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「桜スタジアムプロジェクト」インタビュー 大阪のみらいに、感動を贈ろう。

2017.04.15

写真提供=2016桜スタジアム建設募金団体
※図面はすべてイメージです

 今年3月14日より寄附金の募集がスタートした「桜スタジアムプロジェクト」。
『大阪のみらいに、感動を贈ろう。』という思いのもと、みんなで育むスタジアムはこれからどう歩みを進めていくのか。宮本功桜スタジアム建設募金団体代表理事が語ってくれました。

皆さんと一緒に自慢できるスタジアムに

――2015年9月に「セレッソの森スタジアム構想」を発表し、今年「桜スタジアムプロジェクト」として3月に寄附金の募集が始まりました。改めて、これまでの経緯を教えてください。

宮本功 「セレッソの森構想」は舞洲のクラブハウスも含めたものです。セレッソがどう成長していくかというグランドデザインを描く時に練習場やクラブハウスはもちろん、スタジアムについても考えました。そこで、お客様にサッカーの本質をより感じてもらえるよう、キンチョウスタジアムの改修を重ねてきました。なぜなら観客が少ない中(例:J2在籍時)でのヤンマースタジアム長居の試合はガラガラな印象があり、さらに陸上トラックがあるためピッチが遠くに感じます。そうなると、お客様が「もう1度来たい」と思いにくい。そこで、近くでサッカーそのものを感じられるキンチョウスタジアムをクラブの成長に合わせて段階的に改修していくことが合理的だと考えました。


――なるほど。スタジアム改修の構想は、以前からあったのですね。

宮本功 はい。そこから昨年、長居公園全体の指定管理者となり、ホームゲーム日の20日間だけのセールスプロモーションではなく、一年中(365日)長居公園への来場を促すことに加え、来場者にセレッソ大阪を知っていただくというプロモーションに切り替えました。セレッソの試合だけでは年間約30万人の来場者ですが、長居公園は年間200万人もの人が来園していますからね。そして次のステップとして「桜スタジアムプロジェクト」に進みました。ただ、スタジアムはセレッソだけで使用するわけではないですし、市民や地域の皆さんにとっても大事なものにならなければいけません。その意味でセレッソの「桜」、大阪市の花「桜」、日本を象徴する「桜」をプロジェクト名称の頭にいただいたんです。

――ただ、一昨年にスタジアム構想を発表されてから寄附金の募集をスタートするまで1年半、少し時間を要した印象もあります。

宮本功 実は募金団体は早いタイミングで立ち上げ準備を進めていましたが、昨年に悲しい震災が起き、そういった中で寄附金を募ることは我々としては考えられませんでした。また、昨シーズンはJ1昇格への戦いが難しい状況にあり、すぐにスタジアムをという状態ではないと(笑)。それと募金団体として準備する中で、想定よりも工期が短くなることが分かったのも背景にありました。

――工期の目途が分かり、より具体的に準備を進めることができるようになったのですね。

宮本功 はい。工期が短い分、現スタジアムをより長く使えますし、改修工事によって地域の方々にご迷惑を掛ける期間も短くて済むので、非常にポジティブです。その中でJ1昇格も無事に果たし、寄附金の仕組みも整え、今年3月にスタートできました。

――今回は現アウェイゴール裏とバックスタンドを改修し、2020年冬の完成を予定していますが、今後の道のりはどのようにイメージしていますか?

宮本功 募金団体は1年間活動できますが、延長を認められれば3年後まで活動できます。その中で皆さんにお願いをして目標金額まで寄附金を集め、チームも安定してJ1で戦いながら、より良い状況で改修後のスタジアムを使い始めたいと考えています。

――今年、完成イメージ図も新たに公開され、サポーターの方々の期待も膨らんでいます。改めて「大阪のみらいに、感動を贈ろう。」というキャッチコピーのもと、進めている桜スタジアムのイメージを教えてください。

宮本功 クラブの体力に合わせて段階的に改修を重ね、スタジアムを育むことがまずポイントです。なおかつ、JRや地下鉄、私鉄も含めてアクセスの良い都心にありますから、その特性を生かして平日でも地域の方に使用いただけるスタジアムにしていくことも大切です。桜スタジアムは、育成型複合スタジアムとして改修していますから。そして何より地域の皆さんに助けていただきながら育てていくので、サッカー以外にもラグビーやアメリカンフットボールなど、様々なスポーツの感動が味わえ、「ここにスタジアムがあって良かった」という思いを抱いていただけるよう、そしてその感動を未来に受け継いでいけるように、という思いを持っています。

――地域の方々と一緒に育みながら、未来につなげていくと。

宮本功 我々の体力を考えても一気に新スタジアムは建てられませんので、育てながら感動を未来につなげていきたい。もちろん、地域の建物ですから、無機質なものではなく、随所に木や緑を使って自然と共生すると言いますか、温もりを感じられるようにもしたいと考えています。また、時には避難所であったり、防災面で地域にとって頼りになる場所にもしたいです。

――なるほど。そんな「みんなでつくる、育む」第一歩が、3月からスタートした寄附金になるわけですね。

宮本功 そのとおりです。寄附いただいた皆さんにはメモリアルカードをお渡ししたり、スタジアム内に名前を刻み、未来に残すことを考えています。掲出場所は、例えば選手がピッチに行くまでの通路や、いつでも見られる外壁など様々な場所を想定しています。

――寄附をした皆さんが「自分も参加している」と実感できますね。

宮本功 それ以外にも寄附者の皆さんを招待した内覧会も考えています。一緒に育んでいくわけですから、成長過程もご覧いただきたいですからね。

――また、寄附金は個人・法人を問わず、負担が軽減される仕組みを整備されたとも伺いました。

宮本功 個人の方はふるさと納税と同じ仕組みなのですが、ふるさと納税だと大阪市民の方はできないので「ふるさと寄附金」制度になります。この制度で確定申告を行えば、所得税や住民税から寄附金控除を受けることができます。また、法人の方は損金計上ができます。通常、企業が許される寄附金には制限がありますが、桜スタジアムは完成後に大阪市へ寄贈するため、税制上「国等に対する寄附金」という取り扱いになり、優遇税制が適用されるんです。

――キンチョウスタジアムを改修することによって、地域の方々にはどんな利点があるのでしょう?

宮本功 例えば、桜スタジアムが完成してJリーグのホームゲームを多く開催することで、ヤンマースタジアム長居に比較的余裕ができます。そこでイベントなど様々な催しができますし、これまで以上に長居公園全体の魅力を生かせると考えています。それによって、いろいろな楽しみを地域の方に提供していきたいと思っています。

――また同時に、サポーターの観戦環境や満足度も高めなければいけません。

宮本功 もちろんです。昨年のJ1昇格プレーオフをキンチョウスタジアムで開催し、たくさんの方に来場いただいて素晴らしい結果を得ましたが、2試合とも雨だったんです。皆さんずぶ濡れになって、凍えながら声援を送ってくださった。その声援によって勝利できましたが、やはりホスピタリティーが低いと改めて感じました。屋根があったり、西日がなかったり、より良い環境でおもてなしをしたいですし、サポーターの方に楽しんでいただく環境を作ることは、クラブが成長するためにも絶対に必要です。だから今回の改修はクラブの未来にとっても重要なんです。

――今回の改修は20年冬頃の完成予定ですが育んでいくスタジアムということで、そこが終着点ではありません。その先の未来はどう描いていますか?

宮本功 今回の改修を終えると約3万人収容になりますが、いずれ4万人規模にしたいと考えています。ただ、それは単にスタジアムを大きくしたいというわけではありません。クラブの成長とリンクしていかなければ、ガラガラのスタジアムになり、また顧客満足度が下がってしまいますからね。4万人規模にするためには、それだけの魅力があるクラブに成長していかないといけない。本当にステップバイステップで、より良いスタジアムを目指して全員が一体となって進んでいきたいと考えています。

――それでは、最後に桜スタジアムへの思い、一緒にスタジアムを育んでいく皆さんへメッセージをお願いします。

宮本功 サポーターの皆さんはJ1昇格プレーオフが一番分かりやすいと思いますが、選手がやりたいと思うこと、皆さんが願うこと、すべてがシンクロしていたと思うんです。雨が降る厳しい環境の中「勝ちたい」、「J1へ戻りたい」と。そういった思いをより良い環境の中で共有できる、一緒に味わえるスタジアムをつくり、育てていきたいと思っています。地域の皆さんには、桜スタジアムがセレッソを知るきっかけになればと思いますし、段階的に改修していくからこそ、皆さんの声も反映していけます。その強みを生かして試合日以外も楽しんでいただけるよう、ともに育てていきたい。そしてサポーターの皆さんが、地域の皆さんが自慢できるスタジアムに、自慢できるクラブになっていきたい。そこにご協力いただきながら、一緒に歩んでいければと思います。

桜スタジアムプロジェクト概要

ご寄附いただいた寄附金は、桜スタジアム改修のための「改修費用」「寄附金募集の費用」に利用いたします。改修した桜スタジアムは大阪市へ寄贈されます。

募金目標金額:66億円
・現キンチョウスタジアムを活用した段階的改修
・日本一の親近感を実現
・地域のためのスタジアムに
・みんなが参加できるスタジアムづくり

■桜スタジアム概要
収容人数 約30,000人
タイプ 球技専用スタジアム
完成予定 2019年度

■法人
支出した寄附金の金額が、法人税における損金算入額となります。手続きには、寄附先に「桜スタジアム建設募金団体経由大阪市」と記載の上、別途募金団体の発行する「領収書」の保管が必要となります。

■個人
「ふるさと寄附金」として確定申告を行うことにより、所得税や住民税から寄附金控除を受けることができます。確定申告の際には、寄附先に「桜スタジアム建設募金団体経由大阪市」と記載の上、別途募金団体の発行する「領収書」の添付もしくは提示が必要になります。

■お問い合わせ・お申込み先
桜スタジアム建設募金団体
https://www.sakura-stadium.jp

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