身長155センチの中川(右から二番目)が楢崎からプロ初ゴールを奪った [写真]=高尾太恵子
身長155センチ、Jリーグ史上“最小”選手のゴールだ。
3日に行われた明治安田生命J1リーグセカンドステージ第13節柏レイソル対名古屋グランパスの一戦で、身長155センチの柏MF中川寛斗が89分にゴール。Jリーグ23年間の歴史において、最も身長の低い選手によるゴールとなった。
ゴールを祝福する歓喜の輪に、小柄なヒーローが埋もれた。
柏は大津祐樹がピッチを左から右へ横切るように力強くドリブルを仕掛けると、クリスティアーノとのパス交換からクロス。中央で待ち構えた工藤壮人のトラップが大きくなったところに素早く反応した中川が右足のインサイドで巧みに押し込んでネットを揺らした。
ゴールシーンについて「あまり覚えていない」と振り返った中川だが、「あの瞬間はすごく込み上げるものがあった」と初ゴールの喜びを表現した。
2013年に柏U-18からトップチームへ昇格すると同時に湘南ベルマーレへ期限付き移籍した中川は、今シーズンから柏へ復帰。U-17から各年代で日本代表に選ばれてきた逸材でもある。155センチという身長は、元ヴィッセル神戸MF中村友亮(現名古屋オーシャンズ/フットサル日本代表)の153センチ(当時)に次いでJリーグ史上2番目の低さ。ゴールを決めた選手としては最も小柄なプレーヤーだ。
中川は初ゴールを決めた試合後のミックスゾーンで身長の低さに関して聞かれても、ポジティブな姿勢を崩さない。
「小さいことが有利だと思うことはたくさんある。僕は大きな相手が嫌だけど、向こうも僕を嫌がると思う。みんなに『小さい』と言われるなら、それが僕の長所。自分のスタイルや意識を、そのまま自分の軸にしてやっていれば何も問題ない」
記念すべきゴールを決めた相手は、この日の試合で史上初となるJ1通算600試合出場を達成した名古屋GK楢崎正剛。偉大な守護神からマークしたプロ初ゴールが、Jリーグの歴史に隠れた新記録を刻む一発となった。
文=青山知雄