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サッカー界屈指の料理人・松本翔直伝! 美味・簡単・健康レシピ【#おうちWEEK・料理篇】

2020.05.03

 自宅で過ごす時間が長く続く中、その時間を充実した時間にしてもらうために『サッカーキング』『ベースボールキング』『バスケットボールキング』がゴールデンウィーク中にお届けする企画『#おうちWEEK』。その料理編ということで、サッカー界でも屈指の料理人である高知ユナイテッドSC所属の松本翔選手に、健康面を考えつつ、簡単に、かつ同じ食材でバリエーションを出すメニューを提案してもらいました!

 横浜F・マリノス下部組織出身で、トップチーム昇格後は愛媛FCやレノファ山口などでプレーし、現在はJFLの高知に在籍する松本選手。料理をするキッカケになったのはプロ3年目で愛媛へと期限付き移籍をした時で、「生活環境が変わり、寮もなく、自炊をしないといけなくなったことがスタートで、横浜FMで結果が出ない中、とにかくサッカーのためにできることは全部やろう!ということで料理にも取り組み始めた」とのことで、特に横浜FM時代に中澤佑二選手(背番号22で、松本選手が23だったため、ロッカーなどが隣だった)の姿を見て、プロ選手の姿勢を学んだそうです。


 松本選手は愛媛移籍まで「料理は親の手伝いもしたことがなかった」ものの、最初はとにかく雑誌やネットを見て、栄養バランスなどはいったん考えず、簡単な料理から始めます。

「料理以外の家事や手伝いは好きだったんです。サッカー以外に趣味もなかったんですけど、料理は買い物から片付けまで、めんどくさいとかもなく、うまく流れを自分の中で整理して考えられるようになって。外食もしますし、まずは無理せずに夕食だけから、という気持ちで始めました」

 そんな松本選手も、今や「スーパーをハシゴしている時が一番楽しいですね。野菜の値段や肉の値段がわかるようになると、『こっちが安い』といった感じで時間をかけて行動をする」ほどに。

「メニューを決めて買いに行くのではなく、見ながら決めますね。買う食材もいきなり変えますし、料理中も切り方ひとつ思いつきで変えてみる。サッカーにも共通するような即興性があって、そこもハマった理由かもしれませんね(笑)」

 SNSで松本選手が発信している『#松本食堂』が、サッカーキングでも開店です! 

☆テーマ食材「鶏胸肉」

 今回提案させていただくのは、「いかに真似しやすいか」。そして「やってみたい」と思ってもらえる料理です。そこで、安価で家計に優しく、アスリートはもちろん、スポーツや運動する人、または子どもの身体作りにおいても大切なタンパク質となる鶏胸肉をメイン食材に選びました。高タンパク・低脂質な鶏胸肉を「時短、簡単、材料少なく」を意識しつつ、料理風景やワンポイントなどをご紹介できたらと思います。

 基本となる1品目の「5分でできる水晶鶏風鶏ハム」をまず作り、そのベースを使って全部で5品紹介します。1品目から4品目は流れができており、ベース、副菜、汁物、丼物と一度の料理から4リメイクとなる時短テクです。5品目は鶏胸肉を焼いた時に起こりうるパサつき感を感じない、しっとり焼き上げるチキングリルを紹介したいと思います!

【全メニューの材料】
⚫︎食材
鶏胸肉、きゅうり、ミニトマト、きのこ類、青ネギ、玉ねぎ、卵、乾燥わかめ

⚫︎調味料
酒、白だし、醤油、みりん、ポン酢、塩胡椒

①5分で作る水晶鶏風鶏ハム<メイン食材>

【材料】鶏胸肉、酒ひと回し

《工程》

1.深めのフライパンや鍋に水と酒を入れ沸騰させる。その間に、鶏胸肉の繊維を断つようにそぎ切りをする。【ここが最大のポイント!】
(皮は取り、捨てずに同時に茹でましょう)

2.沸騰してきたら、ここからは流れでいきます。

鶏胸肉を入れる → 箸でほぐす → 火を止める → 蓋をする

3.約5分間放置したら、鶏ハムの完成!(茹で汁は捨てないように)

【ワンポイント】
★そのまま食べても良し、サラダやメインに入れても良し! 炒め物なら最後に混ぜても固くなりません!
★保存の際は茹で汁と一緒に冷蔵庫に入れておけば固くならずに食べれます!

②鶏皮ときゅうりのさっぱり小鉢<副菜>

【材料】鶏胸肉の皮1枚分、きゅうり1/3、ミニトマト2~3個、小ネギ適量、ポン酢適量

《工程》

1.鶏ハムと一緒に茹でていた鶏皮を取り出し、水気を切り、小さめに切る。きゅうりは千切り、ミニトマトは小さめに切ります。小ネギも切っておきます。

2.全てを混ぜて、お皿に盛り付け、小ネギを多めに振りかけ、最後にポン酢を垂らして完成。あれば、炒りごまを最後にパラっと!

【ワンポイント】
★ラー油や七味を振ってもgood!

③鶏ハムを作った出汁のスープ<汁物>

【材料】鶏ハムの茹で汁、白だし(大さじ2)、きのこ類適量、乾燥わかめ適量、塩、ブラックペッパー

《工程》

1.茹で汁に全ての材料を入れ、再度火をつけます。少し煮たら、最後に塩で味を整えます。盛り付けたら、ブラックペッパーを振って完成!

【ワンポイント】
★かなり優しめのスープです
★味噌を溶いて味噌汁にしても良い!

④親子煮(親子丼)<主食>

【材料】鶏ハム、茹で汁約50~70cc、玉ねぎ1/4、卵2個、醤油(大さじ1)、みりん(大さじ1)

《工程》

1.茹で汁、醤油、みりんを小さめのフライパンに入れ、玉ねぎも入れて、火をつけます。卵も軽く溶いておきます。

2.玉ねぎが少し柔らかくなったら、鶏ハムを入れ、もう数分煮詰めます。汁が少なめになったら、溶き卵を回し入れ、10秒程経ったら、火を止め、蓋をし、余熱で卵に火を入れます。

3.卵の加減がお好みの固さになったら完成!

【ワンポイント】
★ご飯は別で、主菜として、親子煮でも!

⑤鶏胸肉のほろほろグリル<主食>

【材料】鶏胸肉、酒適量、塩胡椒、バルサミコソース(醤油、キビ砂糖)

《工程》

1.鶏胸肉は酒を振り冷蔵庫から出しておきます。

2.水気を拭き取り、鶏胸肉は観音開きにします。両面に塩胡椒振って、準備はこれだけ。

3.中火で温めたフライパンに鶏胸肉の皮目から焼き、軽く押さえるように60秒~90秒焼きます。

4.火加減そのままで蓋をして4分。火を止めて、蓋を取り、胸肉を裏返し3分放置したら完成!

【ワンポイント】
★繊維がとろけるので、そぎ切りがおすすめ。
★そのままでも、お好きなタレやソースをかけてもGood!

■まとめ

 野菜などはうまく冷凍やカット野菜を用いましょう。全てを1から作るのは慣れるまでは少し大変なので。今回のレシピで言えば、小ネギやキノコ類はカットされている物を使ってみてもいいでしょう。そして、トッピングなどでも使える、ワカメやゴマなどの乾物は常備しておくことで、どんなものにも使えますし、栄養素のプラスアルファが得られる食材として大切なので、ストックしておきましょう!

 今回は全体的に優しめの味付けになっています。普段から外食に慣れていると少し物足りないかもしれませんが、鶏胸肉をはじめ、添加物や余計なものを使わずに調理をしているので、より食材の味を感じてもらえたらと嬉しいです!

■最後に

 アスリートはパッと済ませられる外食に頼ってしまったり、食事面を気にしなくなってしまいがちです。例えば栄養士の方からレシピをもらっても、料理をやる以前の段階で気持ちが無理だったりします。僕も料理の話をすることもありますが、強要するだけでは伝わりません。今は、他の選手にもマネしやすい、やってみたいと思ってもらえるようなレシピを紹介したり、自分の言葉のニュアンスで伝えられたらと思ってきました。

 料理をこだわることが、スポーツの結果に直結するかと言われれば難しいところです。もちろん、食事に多くの気を使わなくても、体は動くという選手もいます。ですが、僕の体で言えば、これまでに筋肉系のケガがありません。接触プレーでの外傷はしょうがないですが、肉離れなどの筋肉系のトラブルは、私生活や食事の結果だと思っています。

 SNSでの発信も最初は同業者に向けていたんです。でも、料理の発信を続けていると、親世代の方や自分で運動する方、女性アスリートの方など、僕が思っていたよりも広い層の皆さんから反応をいただいたんです。選手がどんなものを食べているのかって、知識や細かい栄養成分を言われるより、どんなものを作っているのかを伝えた方が、親御さんや学生など僕のことを知らなくても、サッカー選手を身近に感じてもらえているのかなと思います。それはやってきてよかった部分ですね。

 サッカー以外のことで僕を知ってもらうキッカケが増えたこともよかったことです。今はJリーグクラブがない高知県でプレーしていますが、一般の県民の方がサッカー選手をいきなり知るのは難しいです。でも、サッカー以外のことでも、知ってもらうことが大事だと思っています。それが僕の場合は『料理』でした。料理を通じて、僕に興味を持っていただき、試合を見に来てくれた方もいます。料理をキッカケにして、サッカー選手という仕事の部分も知ってもらうことは、すごくありがたいことですね。

 今、こういった状況下で、包丁を久々に、もしくは初めて握るという方もいると思います。いきなりゼロから100まですべて作るのは難しいです。なので、頻繁に食料を買いに行く機会も減っているかもしれませんが、最初はすでに完成しているお惣菜を活用しながら、ご飯を炊いて、メニューを1個、自分で作ってみるところから始めてみましょう。カット野菜や冷凍食品を使ってもいいので、「1品は作ってみる」ことが、導入としては楽だと思います。冷凍ものや既製品は、身体によくないと言う方もいるが、最初からいろいろと制限してしまうと、食事を楽しんでできなくなります。大切なのは、いかに次の日も楽しんで料理できるか。例えば、生姜焼き一つとっても、タレは売っています。僕は肉を買ってきて、既製品のタレで焼くだけでも自炊だと思っています。まずは、無理なくできることから始めてみてください。

取材・構成=小松春生

By 小松春生

Web『サッカーキング』編集長

1984年東京都生まれ。2012年よりWeb『サッカーキング』で編集者として勤務。2019年7月よりWeb『サッカーキング』編集長に就任。イギリスと⚽️サッカーと🎤音楽と🤼‍♂️プロレスが好き

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