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出場停止明けの大久保嘉人、有言実行の得点ランクトップ返り咲き

2014.09.23

2年連続の得点王なるか [写真]=Getty Images

 千両役者のような活躍である。出場停止明けの川崎フロンターレ大久保嘉人が、J1第25節の大宮アルディージャ戦でハットトリックを達成した。

 8月30日の名古屋グランパス戦で、広告看板を蹴って破損。2試合の出場停止を科せられている中、優勝争いを演じるチームは前節のFC東京戦でスコアレスドローに終わり、自身も得点ランクトップをペドロ・ジュニオールヴィッセル神戸)に明け渡した。


 とはいえ、「またこの1試合で抜いてやろうと思って試合に入った」という一戦で、得点ランクトップに返り咲く3ゴールを記録。風間八宏監督が思わず「すごいね」と口にし、中村憲剛に「(大久保)様様。カッコイイね、有言実行は。ああいう男になりたい」と言わしめる圧倒的な存在感を放った。

 圧巻だったのは、79分の3点目。中村の浮き球から右サイドを抜けると、相手DFと競り合いながらペナルティーエリア内に入り込み、角度のないところから右足でゴールを射抜いた。

「DFを弾き飛ばしながら、思いっきりニアにアウトサイドで打とうと決めていた」という一撃には、2アシストで助演した中村も「凄まじかった」と驚いた。

 攻撃面での貢献は言わずもがなだが、守備でも前線から相手を追いまわした。終盤にはさすがに疲労を滲ませたが、「両足をつっていても、ボールが来たらまた飢えてしまう強さはどこから来るのか」と風間監督も感嘆する。

「2試合を外から見ていて、サッカーをすごくしたくなり、気持ち的にもフレッシュになった」

 破損行為は断じていただけないが、当人最大の魅力と言える飢餓感は、思わぬところから湧いてきたようだ。

 首位を勝ち点6差の2位で追いかける中、小林悠とレナトが負傷交代。不安の種も生まれて残り9試合の終盤戦を迎えるだけに、「動いてくれるから出せるし、常に(ペナルティー)エリアにいるからみんなも信じて出せる」(中村)と信頼を寄せられるエースの復帰は心強い限りか。

 指揮官は「まだまだ、彼に望むものは高い」と期待をかけるが、当の本人も「俺が点を取ればチームが勝てると思っている」と言い切る。

 セレッソ大阪時代の2004年9月以来となる10年ぶり2回目のハットトリック直後でも、口をつくのは「嬉しいけれど、まだまだこれで終わりじゃない。次に向かっていく」という言葉。指揮官も驚く飽くなき飢餓感は、尽きそうもない。

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