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コンサドーレの都倉賢にSNS活用法の極意を聞いてみた

2016.06.23

SNS活用法について答える都倉賢

経営コンサルタントを本業としながらも、サッカー日本代表とコンサドーレの熱烈なサポーターとして各種メディアで積極的に情報発信を行っている村上アシシ氏。今回、J論ではアシシ氏独特のサポーター視点、経営コンサルタント視点で日本サッカー界を盛り上げる方法を探る対談企画をスタート。第1回北海道コンサドーレ札幌・野々村芳和社長との対談に続いて第2回は同じくコンサドーレから都倉賢選手。4年前にバロテッリのパフォーマンスで一躍有名になった都倉選手に、SNS活用術の極意を聞いた。

▼都倉流SNSの使い方


アシシ: 都倉選手は、Jリーガーの中でもSNSの使い方が非常に上手だなと感じています。コンサドーレの日本人選手の中ではツイッターのフォロワーが一番多いですし。他のJリーガーだと、例えば中村憲剛選手が試合に勝てば10分後とかに写真付きでツイートしますが、都倉選手は勝っても負けても絶対にツイートをしますよね。何かそういう部分で自分なりに心がけていることはありますか?

都倉:気にかけていることは、結果にとらわれないことですね。勝った試合でも負けた試合でも、結果によって周りの評価は当然変わるけど、自分の取り組み方だとか姿勢だとかは100%一貫している自信があります。もちろん感謝の気持ちは勝敗にかかわらず一緒ですが、負けた後に僕が呟いたツイートについて、サポーターがどう思うかについては、周りが評価することだと切り分けています。サッカーは1週間に1回しか日の目を浴びないスポーツですが、それ以外の6日間というのも『都倉賢』なので。アスリートの部分だけではなく、普段思っていることなども上手く切り取って、僕もひとりの人間として悩むこともあるし、キモチの波もあるという部分をSNSを通じて知ってもらうことで、よりサポーターに選手を身近に感じてもらえるかなって客観的に思っています。

アシシ:都倉選手は奥さんとの日常風景も写真付きでツイートするし、ネタとして荒野拓馬選手を使ったり、見せ方というかさらけ出し方が特徴的だなと感じています。そこは奥さんの村上萌さんがSNS周りに強いというか専門じゃないですか(編集部注:村上萌さんはInstagramのフォロワーが4万5千人いる)。何かアドバイスをもらっているんですか?

都倉:アドバイスというより、妻のやり方はずっと昔から見ていましたね。元々僕はブログをやっていて、Facebookもやって、ツイッターはやるか迷っていたんですけど、妻のSNSの使い方を見ていて、一緒に応援してくれる仲間が増えていくのはすごくいいなと。もちろん、ネガティブな要素もありますけどね。

アシシ:去年のキャンプ中に、荒野選手をネタにして動画をたくさんアップしていたじゃないですか。あれはある意味『やべっちFC』の人気コーナー『デジっちが行く』みたいな感じですよね。J2だとカメラが回ってこないから自分でやっちゃえみたいな。あの試みは非常に面白いと思っていて、実際サポーターに聞いてみると、あの動画を見て札幌ドームに来たって人がいたんですよ!

都倉:ホントですか? それは嬉しいですね。

アシシ:今まではクラブがお金をかけて新規顧客開拓の施策をうっていましたが、SNSがここまで世間に普及した結果、今は選手が直接情報発信して、そのおかげでスタジアムに来てくれる新規のお客さんを獲得できるようになりました。これはSNSのポジティブな部分ですよね。都倉選手のそういった姿勢を、もっとコンサドーレの若手は見習うべきだと思っています。例えば都倉選手がSNS講座とかクラブハウスで開催して、オシャレな写真の撮り方とか、誹謗中傷に対する心構えとか、色々ノウハウが溜まってそうだから若手に是非とも還元してほしいなって感じます。

都倉:若手は友だちと公開でリプライを送り合っていたりとか、あんまりオフィシャルな使い方をしていないのが気になりますね。

アシシ:そこ、是非説教してあげてください(笑)。ちょっと脱線する話ですが、都倉選手はけっこうスターバックスの写真を上げるじゃないですか。あれってコンサドーレサポーターがけっこう影響受けていて、潜在的な意識として『今日スタバ飲もうかな』みたいなフックがかかるんですよ。だったら僕はチームスタッフがあの店舗に営業へ行って、過去のツイートの閲覧数などを材料にしてサポートシップパートナーの営業かけると面白いと思います。

(同席していたスタッフ):検討します(笑)。

▼SNSでたとえ炎上してもブレない軸を持つことが大事

アシシ:都倉選手が毎試合後にツイートするのは、ある意味常に『PDCAサイクル』を毎週回しているように感じます。Planを立て、Doしたらその結果をCheckしてActionを起こす。そこは例え140文字でもいいから常に試合を振り返り、ここが悪かったここはもっと伸ばしたいとか反省をして、文章が長くなればブログに書いて、とにかくアウトプットする。それを人にさらすことによってクオリティーも高めなきゃいけないし、そういうところはビジネスマンも学べる部分が多いと思っています。都倉選手は、そういう『PDCAサイクル』を回す部分は意識的に行っているんですか?

都倉:サッカーは『準備、実行、後始末』の連続だと基本思っています。週末のためにまず準備をして試合で実行して、そのあと後始末、反省だったり次に向けてですね。そこから出たものをまた準備してというのは、基本的にどの分野でも成長のためには欠かせない部分で、これらのステップをうまく踏めれば、どんどん螺旋状に上がっていくと思います。

アシシ:それはどこから学んだんですか?

都倉:最初は感覚的に小さい頃からですね。例えば、リフティングが最初2回しかできなかったのが、10回になって100回となって自然にどうやったら成長できるのかが論理的にはわかっていないけど感覚的にはわかる。成長するにしたがって本とかいろんな人の出会いで、なんでそうやって成長するのかなって考えた時に分解していったら結局そういう要素があったんですよね。その中で準備はもっとどうしなきゃいけないとか、また細分化できるようになっているので、ここ2、3年は勢いだけではなく成長の仕方が論理的というか合理的にできているなっていうのはすごく実感しています。

アシシ:都倉選手は札幌にシーズン途中で加入して、最初は控え選手からのスタートだったけど、そこから結果を出してスタメン争いに勝って、J2ベストゴール決めて、と階段を着実に登っている感があります。それは上手く『PDCAサイクル』を回している成果とも言えるのではないでしょうか。

都倉:そうやって見てもらえると嬉しいですね。

アシシ:先ほどお話されていたSNSのネガティブな部分についても聞きたいです。例えば相馬崇人選手や安田理大選手は、最初は凄い面白い呟きをしていたのに、一度大きな炎上を経験して、サポーターから批判リプライが直接来てしまう形に嫌気がさしたのか、ツイッターを止めちゃいました。そういうSNSのネガティブな部分について、都倉選手は気を付けていることなどありますか? 逆に気にしないとか。

都倉:気にしないとなると逆に気になるので、ある意味そういう意見もあるんだっていう考え方です。例えば、試合の内容が良かったと思っても、結果的に負けてしまったらすべて色眼鏡でだめになりますし。あと、称賛も形を変えた批判だと思うようにしています。過度の称賛はある意味真実をねじ曲げていて、それに乗っかっちゃうと持ち上げられて裸の王様みたいになっちゃうから、批判も称賛も一緒だと思いますね。まずは、自分の軸や価値感を大事にしていますね。

アシシ:ブレない軸を持つということですね。

都倉:そうですね。ただそれだけだと、自分が間違った方向に行っちゃうので。例えばチームだったらもちろん監督が軌道修正してくれますし、コーチやスタッフがいろいろとアドバイスをくれたりとか、そういう身近な人たちがサポートしてくれます。たまに論理的なことより『今日チームとして気持ちが入ってなかったです』みたいな指摘は意外とそう見えちゃうんだとか思ったりしますよ。そういう気持ちの部分での指摘はけっこう刺さります。

アシシ:ツイッターのリプライは全部目を通してるいるんですか?。

都倉:全部は読まないんですけど、たまに見ますね。基本自分がアップする時以外はそんなに見ないです。

アシシ:炎上と言えば、2年前ぐらいに都倉選手が日本代表戦の最中に『キリンビールさん、いつも協賛ありがとうございます』とツイートして、サポーターから『コンサドーレのスポンサーはサッポロビールだよ!』と突っ込みがたくさん入ったことがありましたよね。あの後ツイートを消していましたが、SNSはそういったリスクもつきまといます。何か心がけていることはありますか?

都倉:あの時は日本代表目線で見ていて、キリンビールさんが日本代表のスポンサーということで、そういったツイートをしただけなんですけど、考えたらコンサドーレにはサッポロビールが付いているし。その後に色々と考えて、ツイートは消しました。

アシシ:僕もよくツイッターで炎上して批判を浴びる人間なんですが、その火種となるツイートが法律に違反しているようなことでもないかぎり、都度修正していけばいいと思っています。そういうモノの見方もあるんだな、人によってはこういう捉え方をするのだなと常に吸収していくのがSNSとの上手な付き合い方なのかなと。

都倉:そうですね。あの時は普通に軽率というか本当に何も考えてなくて、日本代表のスポンサーをやってくれてありがとうございます、ぐらいの感じだったから。そういう経験を何回かすることで、投稿する前にちゃんと考えるようにはなりますよね。それだけ発言に責任感とか影響力が出ているんだなとは思うので。ある意味、逆にそれを上手く利用していけばどんどんファンや仲間が増えてくると思うので、使い方次第だと思います。

(取材日:2016年5月6日)

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