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石川直宏氏が10人の子供たちに特別授業!…「東武百貨店池袋店 presents 未来のサッカー選手入門福袋」に登場

2020.08.25

石川直宏氏がサッカー教室にゲストとして登場した [写真]=兼子慎一郎

 FC東京のレジェンドが、10人の子供たちに向けてサッカー教室を開催する――。そんな特別なレッスンが8月16日、埼玉県戸田市のキャプテン翼スタジアム戸田で行われた。

『東武百貨店池袋店 presents 未来のサッカー選手入門福袋』と題されたこの教室には、元サッカー日本代表にして、現在はFC東京のクラブコミュニケーターを務める石川直宏氏がゲストとして参加。感染予防対策を徹底した上で、サッカー選手を目指す小学2年生から中学1生生の男女10名に向けて、サッカー教室とトークイベントを行った。

ピッチに石川氏が登場。「短い時間の中で少しでも自分が経験したことを伝えたい」と語った

 まず、石川氏は「サッカーはどういうスポーツか?」と質問を投げかけると、子供たちから「ゴールを決める」、「ボールを回す」、「点を取られない」と次々と回答が飛び出した。「今日は『ゴールを決める』ためのドリブル、『ゴールを決める』ためのシュートを意識して取り組んでください」と石川氏は練習メニューに対する取り組み方のアドバイスを送った。

ウォーキングでのドリブルでウォーミングアップを兼ねる。 「いろいろなところでボールを触って」とアドバイスを送った

 ウォーミングアップを兼ねて、ウォーキングしながらのドリブルでサッカー教室がスタート。10人の子供たちが元気良くピッチに散らばり、ボールを扱いはじめる。石川氏は「足の内側だけでボールタッチを」、「今度は足裏だけでボールを扱ってみよう」とさまざまな指示を出していた。

ウォーミングアップが終わると、ストレッチで体をほぐす。一人ひとりにメニューを考えてもらっていた

 続いて行われたのは、「相手の逆を突くこと」を意識させたドリブルの練習。石川氏が華麗なデモンストレーションを実施したのち、子供たちがメニューに取り組んだ。石川氏は「何を意識してドリブルをしている?」、「何が大事かを考えながら」という問いかけを子供たちに繰り返していた。

「相手DFの前に体を入れよう」、「相手に足を出されない距離で仕掛けよう」と具体的なアドバイスが飛び出します

 シュート練習ではデモンストレーションのあとにすぐさま子供たちに実行させた。序盤は強いシュートを打てない子供たちが多かったものの、石川氏から「立ち足とシュートコースを意識しよう」とアドバイスを受けると、次第に子供たちが強烈なシュートを繰り出すようになった。

子供たちが強烈なシュートをゴールに打ち込んだ


休憩時間には個別で石川氏がアドバイスを送る場面も

 サッカー教室の最後のメニューは大人チーム、高学年チーム、低学年チームの3チームに分かれたミニゲームを実施。子供たちは教えてもらったばかりの技術を意識しつつ、積極果敢にゴールを目指した。石川氏が現役さながらのダイナミックなプレーを見せると、会場からは大きな拍手が送られるなど、白熱のゲームが繰り広げられた。得点時には石川氏から「ナイスゴール!」と子供たちへ声が掛けられていた。





 休憩を挟んだのち、トークセッションが行われた。プロ生活18年というキャリアを過ごした石川氏は、「横浜F・マリノスでプロになって、FC東京でプレーして、日本代表になった。夢を叶えたんだけど、プロ生活の中で80パーセントは辛かったり、苦しかった時間だった。でも、その先の20パーセントにめちゃくちゃ大きな喜びが待っている。何よりうれしかったのは、ファン・サポーターの人が自分のプレーを見て喜んでくれたこと」と振り返った。サッカー選手を目指す子供たちは真剣な表情で石川氏の貴重な話を聞いていた。質問コーナーでは、10人のサッカー少年・少女たちから次々と質問が飛び、石川氏が答えていく。「子供の頃に意識していたことは?」、「どうしたら逆足で蹴られるようになりますか?」、「どのような食事を摂っていましたか?」などの質問に、一つひとつ真剣に答え、時には子供たちに質問を返す石川氏の姿が印象的だった。

 トークセッションの終了後にはじゃんけん大会を開催。石川氏がサプライズで用意していたプレゼントを参加者に直接手渡した。イベントの最後には記念写真を撮影。全スケジュール終了後、サッカー教室に参加した子供たちから「シュートの時、軸足の力の入れ具合が勉強になった。教えてもらってからはボールの勢いが変わった」、「プロになるために諦めなかったという言葉が印象的だった」と満足げな感想が溢れてきた。

参加した子供たちは「楽しかった」、「また参加したい」と大満足の様子だった

──当初は3月に開催予定だったイベントが、新型コロナウイルス感染症の影響によって延期となっていました。

石川直宏氏(以下、石川) 親御さんや子供たちがこのイベントの開催を待っていてくださったのは本当にうれしかったです。夏休みという期間でしたけど、この状況下であまり外出もできなかったと思いますし、みんな首都圏で暮らしているので、いろいろと気を使いながら生活していたと思います。自分にとっても今日が特別な機会と感じられたので、みんなもそう感じてくれたらいいなと、やっていながら考えていました。

──参加者が10人という少人数でのイベントでした。

石川 10人でのイベントはなかなか経験がないですね(笑)。今日はドリブルとシュートというメニューに特化したこともあって、一人ひとりのプレースタイルや練習の中での変化をじっくり見ることができました。これは「すごくいいな」という特別感を僕自身も感じることができました。

──二つのメニューに特化した意図はあるのでしょうか?

石川 僕と言えばシュートとドリブルというイメージがありますよね。自分をイメージしてくれている参加者もいたので、全体的に取り組むメニューにはしたくなかった。今日は子供たちに「何のためにドリブルやシュートをするのか」を考えてもらいました。ドリブルやパス、シュートがうまい子供はたくさんいます。だけど「何のためにそれがうまくならないといけないのか」を考えている子供は多くないと感じていたので。

──「考えてプレーをする」が今日のテーマだったように感じました。

石川 そうですね。言いたいことはたくさんありましたけど、一つひとつを意識付けしようと思いました。例えば「次にシュートを打つときは、立ち足を意識しよう」とか。最初はドリブルだけ、その次はシュートだけ、最後にドリブルからシュートの流れ。全部を一度に言ってしまうととたんに難しくなってしまう。ドリブルであれば「相手の逆を突いてみようよ」、シュートであれば「立ち足を意識しよう」とシンプルに伝えることにしました。実際にそのアドバイスだけで子供たちのプレーが大きく変わりましたよね。

──見ていて驚きました。最初と最後でこんなに変わるものなんだと。

石川 その感覚をみんながどう感じているのか。それが大事なんです。こちらが感じてもらいたいことを、本人たちが感じられていなかったら意味がない。考えてもらって、実際にやってもらう。それで次は「こうやろう」と意識させる。今日は参加者のみんながその感覚を持てていたと思います。

──参加していた子供たちの様子をどのように見ていましたか?

石川 最初はすごく緊張していましたよね。どうやって和らげようかなと考えちゃいました(笑)。でも、今日のみんなは一人ひとりが一生懸命取り組んでくれました。そこは本当にありがたかったです。トークセッションのときも、みんなが僕の目を見ながら話を聞いてくれていました。

──質問コーナーでは子供たちの質問に対して、反対に質問を返していたフローが印象的でした。そこでも子供たちに考えさせることを意識していたのかなと。

石川 そうですね。質問をすることは、子供たちにとっては大きな一歩じゃないですか。だから、勇気を持って質問をしたことに対して、僕も真摯に応えようと思っていました。そこで「じゃあ、自分ってどうなんだろう」というところを、もう一度考えてもらいましたね。自分でも考えながら質問してくれる子どももいましたけど、聞きたいことがそのまま質問になっているケースが多いですよね。僕も彼らに向き合う上で、その質問を本人に聞いてみたかったんです。今日はそういうコミュニケーションを意識していました。質問されたことを、逆に質問して応えてもらう。その上で僕はこうだよと伝えたいなと。

──少人数のイベントだからこそできるコミュニケーションになりましたね。

石川 めちゃくちゃ貴重な機会でしたね。自分にとってもこういう機会がなかったので、こういったアプローチの可能性を感じました。

──改めて、今日のイベント全体を振り返って感想を聞かせてください。

石川 僕は継続的にスクールで教えているわけではありません。そして今日の参加者には、攻撃的の子もいれば、守備的な子もいました。もしかしたらGKの子もいたかもしれません。そういった子供たちに、僕のように何かに特化した武器があれば、それが自分の強みになる可能性があると伝えたいと思っていました。また、そのためにどうするべきかを考えてもらいたかった。そのためには、自分自身を知ることがすごく大事になると思います。実は自分のことを知らない子供って結構多いと思うんです。どうしても周りと比較してしまって、「あの子よりも自分は劣ってしまっている」と。そのマインドを変えてあげたい。今日より明日、明日より明後日、明後日より1年後と、しっかり積み重ねがあるかにフォーカスしてほしい。矢印を自分に向けて、周りの評価を気にせずに、自分の成長を感じられる人間になってほしいと思います。

写真=兼子慎一郎

By サッカーキング編集部

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