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プロ野球日本シリーズにみる、Jリーグ・ポストシーズン制のメリット、デメリット

2004年のチャンピオンシップを制覇した横浜FM [写真]=Getty Images

 ポストシーズンは盛り上がる――。「楽天 vs 巨人」の日本シリーズを見て、改めて思った。全試合で地上波局のTV中継があり、視聴率(以下ビデオリサーチ調べ、関東地区)は第5戦までの4試合で20%以上をキープ。最高23.6%(第5戦)という高視聴率になっている。田中将大が先発した第6戦、優勝の決まった第7戦の視聴率は5日発表だが、さらに高い数字が叩き出されたはずだ。

 Jリーグに2ステージ制を導入しようという案も、同様に山場を作ろうという狙いだろう。チャンピオンシップを復活させればテレビ局の放映権料や、冠スポンサーからの収入が期待できる。10億円の収入不足を埋める苦肉の策とも聞くが、その意図が分からぬわけではない。リーグ戦以上の盛り上がりが期待できることも当然のメリット。最後のチャンピオンシップとなった2004年の「横浜F・マリノス vs 浦和レッズ」は、2試合で12万人以上を集め。テレビ中継も第1戦が12.0%、第2戦が15.3%という悪くない視聴率を取った。優勝が決まる日時を予め確定できるチャンピオンシップは、報道機関にとって扱いやすいイベントでもある。

 しかし日本シリーズ、チャンピオンシップが盛り上がるのは“優勝決定戦”の重みがあるからだ。日本シリーズ手前の“準決勝”に相当するクライマックスシリーズ(CS)を見ると、導入直後の2004年、05年が盛り上がりのピークだった。05年には「ソフトバンク vs ロッテ」が17.0%という視聴率を叩き出している。ただ導入当時は真新しさのあった形式も、近年は巨人戦を除き、キー局が中継することは稀になった。楽天の日本シリーズ進出が決まった試合はテレビ東京が中継したが、8.8%という平凡な数字。今年のセ・リーグCS「巨人 vs 広島」は3試合とも10%前後で、日本シリーズの半分程度である。

 さらなる問題は、ポストシーズンが山場になることで、リーグ戦の価値が落ちることだ。今年9月21日には「勝てばセ・リーグ優勝決定」という巨人戦を、日テレが中継している。しかし大一番にも関わらず視聴率は5.1%で、ナイター中継としては歴史的な低さだった。これはクライマックスシリーズの存在と、無縁でないだろう。W杯アジア3次予選が最終予選、本大会ほど盛り上がらないのと同じで、「先が長い」ことはファンの気持ちを冷ます。もっともCSが「盛り上がっている」と言うファンは多く、確かに普段のリーグ戦と比べれば集客は多い。とはいえリーグ戦の価値を落とすデメリットを埋め合わせるほどの成功なのか、私は疑問だ。

 Jリーグに話を戻すと、スーパーステージと称する“三階建て制”が大いに疑問だ。これにより各ステージの2位、場合によっては3位以下までが“優勝”を争うステージに参加することになる。今までの平屋建てに比べて、最上階までの距離がずいぶんと遠くなるのだ。ファイナルはそれなりに盛り上がるだろうが、“準決勝”は野球のCSを見ても分かるとおり。中途半端な位置づけとなる。仮にポストシーズン制を導入するにしても、準決勝導入は愚策と言うべきだ。

文●大島和人
大島和人(ツイッターアカウント@augustoparty)
1976年生まれ。外資系損保、調査会社などの勤務を経て、2010年ころからライター活動を始める。ヴァンフォーレ甲府、FC町田ゼルビアの取材を活動の柱としつつ、野球やラグビー、バスケット、バレーの現場にも足を運ぶ“球技ライター”。「サッカーだけを強化しても、サッカーは強くならない」が持論。日本がバスケ強国のスペイン、バレー王国のブラジルのような“球技大国”になることを一生の夢にしている。

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