2013.09.01

磐田が残留争いの大一番で痛恨ドロー…残り10節での浮上なるか

藤田義明
残留争いのライバル甲府と引きけてうずくまる藤田義明 [写真]=兼子愼一郎

 勝ち点15でJ2降格圏内の17位と苦しむジュビロ磐田が、残留争いのライバルとなる15位ヴァンフォーレ甲府とホームで対戦。75分に挙げた山田大記の先制ゴールを守り切れず、86分に失点を喫して引き分けに終わった。

 前節終了時点で甲府との勝ち点差は9。磐田としては何としても勝ち点3を奪って残留圏内との差を縮めたいところ。対する甲府は「お互いの立ち位置を考えたら、少なくとも勝ち点3を与えないことが絶対条件」(城福浩監督)に、引き分け以上の結果を視野に試合を進めた。

 試合は9人でブロックを作る甲府を磐田が攻めあぐねる展開が続く。ようやく試合が動いたのは75分。磐田が左サイドからつないだボールを小林裕紀がクロス。これを山本康裕がヘディングで折り返し、「裏に康裕がいるのが見えたので、うまく次への準備ができた」という山田大記が右足で蹴り込んで先制点を奪う。

 だが、磐田はこのゴールで守りに入ってしまったのか、終了間際の86分にわずかなマークのズレからパトリックのゴールを許し、その後の猛攻も実らず1-1のまま試合終了。必勝を期して臨んだ試合で、相手の思惑どおり勝ち点1を分け合う結果となってしまった。これで今シーズン、磐田が先制点を奪った試合の成績は1勝4分け3敗。勝ち切れない展開が続き、勝ち点を取りこぼし続けた結果、降格圏から抜け出せないというツケが回ってきている。

 試合後、甲府の城福監督は「勝ち点1を持ち帰ることができて良かった。同点に追いついた後、2点目を取りに行くリスクよりも、相手に勝ち点3を与えないようにするという意識がチーム内で統一できていた」とコメント。一方、磐田の関塚隆監督は「大一番で勝ち切れなくて残念。サポーターや選手に申し訳なく思う、勝ちたい気持ちが結果につながっていないのが現状。メンタルだけでなく、ピッチの中で何が起こっているのかをしっかり捉えることも必要。一試合一試合積み上げるしかないので、その両面から取り組んでいきたい」と苦しい胸中を明かした。

 厳しい現状を磐田の選手たちはどう感じているのか。5試合ぶりにスタメン復帰した川口能活は「勝ち点1しか取れなかったけれど、甲府に離されたわけではないし、ここから挽回したい。手を抜いている選手がいるわけではないし、戦う姿勢もしっかり見せている。夏場を過ぎて調子を落としてくるチームもあると思うので、自分を含めてこれから調子を上げていかなければ。残留争いを勝ち抜くには、リードを守り切るハードワークとメンタリティーが必要だと思う。チームの雰囲気に対して、自分がどう振る舞っていくべきかもいろいろ考えている。これからGKのプレーが結果を左右する試合が出てくる。まずはセービングで流れを変えられればと思うし、試合を決定づけるプレーを見せていきたい」と今後に向けて意気込みを語った。

 先制点をマークした山田は「いろいろあるけど、顔を上げて前向きにやっていかないと。チームとしてもう一回やり直して、ここから自分たちがどうしていくのが。それが一番大事」と話せば、昨シーズンに大宮アルディージャで残留争いを勝ち抜いたカルリーニョスが「最後まで諦めず、やることをやる。ただそれだけ。残り10試合を勝てばいい。すべては自分たちの手の中にある」と話した。

 残り10試合で残留圏内との勝ち点差は9のまま。ここ数試合、選手や関係者の言葉には「一試合一試合」というコメントが目立つ。当然ながら勝ち点は積み上げていくしかないが、先の見えないトンネルに入ってしまった感が強い。「一つ勝てば変わるはず」という話もよく耳にするが、リードしても勝てない状況が続いている点が非常に気になる。改善点が見えれば改善すればいい。だが、具体的な悪いポイントが不明瞭だからこそ、泥沼にハマっているのかもしれない。甲府戦を前に選手同士でのミーティングも開催されたが、結果に反映されていないのが現状だ。

 2008年にベガルタ仙台とJ1・J2入れ替え戦を戦った際は当時19歳の松浦拓弥が2試合で3得点を挙げるラッキーボーイとなってJ1残留を成し遂げたが、現在のレギュレーションではJ1下位3チームはすべて自動降格となる。果たして勝ち切れない状況が続くチームに劇的な変化は生まれるのか。そしてチームのムードを一変させるだけの勢いをもたらす選手は現れるのか。8月を終え、かつて黄金時代を築いた“名門”がJ2降格の危機に瀕している。

文=青山知雄(Jリーグサッカーキング編集長)

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