2005年よりフリーランスとして活動中。九州を拠点にサッカーほか、陸上など幅広く取材。1児の母としても奮闘中。

J2リーグ第8節V・ファーレン長崎戦(1〇0)の後に行われた記者会見で、敵将・高木琢也監督から「やっぱり賢い選手だと思う」と名前を挙げられた選手がいる。2012年に地元・福岡でプロ生活をスタートさせ、ヴィッセル神戸への期限付き移籍から2年半ぶりに復帰した石津大介だ。今シーズン、シャドーストライカーとして左サイドやトップ下で全試合に先発出場している。

 今年のアビスパ福岡は、空中戦に強いFWウェリントンに頼り過ぎていた攻撃スタイルから、「監督がたくさんの選択肢を持てるように、いろんなタイプの(攻撃的な)選手をそろえる」(鈴木健仁強化部長)というのが補強ポイントの一つだった。そのなかで、ウェリントンの周囲を動き回り、相手ボランチとセンターバックの間で前を向ける石津が、“選択肢”を増やす役割の一端を担っている。

 その石津が、前節の長崎戦で「ボールを受けるアプローチの仕方を変えた」と話した。2トップの下で先発した石津は前半、ビルドアップのボールを中盤でつないでサイドに展開する起点となった。「とにかくたくさんボールを受けようと考えていた」と石津。後半に入り、長崎が中央を閉じてプレッシャーを速めてくると、石津はあえて味方のボールサイドに寄って自分たちの形を崩すなどして対応し、「相手を引っ張り出すことを考えた」という。

 結果的に、石津のこうした駆け引きからゴールは生まれなかったが、状況に応じた動きの質の高さが、長崎の高木監督に「我々とは(違い)ちょっと器用な部分」と評価されたところなのだろう。

「どうやったら、上手く(ボールを)回せるか。ビッグチャンスを作るためには、もっと(周囲と)合わせないとダメ。これではJ1に上がっても、(すぐに降格という)同じことの繰り返しになる」。危機感は、まだまだ拭えない。

 22日に行われる次節のアウェイ・水戸ホーリーホック戦。J2リーグで6位につける福岡は、連勝して1つでも上位へ浮上したい。縦横無尽に網目を潜り抜ける石津を起点に、ゴールは生まれるか。

文=新甫條利子

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