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フォルラン加入に沸いてから1年、C大阪再建へのスタート

2015.03.09

主将としてC大阪の先頭に立つ山口 [写真]=兼子愼一郎

 気温11度と冬の気配が残る中、セレッソ大阪の2015シーズンの戦いが幕を開けた。ディエゴ・フォルランの加入に沸いた昨春から一年。J1復帰を目指す道のりは、ドローで始まった。

 フォルランや山口蛍扇原貴宏に加え、玉田圭司関口訓充らが並ぶメンバーは、J1と見まごうほど。ところが、8日に味の素スタジアムで行われた東京ヴェルディとのアウェー戦は、終盤に追いついた末の1-1だった。


 押し込みながらも得点できずにいると、47分に「不注意からの失点」(パウロ・アウトゥオリ監督)でリードを許してしまう。79分にフォルランが鮮やかなFKを叩き込み、何とか黒星スタートこそ免れたが、前途の険しさを予見するかのような結果であった。

 圧倒的な陣容を抱えるが、J2 は42試合の長丁場。その上、一癖も二癖もある相手が虎視眈々と勝ち点をかすめ取ろうと挑んでくる戦いは、一筋縄ではいかないはずだ。昨季はJ1で優勝候補に挙げられながら、よもやの降格を喫した。扇原が「チームとして、昨季から続く自信を失っている部分がまだちょっとあるのかな」と語るように、まだまだ本調子には遠い。

 とはいえ、明るい話題がないわけではない。右ひざの負傷で昨季の後半を棒に振った山口が、211日ぶりに公式戦に復帰すると、早速90分間走り回った。復帰戦白星とはいかなかったが、「昨季であれば、0-1のまま落としてしまう試合も多かったと思うが、しっかり追いつけ、気持ちを見せられたことが昨季と違うところ」と、好意的な捉え方が口をつく。

 アウトゥオリ監督も、「何よりも今日の収穫は、選手たちの見せたスピリット」と語る。鹿島アントラーズを率いた2006年以来となる日本での指揮だが、「(J1とJ2の)違い、難しさは感じなかった。サッカーは世界のどこでいつやっても同じものだから、全く気にしていない」という口ぶり。あくまで、42分の1が終わったに過ぎないといったところか。「メンタルを含め、いかに強く基盤のしっかりしたチームを作り上げるか」と話す表情からは、再建への自信も滲み出す。

 6シーズンぶりのJ2はドロー発進となったが、敵地まで駆けつけたサポーターから試合後に注がれたのは、ブーイングではなく拍手だった。「声援は自分たちの力になるということが、証明されたと思う。来てくれる分、しっかり勝ち点3という形で返していきたい」と、主将2シーズン目を迎えた山口は、落ち着きを持って口にした。

 数多の名門クラブを飲み込んできたJ2だが、大輪の花を咲かせるためには厳しい冬も必要となる。桜のつぼみを大きく膨らませるべく、険しい戦いが始まった。

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