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【ライターコラムfrom福岡】18歳の超有望株、U-20日本代表DF冨安健洋に漂う“おじいちゃん感”

2017.03.23

17歳でプロ契約を結び、今季はスタメン定着するなど、クラブ生え抜きの逸材として注目されるDF冨安(右から3人目) [写真]=J.LEAGUE PHOTOS

 若干18歳にして、井原正巳監督から「あの若さで、年齢を感じさせないクレバーさ、落ち着きがある」「落ち着き過ぎて、おじいちゃんみたい」と一目置かれているのが、東京五輪世代、U-20日本代表候補のDF冨安健洋だ。

 昨シーズン、高校卒業を待たずに17歳でプロ契約を結び、リーグ戦の終盤はレギュラーを獲得してJ1リーグ10試合に出場した。今シーズンもJ2第4節まで、センターバックとしてフル出場。第4節のロアッソ熊本戦では、右CKからプロ初得点も決めた。さらに、熊本戦を終えてすぐに渡独。20日からU-20日本代表として、ドイツ遠征に参加している。


 188センチ、78キロと恵まれた体躯。スピードもあり、しなやかさもある。練習後には、自身が持ち込んだチキンを食べてタンパク質を補給し、「可動域を広げるため」入念にストレッチをするのが日課。身長は昨シーズンより3センチ伸び、体重は8キロ増えた。プロとしてやるべきことを怠らず、貪欲に自身を磨き上げる。

 それなのに、冨安には良い意味で“オーラ”がない。17歳でプロになり、クラブでレギュラーを獲得し、U-19アジア選手権の初優勝メンバーになっても、鼻にかけるようなことは、いっさいしない。そのフラットな感じが、冨安らしい。

第4節の熊本戦ではプロ初ゴールを記録 [写真]=J.LEAGUE PHOTOS

「中学時代から、一番早く練習に来て、最後まで残って一人で片付けまでしても、文句ひとつ言わなかったですよ。『誰かに手伝ってもらえよ』ってこっちから言っても、『いや、別に大丈夫ですよ』って感じで」

 そう話すのは、アビスパ福岡アカデミーダイレクターの藤崎義孝氏。U-15から福岡の下部組織でプレーしてきた冨安の指導者の一人だ。アカデミー時代から、チームを離脱するような大きなケガもなく、各年代の代表にも選出され続け、順風満帆に成長した。恵まれた体格、技術の高さ、走力、素直さ。「大化けする」予感は当時からあったが、藤崎氏によれば「中学時代から何でも自分で考えて、自分で実践していたから、育てたという感じはしない」そうだ。17歳でトップチームに昇格させる時も「何も心配することはなかった。自信を持って、プロに送り出せた」という。

 今シーズンは、J1復帰を目指すチームと、5月から韓国で開催されるU-20ワールドカップの主力として、さらなる飛躍が期待されている冨安。東京五輪にも順調に選出されれば、福岡の下部組織出身としては初めてのオリンピアン誕生となる。「走力があるし、プレーエリアも広い。将来、日本代表のセンターバックのイメージを変えられる選手になると思います」と、藤崎氏も期待を高める。

 だが、そんな周囲の期待すら平然と受け入れてしまうのが、冨安という“おじいちゃん”だ。淡々と、黙々と、サッカーに向き合う。

文=新甫條利子

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