2019.06.09

【インタビュー】中山雄太が見つめる自身の現在地 海外挑戦、日の丸の刺激を野心に変えて

中山雄太
サッカーライター。雑誌や書籍の編集、企画&構成などに携わる。

 日本サッカー界を代表するホープとして、中山雄太は育成年代から脚光を浴び続けてきた。正確なキック、読みの鋭さ、センス溢れるパス、機を見た攻撃参加、的確なポジショニングやリーダーシップなど、彼が持つ武器を挙げれば枚挙にいとまがない。むしろ、彼の特長は表現する人によって異なる。まさにそれが、選手としての彼が持つ最大の魅力だ。

 念願の海外移籍を実現し、今年1月にはオランダリーグ・PECズウォレに加入した。公式戦での出場機会はわずかしか得られなかったが、「やれる」という手応えは確かに得られた。初めて海外でプレーしたこの半年間について、中山は何を思うのか。彼が向き合っている現実と感じた手応えについて、話を聞いた。

取材・文=細江克弥
写真=野口岳彦

■中山雄太インタビュー後編 ~“信頼する武器”は足元にアリ~はコチラ

■いい意味でのギャップしかなかった

中山雄太

―――海外に渡って1年目のシーズンが幕を閉じました。シーズン後半の途中加入という難しい挑戦だったと思うのですが、感覚として「やれる」という手応えは持てていますか?

中山 はい、持てています。

―――どんなところに感じましたか? 実際に行ってみてわかるイメージと現実のギャップもあったのではないかと思うのですが。

中山 いい意味でのギャップしかなかった気がします。「思ったより大丈夫」と思えることが多かったですし、そういう意味での手応えはいくつもありました。ただ、だからこそなかなか試合に出られなかったことが悔しかったですね。もちろんそれが現実なので、しっかり受け止めながら、いい意味で、もがいていたという感覚です。

―――「ポジティブなギャップ」について、何か一つ教えてもらえますか?

中山 例えば、思っていたよりフィジカル的な部分で苦労しないと感じたことです。ただ、その感覚も完全に体得したものとして言い切ることではないと思っているんですよ。「2試合しか出られなかった」という現実を前提としなければならないし、そういう意味ではまだ感覚的なものでしかない。だから、自分を戒める意味でこの感覚をベースにしてはいけないとも思っています。

―――なるほど。ただ、ピッチに立った2試合における周囲のリアクションは、とてもポジティブなものだったとお聞きしました。

中山 そう言ってもらえることは嬉しいですが、やはりまだまだです。だからこそ来シーズンからは誰が見てもそう感じてもらえるようにしなければいけないし、僕自身としては、もっといい印象を与えられる、持ってもらえることを確信しています。そうならなければいけないですよね。

■海外は「世界一」を目指す舞台

中山雄太

―――もともと海外でプレーしたいという思いは強かったんですか?

中山 プロになる前から思っていましたし、プロになってからも柏レイソルの強化部には気持ちを伝えてきました。だから、一つの目標が実現したということではあると思います。

―――すごく曖昧な質問ですけれど、どうして海外に戦場を求めるんでしょう?

中山 うーん……難しいですね。でも、単純にサッカーがうまくなりたいからだと思います。もちろん感覚的な部分でしかないですけれど、日本でずっとプレーし続けるのと、どこかのタイミングで海外に出てプレーするのとでは、プレーヤーとしての“伸び率”みたいなものが違うと思うんです。もっと簡単に言えば、「日本一」を目指す舞台と「世界一」を目指す舞台の違いと言いますか。

―――“可能性”の違い?

中山 やっぱり、そこは大きいんじゃないかなと思います。

―――確かに、そう考えると、日本人に限らずどの国の選手でも、ヨーロッパのトップリーグに挑戦したことで道がひらけたという選手はたくさんいますね。

中山 はい。“自国リーグ”と“海外リーグ”を比べた時に違うと感じるのは、やっぱりメンタルの部分です。僕の場合は日本とオランダということになりますけど、向こうのチームに入って、向こうで生活してみて、改めて「日本人とはまったく違う」と感じる部分はたくさんありました。当たり前のことですけど、違う考え方をする選手と接する機会は日本にいる時よりも圧倒的に多いですよね。いろいろな人、いろいろな選手、いろいろなプレーを見る、接するという日常があるだけで、自分にとってプラスになることが多いです。

―――今までになかった刺激を受けるということですよね。

中山 そういう意味で、自分との比較対象がたくさんあるということが何より大きいですね。今まで比べたこともなかった人と比べることで、今まで気づかなかった自分が見えてきたりすると思うので。

■手応えがあるからこそ、結果が必要

中山雄太

―――思うように試合に出られなかったという現実を、シーズンが終わった今はどのように受け止めていますか?

中山 そういう時間が長かったこと、それから言葉の問題もあって、矢印を自分に向けて自分自身を見つめ直す時間はだいぶ長かったと思います。

―――苦しさも感じていた?

中山 そういう感情はまったくありませんでした。むしろプロキャリアにおいては初めてのことだったし、もちろんずっと続けば苦しいものになってしまうかもしれないけれど、現状を打開しようとしてチャレンジすること自体を十分に楽しめているといいますか。

―――確かに、そういう壁にぶつかること自体が、一歩前に進んだことの証明でもある気がします。

中山 それを示すために大切なのは、やっぱり結果を残すことです。未来のことはまったくわからないけれど、ポジティブな結果を出すために目の前のことを全力でやるしかない。

―――「やれる」という感覚があるからこそですよね。

中山 はい。正直に言えば「やれる」「いける」という感覚はありますし、そういう感覚を持つことは悪いことじゃないと思うんです。というより、そういう感覚を持てなかったら選手として終わりだなと。だからこそ、感覚だけで満足しちゃいけないと思っています。

―――ちなみにポジションについてはどう考えていますか? 中山選手の場合、「本当は中盤の選手」ということを常に口にしている気がします。

中山 その気持ちはオランダに行っても変わりません。ただ、例えばチームメイトに対しては、僕と一緒にプレーすれば必然的にそう思ってもらえると思っているし、僕自身にそう思わせたいという野心もあるから言葉に出しているところもあって。センターバックができることは強みにしたいと考えていますけど、「本当の自分は中盤」という意識を強く持っていないと、中盤でポジションを得られない時に「じゃあセンターバックでもいいや」と思ってしまうかもしれない。それだけは絶対にイヤなんです。

―――そこに中山選手のプライドがある。

中山 はい。選手である自分として指針、プライド、意地でもある。ただ、自分がどのポジションでプレーするのかを決めるのも評価するのも自分ではなく監督なので、口だけではなく、ちゃんと行動で示さなければいけないと強く思っています。

■どんな監督にも使われる選手に

中山雄太

―――来シーズンはどうなるかわかりませんが、今シーズンのズウォレの監督を務めたのはヤープ・スタムでした。

中山 僕自身は現役時代を知らず、加入前にちょっと動画を見たくらいの知識しかありませんでした。でも、現役時代はかなり熱いタイプの選手として知られていたんですよね? そういう意味では、すごく気さくに接してくれるし、話しかけてくれるし、「怖い」という印象はまったくありません。

―――現役時代のスタムさんはオランダ国内のクラブをいくつか渡り歩いた末に名門PSVに加入し、そこでの活躍を機にプレミアリーグやセリエAに渡り、一気に世界的な名選手へとステップアップしました。オランダリーグには、そういう魅力もありますよね。

中山 そういうチャンスが転がっていることを肌で感じることができたので、それは大きな刺激になりました。だからこそモチベーションもすごく上がるし、オランダに行って良かったと改めて思うところもあります。

―――例えば、今シーズンはアヤックスがチャンピオンズリーグで快進撃を見せ、フレンキー・デ・ヨング(バルセロナ移籍が決定)やマタイス・デ・リフトが注目されました。

中山 本当にすごいと思いますし、実際にうまいとも思うんですけど……うーん、なんていうか、やはり同じサッカー選手だからこそ、そういう目で見られないところもありますよね。

―――なるほど。確かに、同じ舞台でプレーしているんだから、憧れを持つような感覚にはならないですよね。

中山 そうなんです。子どもの頃、スター選手に憧れていたような、ああいう感覚にはならないですよね(笑)。ただ、つまり現実として自分がそういう舞台にたどり着いたということでもあると思いますし、だからこそ「いずれ自分も」という気持ちも強くなる。もしかしたら、いずれ対戦することだってあるかもしれませんし、倒さなければいけない相手になるかもしれません。そうならなければいけないと思っています。

―――そういう意味でも、日本代表に選出されたことがきっかけになるかもしれませんね。

中山 本当に貴重なチャンスをもらうことができたと思っているので、大会が終わった時に「よかった」と思えるようなものにしたいと思います。謙虚さをしっかりと持ちながら、自分の中にある野心を表現したい。楽しみしかありません。

―――最後に、今の中山選手が思う「理想の自分」を教えてください。

中山 どんな監督にも使われる選手になることです。僕には何かひとつの飛び抜けた能力はない。だからこそ「全部できるように」という意識でやってきましたし、たぶん、それができればどんな監督にも使われる選手になれると思うんです。だから、それが理想ですね。それを追い続けてやっていききたいと思います。

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■DS LIGHT X-FLY 4


素足感覚を求めるフットボーラーに薦めるフィット性に優れたカンガルー表革トップモデル

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■トウ構造
「DS LIGHT X-FLY 3」よりも低密度・低反発のスポンジ材を使用し、よりやわらかいボールタッチ感を追求。

■アウターソール
軽量性に優れたナイロン+ウレタンソール。中足部の内外非対称なリブ形状(縦のスジ)を採用し、剛性を確保しながら、外側へのねじれを軽減。

中山雄太選手が着用する『DS LIGHT X-FLY 4』の新カラー<クラシックレッド>は7月19日発売予定

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