FC東京の森重(写真は新潟戦のもの) [写真]=Getty Images
2015明治安田生命J1リーグ・ファーストステージ第10節が6日に行なわれ、FC東京はベガルタ仙台と対戦し3-2で勝利した。
34分、ゴール前左からのFK。キッカーの太田宏介がファーサイドに蹴り込むと、相手DFを振りきってフリーになった森重真人が右足を強振し、逆サイドネットを鮮やかに揺らした。
「宏介からいいボールがきたので、難しくはなかった」
フラストレーションが溜まるような前半だった。立ち上がりからホームの勢いに乗る仙台に押し込まれた。森重自身も微妙な判定でFKを与えるなど、落ち着きのない展開に。24分にはエリア内で吉本一謙がウイルソンを倒したとしてPKを献上。これは権田修一の見事なセーブで失点を間逃れたが、流れは仙台にあった。
試合後の森重が「強みであるセットプレーから点を取ったあと、自分たちの流れになった」と振り返るように、先制点がチームを救った。
鬱憤を晴らすかのような一撃。アシストを記録した太田も「あれだけ豪快に振り抜いてくれて気持ちが良かった」と笑顔だった。
このゴールは前節の『多摩川クラシコ』で得た教訓を活かしたものだった。その川崎フロンターレ戦ではほぼ同位置からのFKから大久保嘉人に先制点を決められ、その後も再三ファーサイドで合されてピンチを招いた。森重は「セットプレーは練習通り。川崎戦で使われて嫌だったところをうまく使えた」という。
対戦相手に払った代償をチームの成長に結び付けた。この仙台戦でも、一時は3-0と大きくリード。そのまま試合が終了すれば暫定で首位に立ったはずだった。しかし、終盤に2失点。一筋縄ではいかないことをまじまじと痛感させられた。
勝って良しとしない雰囲気が今のチームにはある。「試合の入り、終わりが課題。最後の笛が鳴るまで集中しないと、今日みたいに危ないシーンを作られる」と森重。終了後のロッカールームでは早速、終盤の失点について話し合いが持たれたという。新たな“成長の種”を手に入れ、リーグ戦でそれを開花させたとき初めて、頂点が見えてくるはずだ。