浦和の完封勝利に貢献した森脇良太 [写真]=Getty Images for DAZN
鮮やかなカウンターだった。したたかに勝ち点3を獲得。3試合連続の完封勝利である。
しかし、浦和レッズらしい“美しいサッカー”は影を潜めた。選手たちも今日の内容には満足していない。
森脇良太が口を開く。
「みんな身体はキツそうでした。思ったよりフィットしなかったというか。前半からふわっとした感じで入ってしまい、本来の自分たちの動きではなかったですね」
試合前、相手のスターティングメンバーを見たとき、森脇はこう感じたという。
「しっかり走れて戦える選手がいるので、僕らも気持ちの部分で負けちゃいけない。難しいゲームになる……。」
その予想は現実のものとなる。
味の素スタジアムで行われたFC東京戦の14分。ラファエル・シルバのスルーパスを受けた興梠慎三の巧みなゴールで浦和が先制する。
だが、連戦による疲労が蓄積しているのか、暑さが影響しているのか、浦和にいつもの勢いが感じられない。
51分、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督が早くも動く。菊池大介に代えて関根貴大をピッチへ送り出し、その後も青木拓矢と李忠成を投入するが、思うようにチャンスを作ることができない。
終盤はロングボールによる相手の猛攻を受けながらも、守備陣が最後まで集中力を切らさなかった。
「むしろつながれて攻め込まれたほうが、僕らにとってはキツかったと思います。ロングボールを蹴られるのは分かっているので、競った後のセカンドボールを意識しましたし、僕らDF陣にとってはそんなに難しいことではありませんでした」
最後まで慌てることなく、勝利を手繰り寄せられる勝負強さが、今の浦和にはある。
苦しみながらも勝ち点3を手にしたという自信が、“美しいサッカー”を取り戻す力となる。
取材・文=大西 徹