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“カズダンス”で闘争心に火がついた武藤、豪快ヘッドに込めたエースの意地

2015.05.03

決勝ゴールを決めた武藤嘉紀 [写真]=兼子愼一郎

 ここで主役の座を奪われるわけにはいかない――。FW武藤嘉紀にとって屈辱的な光景だった。

「悔しかった。大久保選手に決められたというのもそうですし、ホームでああいうことをされるのは……」


 21分、ホーム・味の素スタジアムでFW大久保嘉人にセットプレーからJ1通算140ゴール目を決められた。ゴールパフォーマンスとして“カズダンス”を披露され、闘争心に火がついた。

「ワンチャンスを決めてやろう」

 52分、チャンスが訪れた。左サイドからMF東慶悟がゴール前に送ったボールを、相手DFを引きつけたMF羽生直剛がスルー。ボールはフリーの武藤の元に。左足を振り抜いたがヒットせず、力のないシュートはゴール右へと逸れていった。ビッグチャンスを逃し、両手で顔を覆った。

 しかし、これで終わらないのがエースFWに成長した男の所以だ。同点で迎えた87分。相手陣内のゴールライン付近で自らが得たFKののチャンス。DF太田宏介がゴール前に蹴ったボールにゴール正面でドンピシャのヘディングシュートを放った。

「セットプレーでは自分がファーにいくのが戦術的な決まり事だった。相手も油断していたと思って、ニアに走った」

『第25回多摩川クラシコ』の劇的な幕切れに、大観衆は酔いしれた。武藤自身も試合終了のホイッスルが鳴ると、その拳を握り締める会心の試合になった。

「本当にうれしい。その前に決定機を外していたので。失点は自分でファウルで与えたFKからでしたし、なんとか帳消しにしたかった」

 注目されている海外移籍についても「特に焦っているというのはありませんし、いつまでに決めるというのもない」と言及。「今はJリーグに集中したい。チームもいい状態ですし、手助けできるようにしたい」と続けた。

 クラブ初のリーグタイトルへ。エースFW対決を制した武藤が東京を未踏の高みへ導く。


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