「言い訳する気は毛頭ない」…ペトロヴィッチ監督、無念の敗戦に「何とも言えない」

鹿島とのCS決勝後に、浦和のペトロヴィッチ監督が胸中を語った [写真]=Getty Images

「言い訳をする気は毛頭ない」と前置きした上で、指揮官は続けた。

「リーグ戦34試合を戦って勝点74を取った。その積み重ねは選手たちにとって大きな労力であり、メンタル的なプレッシャーも簡単ではなかった。そして我々は(11月)3日にリーグ戦を終えて、29日に第1戦があり、今日第2戦があった。リーグの中で疲れが溜まり、1カ月も何もない中でこの試合を迎えなければいけなかった。疲れ切ってパワーがゼロの状態から、決勝を戦うように持っていくのは難しい仕事だった」

 明治安田生命 2016Jリーグチャンピオンシップ(CS)決勝の第2戦。アウェイでの第1戦を1-0で折り返し、引き分け、もしくは0-1でも優勝が決まるという浦和レッズにとっては優位な状況。さらに、立ち上がり7分にはスローインから高木俊幸のクロスを興梠慎三が右足のダイレクトボレーで決めて、リーグタイトルはその手中にあったはずだった。

 しかし、40分の金崎夢生のゴールで、状況は一変する。

 身体を張った球際の強さも、複数で相手を囲い込むボール奪取も、次第に影を潜めていく。60分を過ぎた頃には鹿島アントラーズに押し込まれる時間帯が続いた。そして77分、スルーパスに抜け出した鈴木優磨をエリア内で槙野智章が倒してしまいPKを献上。これを金崎が冷静に沈めると、年間王者の称号は手からすり抜けてしまった。

「ただ、浦和レッズがナンバーワンのチームだったと思っていますし、今日のこのファイナルについても2-2の引き分けだったと思っています。レギュレーションの中でアウェイゴールが優先されましたが、負けたわけではありません。(年間)勝点で15ポイント多く取ったチームが与えられたアドバンテージがどうだったのか」と疑問を呈したペトロヴィッチ監督。

 続けて、「このレギュレーションの中で一番アドバンテージがあったのは(年間勝点で)2位の川崎フロンターレだったと思います。ホームで戦えて引き分けでも勝ち残れたわけですから。しかし(年間勝点で)1位の我々にアドバンテージがあったかと言えば、同じレギュレーションの中で戦ったのは間違いないわけです。それでも我々は敗れて、勝ったのは鹿島です。ただ、そういうものであったということを、私はこの場で説明したかった」と補足した。

 JリーグYBCルヴァンカップを制し、2ndステージで優勝、年間勝点でも1位になった2016年の浦和。獲得していれば10年ぶりのリーグタイトルとなるはずだっただけに、指揮官はその無念な思いを、師匠と仰ぐイビチャ・オシム氏を引き合いにこう表現した。

「オシムさんは(ジェフユナイテッド)千葉を率いてナビスコカップを取りました。しかし、彼もリーグ優勝は手にできなかった。私もようやくルヴァンカップを取りましたが、あとほんの少しのところでリーグタイトルは取れなかった。私の師匠が取れなかったタイトルなので、私自身もまだ師匠を超えられていないのだなと、何とも言えない気持ちです」

 これで浦和の2016シーズンは終わりを迎えるが、悔しい思いがあるからこそ強くなることができる。再び1ステージ制となる来シーズンに、改めて浦和の真価が問われるはずだ。

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