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【インタビュー】類い稀なメンタリティで試合を操る柴崎岳、その集中力の高め方とは

2016.09.07

 柴崎岳鹿島アントラーズ)が冷静さを失うことはない。どんな時でも落ち着いて、淡々とプレーする。

 どれだけ視野が広くても、また正確な技術があったとしても、試合中に感情的になるようでは司令塔の役割は務まらない。いつも通り、平常心で――。集中力を高めるために「自分の世界を作る」と柴崎は言う。


 そのこだわりはウエアにも表れている。身にまとっている「Z.N.E. Hoodie」は自分だけの空間を作り出し、集中力を高めるサポートをする。それほど、彼にとって試合前の準備は重要だ。「最後に聴いた音が、自分の試合に入るリズムになる」。柴崎が独特な言い回しで語り始めた。

柴崎岳

インタビュー・文=高尾太恵子
写真=兼子愼一郎

あえて大きな声を出す。それも集中力を高めるため

――試合前はどのように集中力を高めているのでしょう。

「まずは自分の世界を作ることから始めます。自分だけの感覚や空間、そしてリズムを作っていきます。同時に、周囲を意識することで集中力をさらに高める。「あそこで人が動いているな」、「あっちで何かやっているな」、「何かを手に取ったな」と空間内の動きを認知するんです」

――一つのことにガッと集中するというよりも、周囲を利用しながら全身の感覚を研ぎ澄ましていく感じですか?

「そうです。全部に気を配って、注意を向ける。一つのことだけに集中すると、視野が狭くなってしまいます。それは自分にとって集中力を高めたことにはならない。集中力が散漫しているように見えるかもしれませんけど、全体を捉えることでより敏感に反応することでができます」

――逆に疲れてしまいそう(笑)。

「いや、そんなことないです。全く疲れないです」

――実際はどのようにして「自分の世界」を作っていくのですか?

「一つの手段として、音楽でスイッチを入れることが多いです。試合前はなるべくハイテンポな音を探すようにしていますね」

――気持ちを高ぶらせるような?

「そうですね。でも、単に気持ちを高ぶらせたいわけではない。僕の場合は、音でリズムを作っていきます。僕は最後に聴いた音が、自分の試合に入るリズムになったりする。例えば、クラシックのようなゆったりしたテンポの音楽を聴いていると、遅いリズムで入ってしまう。なので、僕は「トン、トン、トン」ではなくて、「トットットットッ」というテンポの曲を聴いて、頭の中のリズムやテンポをバーっと上げていく。そうすることでグッと集中できます。自分の中のリズムを上げるまで時間がかかりますが、最適なリズムを一度作ってしまえば、自由にコントロールができます」

――頭の中でリズムを上げてしまえば、遅くすることは簡単だと。音楽以外でそのリズムを作ることはありますか?

「人との会話でリズムが生まれることもあります。僕は、自分の世界に入り込んで会話をしたいので、あえて人とたくさん話すことでリズムを作り出します。そうすることで、試合前の集中力を保ったり、高めることができます」

――人と話さないほうが集中できるような気がしますけど、会話で生まれたリズムを自分のリズムとして取り込んでしまうんですね。では、コンディションが悪い時はどうでしょう。同じようなやり方で、無理をしてでもリズムを作り出しますか?

「最近はコンディションの波も少なくなってきたので、悪いと感じることがほとんどないです。基本的にフラットな気持ちでいることを心がけていますし、同じリズムを繰り返していたら、体も自然と反応してきます。海外の選手はメンタルコントロールが上手いと聞いたことがあります。試合前のモチベーションの高め方や、ロッカールームの雰囲気作りが上手だと」

――海外の選手はオンとオフの切り替えが上手いという印象があります。柴崎選手がロッカールームで意識していることはありますか?

「いろいろな言葉を声を出すこと。それぞれ声の大きさに差はあっても、みんなでチーム全体を盛り上げたり、鼓舞したりすることでいい雰囲気が生まれます。それができていない時は、内容が良くない試合をしていることが多いです」

柴崎岳

――柴崎選手から「声を出す」という答えが返ってきたのは少し意外でした。チームメイトを鼓舞したり、雰囲気を良くしようと考えるようになったのは最近ですか?

「“チームを鼓舞する”と言うと聞こえはいいですけど、自分が集中するためにやっていることでもありますから。わざと声を出すことで自分の集中力やモチベーションを高める。それが周りにも伝播して、いいスパイラルが生まれる。チーム全体が盛り上がってきた時には、緊張感と一体感が広がっています。選手個々の調子もありますが、最低限の雰囲気作りをやらないといけない。たとえ連戦で疲れていたとしても、常に気持ちが上がった状態で試合に入れるようにしていきたい。試合日までの1週間の中でいい練習をして、いいウォーミングアップをして、そこからキックオフ直前の雰囲気作りに持っていきたい。いい形で試合に入れた時は、必ずいい内容で勝利を手にしていますから」

――個人としてもチームとしても、いい連鎖を繰り返すことが必要だと。

「波みたいなイメージですね。最初は小さい海流だけど、周りをどんどん飲み込んでいくうちに少しずつ大きな波になってくる。いい流れが続くと、その波はさらに大きくなってくる。でも、何かが噛み合わなかったり、負けたりするとその波は小さくなります」

――小さくなってしまった波を再び大きくするためには、相当なパワーが必要ですよね。

「必要ですね。波が大きい状態で試合に入れると、すごくいい試合ができます。全員が集中できていると感じる。個人スポーツにはないチームの雰囲気を感じます。全員が声を出し合っていて、一人ひとりを見ても躍動しています。「うるさいなあ」と思うくらいがいいチームになっているかもしれません」

柴崎岳

武器は攻撃的なパス。アシストはゴールと同じ価値がある

――少し話を変えて、柴崎選手が考える「世界と戦えるボランチ」とはどういう選手でしょう。

「ボランチに求められていることは、昔も今も変わっていないと思います。いつの時代も「守備と攻撃ができないといけない」と言われます。得点力が必要とされるのも、今に始まったことではありません。つまり、守備と攻撃のバランスが高く、その高いレベルを保ったままプレーできる選手が評価されると思います」

――そもそもボランチは多くのタスクが要求されるポジションであって、その求められていることは普遍的であると?

「僕はそう思います。今夏のユーロ2016でも、運動量があって、ボールを奪えて、なおかつ飛び出していけるという選手が評価されていました。ボランチに求められることは昔から変わらない。だから、それを追い求め続けないといけません。ボランチは全ての局面に間接的、もしくは直接的に関与しています。攻守のバランスを保ち、量と質を上げていくことが、どの時代においても求められていることだと思います。さらに世界と戦うためには、自分の武器を一つ持っていることが必要です」

――では、現在の柴崎選手の武器を一つ挙げるならば?

「僕は攻撃的なパスです。ボールをもらったらパスだけではなく、アシストもシュートもできるので、自分の動きで攻撃のバリエーションを増やすことができる。それが一番の武器です。僕にとって、アシストはゴールと同じくらいうれしくて価値のあるもの。味方が決めやすいボールを出したいという気持ちはずっと変わらない」

――鹿島はボールを奪った瞬間に前線へ動き出す選手が多い。出し手としては選択肢が増えて面白いのではないでしょうか。

「その通りです。意識的に動き出してくれている部分もありますけど、「自分が決めたい」という欲求がみんな強い。その気持ちに値したパスを出さないといけないと思っています」

――柴崎選手にとって、100点満点のパスとは?

「パスは相手がいて初めて成り立つものなので、「ここに欲しい!」、「ここに出したい!」という考えがマッチしたパスですね。ゴールが生まれなかったら、そのパスに価値はないとさえ思っています。たとえゴールが決まったとしても、パスがずれていたら自分の中でモヤっとする。「たまたま」のアシストってたまにあるんですけど、それはあまりうれしくない。だからこそ、完璧にイメージが共有できた時は気持ちいい。アシスト力はもっともっと伸ばしていきたいです」

Gaku SHIBASAKI × adidas Z.N.E. フーディ

柴崎岳

フィット感や着心地にこだわる

――全身真っ白のコーディネートは珍しいですね。

「かなり新鮮です」

――素材へのこだわりはありますか?

「僕はフィット感や着心地を重視します。見た目のデザインも大事ですけど、一番は着心地です。デザインが良くても着心地が悪かったら意味がない。なんか、ファッションの話をすることがないので女性みたいで恥ずかしいですけど(照笑)」

――こだわりが強そうですね。

「洋服を買う時は絶対に試着をします。生地を触ったり、使っている素材の表示を確かめます。「なんかチクチクする」と違和感を感じたりしたら、いくらデザインが気に入っていたとしても買いません」

――「Z.N.E.」の着心地はいかがでしょう。

「とてもいいですよ。素材も肌に優しくて不快感がない。袖部分の親指が通せるデザインが気に入っています」

――大きなフードは選手の集中力維持をサポートするデザインに仕上がっています。

「顔や耳周りの空間をしっかりと確保しているので、自分の世界を作りやすいです。集中力を高める手助けになるウエアだと思います」

Z.N.E.とは
強大なプレッシャーの下で自らの集中力を維持し、しっかりと精神統一しながら新たな目標に挑むアスリートのためにデザインされたウエア。特徴的なフードは、騒音や心の乱れをシャットダウンできる厚みのある二重構造になっている。目深にかぶれるデザインで表情を見られることもない。アディダス直営店、アディダス オンラインショップ、一部のアディダス取り扱い店にて2016年9月7日より発売予定。

<メンズモデル>
・adidas Z.N.E. フーディ ¥12,990+税
サイズ:XS、S、M、L、O、XO、2XO、3XO、4XO
カラー:ホワイト、ブラック、カレッジネイビー、アイスブルー、オリーブカーゴ
・adidas Z.N.E. パンツ ¥10,490+税
サイズ:XS、S、M、L、O、XO、2XO、3XO、4XO
カラー:ホワイト、ブラック、カレッジネイビー

<ウィメンズモデル>
・adidas Z.N.E. フーディ ¥11,990+税
サイズ:S、M、L、OT、XOT、2XO
カラー:ホワイト、カレッジネイビー、ブラック、ヴェイパースティール、アイスブルー、ボールドブルー、レイレッド
・adidas Z.N.E. パンツ ¥9,490+税
サイズ:S、M、L、OT、XOT、2XO
カラー:ホワイト、カレッジネイビー、ブラック

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