2017.02.24

【2017年J1クラブ分析⑭】甲府が培ってきた“残留力” 注目は新加入の30代ダブルボランチ

吉田達磨
今季から甲府を率いる吉田達磨監督 [写真]=Getty Images
サッカーはもちろん、バスケや野球、ラグビーにも精通する“球技ライター”。

 ヴァンフォーレ甲府の『J1探検』はついに連続5季目となる。甲府は2006年の初昇格時に2年で、二度目の昇格時(11年)も1年で降格している。経営規模はJ2レベルのプロビンチアがこの地位を保っているのは、12年夏に城福浩監督(当時)が導入した『5-4-1』の戦術が根付いているからに他ならない。

 今季は吉田達磨新監督のもとで、もちろん変化があるだろう。ただ新監督が「マイナーチェンジ」「相手陣内よりも自陣の方が長くなるというチームであることに変わりはない」と述べるように、スタイル面で劇的な変化はないはずだ。他チームを圧倒する内容、優勝争いは望めないし、臨むべきでない。

 順位予想を見れば解説者、ライターの大半が甲府を降格圏内と予想している。しかし一昨年、昨年もそれは同様で、いわば平常運転だ。また派手な補強はなくても、上積みとして期待できる部分は間違いなくある。

「またシーズンの途中にマルキーニョス・パラナが戻ってくるんでしょう?」。甲府担当をしていると、そんなことを皮肉まじりに言われることがある。パラナは13年、15年、16年と三度も「途中加入」で甲府の残留に貢献しているのだから、まんざら的外れな指摘ではない。ただ「四度目」はないだろう。今季はキャリア豊富なボランチを二人、獲得しているからだ。

2017シーズンの基本予想フォーメーション

 兵働昭弘はチームの大きな補強ポイントだった「左利き」で、展開力に優れた司令塔タイプ。J1は6年ぶりだが、5季連続で30試合以上に出場している安定感の持ち主だ。34歳という年齢はやや高めだが、甲府には30代後半で「再ブレイク」に成功した土屋征夫や盛田剛平のような例がある。新加入で副キャプテンを任されているところからも、チームの期待がうかがえる。

 小椋祥平はボール奪取能力が高く、「マムシ」の異名で知られるMFだ。派手な技巧はないが、実戦で観察してみると確実なつなぎが印象的だった。遠藤保仁や中村俊輔と併用すれば技巧は見劣りするのかもしれないが、甲府の中盤ではむしろ「上手い」側に入る。年齢は31歳で、大きな故障歴もない。やはり開幕戦のスタメン候補だ。

 プレシーズンマッチでは兵働と小椋が主力組のボランチでプレーしていた。耐える展開の多くなる甲府の中では彼らの経験値や堅実性が活きるだろう。

 吉田監督が最終的に目指すものは試合の主導権を取って、相手を振り回すサッカーだろう。だとしても、まずは堅守を取り戻し、既存戦力と新戦力を融合させるという地道な取り組みが必要になる。兵働、小椋は16年型の甲府から17年型の甲府に橋を架ける、J1の激流を乗り越えるために欠かせない人材だ。

文=大島和人

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