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FC東京がスタイルを貫徹して連敗脱出/Jリーグ

自分たちのサッカーを貫いて連敗を止めたFC東京 [写真]=山口剛生

 気迫の連敗ストップだった。

 流麗なポゼッションサッカーで開幕2連勝を収めながら、そこからリーグ戦4連敗を喫していたFC東京。決して内容は悪くなかったが、些細なミスや集中力の欠如が失点に直結し、結果の伴わない時期が続いていた。

 名古屋グランパスを味の素スタジアムに迎えての第7節、チームはこれまでの課題を乗り越えるべく、気持ちのこもったプレーを披露した。試合後。ランコ・ポポヴィッチ監督が「結果はもちろん素晴らしいが、内容もファンタスティックだった。サッカーのクオリティの高さとメンタルの強さを見せることができた」と手放しで称賛するほどの強さで名古屋に快勝して連敗をストップ。さらに「今日はチームだけでなく、クラブ全体が一つになって戦うことができた。結果が出ない間も支え続けてくれたファンには感謝しているし、今日の勝ち点3はクラブから皆さんへのプレゼント」と、クラブ全体の団結力に加え、変わらないサポートを送り続けたファンへの感謝を口にした。ルーカスも「私たちよりもサポーターのために勝った試合だ」と話した。

 連敗中のチームには、前半からイヤな流れがあった。開始早々に渡邉千真の巧みなボレーシュートがバーに嫌われ、直後には完璧な崩しを見せるも東慶悟がフィニッシュを浮かせてしまう。米本のロングフィードから抜けだしたルーカスは、GK楢崎正剛との一対一を止められた。三度の決定機を逸して迎えた30分、ダニルソンのクロスからケネディに頭で合わせられて先制点を献上。攻め込みながら決めきれず、ワンチャンスでやられてしまうという連敗中の悪循環が再来していた。続く40分には「鹿島からも見えたはず。札幌からでも見えたかもしれないが、なぜかレフェリーからは見えなかった」(ポポヴィッチ監督)というほど明らかなペナルティエリア内でのハンドを見逃されるなど、そのままリズムを崩してしまうかと思われた。

 しかし前半アディッショナルタイム、ルーカスの浮き球パスに抜け出した徳永がエリア内で倒されると、今度はしっかりと笛が鳴ってPKを獲得。これをルーカスが左スミに沈め、1-1の同点に追いついて前半を折り返した。

 先に「連敗中の悪循環」と書いたが、それは前半に好内容のサッカーを見せながら決め切れず、後半に集中力が切れたスキを突かれてしまうという傾向もそれだ。だが、この試合のFC東京は、ここからが違った。

 ハーフタイム、指揮官は選手たちにこう語り掛けたという。 「こういうところで大切なのは、冷静さを見失わないこと。しっかり自分たちのサッカーを出し切って、この状況にも打ち勝とう。私たちにはその力がある。これまでやってきたことを信じて戦おう」

 後半開始直後、渡邉が高い位置で相手のパスをさらって決定機を作ったが、これをゴール左に外してしまう。またも連敗中の悪い流れになってしまうかと思われたが、好機を逃してうつむきながら自陣へ戻る背番号9に対し、ルーカスが何度も手を叩きながら声を張り上げ、熱い檄を飛ばした。 「今日はミスをしても、点を取られても、前向きに行こうとする雰囲気がチーム全体にあった。あのシーンもカズマに下を向いてほしくなかったし、『次は絶対にいけるから』って、みんなで盛り上げて、落ち込まないようにしようと思った。これまでも前半にいいプレーをしながらゴールを決められないことが多かったけど、今日はそうならないようにしようと」

 選手たちの気持ちはゴールへ、そして勝利へ、強く向かっていた。

 その直後、森重真人が倒されて得たPKを再びルーカスが決めて逆転に成功。後半開始早々に失点する悪癖も反対にゴールを奪うことで相手に大きなダメージを与えた。14分には左サイドから流麗なパスワークを見せてゴールへ迫る。一度は楢崎にキャッチされたが、すぐさまつなごうとして転がしたボールを相手DFから徳永がカット。これを渡邉が右足で蹴り込み、値千金の追加点を奪う。攻撃が切れても集中力を切らさずに戦えたことがゴールにつながったと言えるプレーだった。

 その後も相手のミスを見逃さずに高い位置でボールを奪ってカウンターを仕掛け、パスを回して攻め込んだ後にも的確な予測と素早い出足でルーズボールを拾い続けるなど、名古屋を圧倒。終了間際もゆっくりボールを回して時間を使い、ゲームをクローズした。

 GK権田修一が「失点したシーン以外はチームとしてほとんどピンチがなかったので、自分の出番はほとんどなかった。今日は一つのボールに対して、選手みんなが攻撃、守備の両面でしっかりとどちらかの反応をすることができた。パスコースを作ること、フォローをすること、相手へ寄せること、コースを消すこと……。それが良かったんだと思う」と振り返ったように、90分間と通して集中力の高さと気持ちを前面に押し出したプレーが光った。

 これまでの問題点を解消したような書き方をしたが、決してチームとして取り組むサッカーが変わったわけではない。長谷川アーリアジャスールは「連敗している時も雰囲気は悪くなかったし、自分たちのサッカーを信じて戦い続けてきた。いいサッカーをしているけど、球際の寄せやルーズボールへの反応のような“サッカーの根本”と言えるプレーや、勝利にこだわる姿勢はこれからも絶対に忘れてはいけない。これをきっかけに上を目指していきたい」と気持ちを引き締め直した。

 権田は「これだけの集中力を続けていくのは難しいけど、僕たちにはそれができるだけのポテンシャルがある。それをやり続けられるかどうかが、常勝軍団になれるかどうかのポイントだと思う」と高い意識を口にしてミックスゾーンを後にした。

 自分たちのサッカーを信じて戦うこと。それがこれまでも貫き通してきた“ポポ・トーキョー”のスタイルだ。そして“常勝軍団”こそが東京の目指すものでもある。一つの勝敗に一喜一憂せず、勝利への飽くなき執念を持ってスタイルを貫徹する。苦しみ抜いた末に渇望していた勝利を手にした今日の試合が、クラブにとっての大きなターニングポイントになるかもしれない。

文=青山知雄(Jリーグサッカーキング編集長)

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